喜劇特急第9幕 七人の名脇役
これまで上映してきた作品の中でもひときわ印象に残る七人をピックアップ。
喜劇のみならず文芸やシリアスドラマでも代表作の多い名優ぞろい。日本映画の黄金時代は彼らなしにはありえません。
彼らの競演が見られるよりすぐりの12本!どうぞお楽しみに!
有島一郎(ありしまいちろう)
1916年3月1日 - 1987年7月20日 本名:大島忠雄 名古屋出身。10代で軽演劇の世界に入る。戦後映画デビュー。知的で飄々とした持ち味で東宝映画に欠かせない喜劇役者となる。中年以降ペーソス漂う演技で新境地を開拓、老いの哀感と繊細な優しさをにじませる豊かな表現力でTVドラマ、舞台でも活躍した。
代表作:「若大将」シリーズ「三億円をつかまえろ」「愛の讃歌」「暖春」「おトラさん」シリーズ
伊藤雄之助(いとうゆうのすけ)
1919年8月3日~ 1980年3月11日 浅草出身。歌舞伎の家に生まれ4歳で初舞台。父の急逝で不遇な青年期を送り、東宝劇団に参加。戦後映画俳優へ。特異な容貌と怪演による個性的派俳優として、時代劇、現代劇ともに活躍。「昭和の怪優」とも評される。
代表作:「プーサン」「しとやかな獣」「巨人と玩具」「侍」「生きる」「あゝ爆弾」「太陽を盗んだ男」
桂小金治(かつらこきんじ)
1926年10月6日~ 本名:田辺幹男 杉並出身。落語家桂小文治に弟子入り。1952年川島雄三監督に見出されて映画界入り。庶民的で親しみやすいキャラクターが愛され多くの映画で活躍。TVでもドラマや司会など幅広く活動。近年は落語会の高座にも復帰。
代表作:「貸間あり」「縞の背広の親分衆」「羽織の大将」「サラリーマン物語」シリーズ
加東大介(かとうだいすけ)
1911年2月18日~1975年7月31日 本名:加藤徳之助 浅草出身。父は劇作家、兄は沢村国太郎、姉は沢村貞子という芸能一家に生まれ、歌舞伎の名子役として活躍。戦前は市川莚司の名で時代劇を中心に活躍し、大映に移籍、加東大介に改名。持ち前の明るさと誠実さで多くの監督の信頼を得、名作に多数出演。
代表作:「七人の侍」「用心棒」「おかあさん」「秋刀魚の味」「鬼火」「大番」「社長シリーズ」
清川虹子(きよかわにじこ)
1912年11月24日~2002年5月24日 本名:関口はな 千葉県松戸市出身。浅草喜劇団「笑いの王国」に参加、翌年PCL映画でデビュー。数多くの喜劇に出演、そうそうたる名優と共演してきた日本の喜劇女優としての第一人者。
4度の結婚、参議院選挙への出馬など波乱万丈の人生を送ったことでも知られる。 代表作:「喜劇女は度胸」「復讐するは我にあり」「楢山節考」「女侠一代」「サザエさん」シリーズ
浪花千栄子(なにわちえこ)
1907年11月19日~1973年12月22日 本名:南口キクノ 大阪出身。松竹新喜劇の看板女優として活躍。退団後、ラジオ、映画で花菱アチャコとのコンビが大人気となる。奥様から長屋のおばちゃんまで幅広く演じ分ける確かな演技力が高く評価され、名作に多数出演している。オロナイン軟膏の看板でも有名。
代表作:「夫婦善哉」「彼岸花」「小早川家の秋」「悪名」「祇園囃子」「お父さんはお人よし」
三井弘次(みついこうじ)
1910年3月6日~1979年7月20日 本名:三井日子秀 横浜出身。学生時代に松竹入社。三井秀男の名でサイレント喜劇「与太者」トリオの一人として人気者となる。戦後も松竹映画に欠かせない性格俳優として活躍。のんだくれも敏腕新聞記者もハマる幅広い芸域で、松竹以外では黒澤明作品で強い印象を残す。
代表作:「どん底」「悪い奴ほどよく眠る」「とんかつ大将」「浮草物語」「ボロ家の春秋」「飢餓海峡」
料金
当日券:一般・学生 1,200円/シニア 1,000円 2回券:2,000円/3回券:3,000円/会員:900円
