毎日暑いですね皆さん。仕事ツラくないですか?私はツライです。
というわけで、痛快娯楽作品です。久々の西部劇です。おまけにどう見ても銀座じゃないだろ、新橋のガード下だろのシネパトスです。
そして炎天下に汗を拭き拭き来てみれば、こんな小さい劇場なのにガラガラです。しかも貴重な客は白髪の目立つオヤジばかり。選択、誤ったか、
私。
一抹の不安を抱えつつ観てみれば―19世紀末、アメリカ西部の雄大な大自然を舞台に、牛を放牧しながら旅を続ける男たちに、
悪徳牧場主と保安官が悪辣な罠を仕掛ける。仲間を殺されたリーダーとその相棒は多勢に無勢も何のその、雷鳴轟く町で己の誇りを賭け、
敢然と立ち上がる―と、ストーリーなんざ説明する必要もないお約束展開に、よーしよし。
で実際、いかにも開拓期だぜモード全開の壮大かつ荒涼たる大地のお具合はなかなかだし、もちろん、ロバート・
デュバルをリーダーに据えた人選や、抑制されたキャラが正解のケビン・コスナーの役どころもいい(でも、あのロビン・フッドがねえ…
しみじみ)。また、派手なドンパチではなく、妙にスローテンポで確かめるように撃ち合う、それゆえにリアルな銃撃戦も、
もしかして弾ってとても貴重品で、カウボーイ風情が浪費できるはずがないのか!?と、彼の時代の経済事情に思いを馳せたりして。
ただ。問題はラスト。そして以下三行は心の叫び。
「そこの二人!いちゃいちゃこいてんじゃねえ!!!」
「だからキスばっかしてんじゃねえええ!!!」
「くぉらああああ~!!やめんかぁああああ!!!」
だって。一応「西部劇」なんだよ、コレ。
別にイーストウッドになれとか(古いな)、ジュリアーノ・ジェンマになれとか(もっと古いな)、ジョン・ウェインになれとか
(ますます古いな)、アラン・ラッドになれとか(古いにもほどがあるよな)言うつもりはないんだけど、西部劇なんだよおおおお。
であるならば、諧謔は良しとしても基調はあくまでもストイックな「男の美学」であり、女はまあ…いてもいいけど、
所詮その美学を強調するだけの添え物であることを弁えるべきであり、だから最後は、「シェーン、カンバァァァ~ック!」であり、
「私はクレメンタインという名が好きです」なんでしょ。違うのか、私。
結局、この美学を見事にブチ壊し、蛇に20対くらいの足を付けまくってくれたラスト(これじゃ単なるロマコメ)で抜けた腰をかかえ、
何する気力もなく、真夏の日差しの下、トボトボと家路についた次第です。ということで皆様ご観覧の際は、
ドンパチ勝負が終った時点で好もしい余韻に浸りつつ、席を立たれることをお勧めします。
あ。書いたら思い出して、また腹が立ってきた。
主なキャスト / スタッフ
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