※作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。
各回入替制
http://www.cinekita.co.jp/
2008年3月8日(土)~4月4日(金)まで上映
3月8日(土)~3月14日(金)
14:00~「花嫁会議」 15:45~「口から出まかせ」 17:45~「危険旅行」
3月15日(土)~3月21日(金)
14:00~「酔っぱらい天国」 15:45~「河内風土記 おいろけ説法」
17:45~「明日はいっぱいの果実」
3月22日(土)~3月28日(金)
14:00~「現代インチキ物語 騙し屋」 15:45~「太鼓たゝいて笛吹いて」
17:45~「南の島に雪が降る」
3月26日(水)『南の島に雪が降る』17:45の回上映後、
桂小金治さんトークイベント開催(※当日13:45より入場整理券の受付開始)
3月29日(土)~4月4日(金)
14:00~「現代金儲け物語」 15:45~「なつかしい風来坊」 17:30~「気違い部落」
「花嫁会議」( 1956/東宝/白黒/87分 )
●監督:青柳信雄 脚本:梅田晴夫、椿澄夫 撮影:遠藤精一 音楽:松井八郎●出演:雪村いづみ、池部良、柳家金語楼、浪花千栄子、千秋実、小林桂樹、藤原釜足、司葉子、清川虹子、森繁久彌、越路吹雪、岡田茉莉子
父親を再婚させようと奔走する子供たちの恋愛騒動に、謎のヒゲ男も加わって5つの縁談がこわれたりまとまったり、東宝トップスター勢揃いの恋愛狂想曲。
「口から出まかせ」( 1958/東宝/白黒/100分 )
●監督:内川清一郎 脚本:菊島隆三 撮影:岡崎宏三 音楽:松井八郎●出演:森繁久彌、清川虹子、津島恵子、上田吉二郎、淡路恵子、左ト全、飯田蝶子
無類の女好きの自動車セールスマンが東京から出雲への陸送の途中女性を口説きまくるロードムービー。勝気なシッカリ女房は清川虹子のはまり役。
「危険旅行」( 1959/松竹/カラー/99分 )
●監督:中村登 脚本:椎名利夫 撮影:厚田雄春 音楽:武満徹●出演:高橋貞二、有馬稲子、伊藤雄之助、桂小金治、トニー谷、渡辺篤、由利徹、櫻むつ子、沢村貞子、十朱幸代
マスコミに追われることに疲れた才女が失踪宣言!旅の途中知り合った風来坊カメラマンとともに奇妙な逃避行。彼女を追う記者に桂小金治と伊藤雄之助。
「酔っぱらい天国」( 1962/松竹/白黒/93分 )
●監督:渋谷実 脚本:松山善三 撮影:長岡博之 音楽:黛敏郎●笠智衆、石浜朗、倍賞千恵子、津川雅彦、有馬稲子、三井弘次、伴淳三郎、山村聡、佐藤慶
ブラックな笑いを含んだ社会風刺劇。笠智衆がイメージと正反対の酒乱で型破りな父親を熱演。のんだくれ仲間の三井弘次がさすがの迫力。
「河内風土記 おいろけ説法」( 1961/東宝/カラー/100分 )
●監督:久松静児 原作:今東光 脚色:椎名竜治 撮影:遠藤精一 音楽:広瀬健次郎●出演:森繁久彌、加東大介、山茶花究、藤木悠、浪花千栄子、中北千枝子、環三千世
前作「みみずく説法」より色と欲と笑いがパワーアップ。森繁和尚を中心に生命力溢れる河内の人間模様を描く。芸達者な加東大介はスケベな役も意外に多い。
「明日はいっぱいの果実」( 1960/松竹/白黒/87分 )
●監督:斉藤正雄 脚本:斉藤正雄、山田太一、撮影:荒野諒一、音楽:木下忠司●出演:鰐淵晴子、姫ゆり子、杉浦直樹、桂小金治、山下洵一郎、伊藤雄之助、左ト全、大泉滉、小坂一也、三上真一郎
田舎からきた娘が、トンデモナイ人たちに出会いながらたくましく生きる。はつらつとした鰐淵晴子がチャーミング。山田太一脚本による時代色豊かな青春喜劇。
「現代インチキ物語 騙し屋」
( 1964/大映/カラー/スコープ/89分 )
●監督:増村保造 脚本:藤本義一、澤村勉、撮影:小林節雄、音楽:山本直純●出演:船越英二、伊藤雄之助、曾我廼家明蝶、犬塚弘、丸井太郎、園佳也子、弓恵子
手の込んだ芝居を仕掛け、舌先三寸で相手に気づかせず金を騙し取る、プロの騙し屋4人組。テンポ良いやりとりが小気味良い。伊藤雄之助の七変化に注目。
「太鼓たゝいて笛吹いて」
( 1958/東宝/カラー/102分 )
●監督:杉江敏男 原案:菊田一夫 脚色:小国英雄 撮影:完倉泰一 音楽:神津善行●出演:宮城まり子、三木のり平、有島一郎、小泉博、三津田健、千石規子、夏川静江、河津清三郎、草笛光子、平田明彦、久慈あさみ、浪花千栄子、藤原釜足
田舎まわりの旅芝居一座で働く純情娘を中心に、一座の人間模様と泣き笑い人生をあたたかく描く。のり平・有島コンビが活躍する時代劇には名作多数。
「南の島に雪が降る」
( 1961年/東宝/カラー/102分 )
●監督:久松静児 原作:加東大介 脚本:笠原良三 撮影:黒田徳三 音楽:広瀬健次郎●出演:加東大介、伴淳三郎、有島一郎、志村喬、三橋達也、桂小金治、西村晃、渥美清、森繁久彌、小林桂樹、三木のり平、フランキー堺
加東大介の実体験を綴ったベストセラーが原作。過酷な南方戦線で憔悴した兵士の心に灯をともした演芸班の奮闘。戦争映画の名作であり、泣ける喜劇の決定版。
3月26日(水)『南の島に雪が降る』17:45の回上映後、桂小金治さんトークイベント開催「現代金儲け物語」( 1964/松竹/白黒/89分 )
●監督:酒井辰雄 脚本:菅野昭彦 撮影:堂脇博 音楽:牧野由多可●出演:加東大介、清川虹子、水谷良重、渥美清、三井弘次、谷幹一、渡辺篤、春川ますみ
料亭・花月の主人は、腕は一流だが女房に実権を握られる恐妻家。うっぷん晴らしに競輪場へ通ってはヘソクリを増やす日々だったが、騒動が巻き起こる。
「なつかしい風来坊」( 1966/松竹/カラー/90分 )
●監督:山田洋次 脚本:山田洋次、森崎東 撮影:高羽哲夫 音楽:木下忠司●出演:ハナ肇、有島一郎、倍賞千恵子、中北千枝子、山口崇、市村俊幸、松村達雄
無気力な中年サラリーマンと奔放で豪快な男、対照的な二人の奇妙な友情。有島一郎の絶妙の表情が観客の心にふわりと優しい余韻を残す。山田洋次初期の傑作。
「気違い部落」( 1957/松竹/白黒/16mm/134分 )
●監督:渋谷実 原作:きだみのる 脚色:菊島隆三 撮影:長岡博之 音楽:黛敏郎●出演:伊藤雄之助、淡島千景、水野久美、清川虹子、三井弘次、信欣三、伴淳三郎、 桂小金治、藤原釜足、森繁久彌
法律よりも村の掟が優先する山村を舞台に、エゴイズムむきだしの人々を描く風刺喜劇。くせもの俳優が豪華共演、見事なアンサンブルを見せる。
料金
当日券:一般・学生 1,200円/シニア 1,000円/2回券 2,000円/3回券 3,000円/会員 900円
※作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。
各回入替制
http://www.cinekita.co.jp/
2008年3月8日(土)~4月4日(金)まで上映
なつかしい風来坊
ハナ肇(俳優)
倍賞千恵子(俳優)
有島一郎(俳優)
中北千枝子(俳優)
山田洋次(監督)
発売日:2005-09-28
おすすめ度:
はっぴいえんど
生活派山田監督の佳品
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南の島に雪が降る
加東大介(著)
おすすめ度:
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主なキャスト / スタッフ
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