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アイドルは消費され、モードは繰り返される。



アイドルたち

http://www.step-by.co.jp/idoles/

2005年12月10日~23日、吉祥寺バウシアターにて期間限定レイトショー決定!
2005年10月29日、アミューズCQNにてレイトショー、 順次全国レイトロードショー!

■■■■ INTRODUCTION ■■■■


60年代パリ。
サンシェルマン・テ・ プレで3人組のアイドルユニットのお披露目イヴェントが開催される。しかしQ&Aコーナーが仇となり、 彼らの虚像がアラワになる――

アイドルたちに斬新かつ新鮮な60sフレンチ・カルチャー。 “ヌーヴェル・ヴァーグ”に音楽、演劇、文学などにもそれぞれ新しい波があった。音楽界では、トレネ、 アズナヴールといったシャンソンに変わってビートルズ、ストーンズやモッズなどの影響を受けたフレンチ・ ポップスこと“イェイェ”が生まれ、シルヴィ・ヴァルタン、フランソワーズ・アルディ、シャンタル・ ゴヤといったアイドルが誕生した。演劇界では、国立劇場での古典劇から、 様々な場所を舞台に見立てて即興的な劇とも寸劇とも言えない舞台を上演する“カフェ・テアトル”運動が始まった。
61年にその試みを始めた人物こそ、 この映画の監督マルク’Oである。団員は、ビュル・オジエ、ジャン=ピエール・カルフォン、ピエール・クレマンティ、 ヴァレリー・ラグランジュ、ミシェル・モレッティ、ジャック・イジュラン、マルペッサ・ド一ン。彼らの強烈な個性は、 映画人の注目するところとなり、シャック・リヴエットがこの「狂気の愛」(68)で本作に先駆けこのキャストを総出演させ、 ゴダール.パゾリー二、ベルトルッチ、ガレルらが起用する。
作の元となった舞台は、64年サン・ サンジェルマンの仮設劇場で初演。斬新なパフォーマンスとファッションで見るものを圧倒させる一方で、 アイドルという存在の虚構性と偶像崇拝への批判を盛り込んで評判となり、満員札止となる程大盛況となった。
終演後、早速今回の映画化となり、68年5月に公開が決まるも、「五月革命」と重なったこともあり、 人々が映画を見るような状況下ではなかった。その後、73年にリヴァイヴァル公開。2003年“五月革命 35周年” に合わせて、その時代を代表する人物ビュル・オジエのレトロスペクティヴで、本作が上映されるや、 現代にも通じるダイレクトな表現が再確認される。早速リストアされて、翌年6月にパリでリヴァイヴァル公開。 その夏には東京・銀座メゾンエルメスル・ステユディオでビデオ上映され、人気を博す。 その時の素材はシネマテーク所蔵の15分短いビデオヴァージョンだったが、今回は完全版での初公開である。

アイドルたち2演は、狂乱ジジに仏演劇界トップに君臨し、 映画界からも慕われ続ける永遠のミューズ、ビュル・オジエ。 短剣のチャーリーに危険なキャラで独自の世界を築いた故ピエール・クレマンティ。 魔術師シモンにミステリアスな雰囲気のジャン=ピエール・カルフォン。他に、MCには歌手でもあり『男と女』 ('66)、『ウイークエンド』('67)にも出演したヴァレリー・ラグランジュ。社長とその妻にはマルク’ Oの舞台の常連で映画、舞台で活動するジョエル・バルブートとミシェル・モレッティ『野性の葦』('94)。 キャメル氏はティエリー・レルミットとの長年コンビを組み、『僕は、パリに恋をする』 (96)の共同脚本も担当のフィリップ・ブリュノ。ズーズー、アンナ・カリーナにも楽曲を提供するステファヌ・ ヴィラールはバンドメンバーとして出演。
ゲストとして『私のように美しい娘』('71)ののベルナデット・ラフォン、『コレクションする女』('67)のダニエル・ ポムルール、『地獄の貴婦人』(74)の監督フランシス・ジロ一、演劇人ジャン=マリー・セロー、マルチ・ アーティストのアンリ・シャピエらが登場。
主演3人のモッズ系の衣装をデザインしたのは当時大人気のジャン・ブキャン、結婚式の客が着るシャツはキャシャレルが担当。 編集にはジャン・ユスターシュ、助監督にアンドレ・テシネが名を連ねている。

■■■■ STORY ■■■■


1960年代パリ。サンジェルマン・デ・ プレ界隅の薄暗いライヴ会場で記者会見とパフォーマンスを兼ねた「アイドル・クラブ」商会の発表会が幕を開けた。 その目的は、ヤリ手マネージャーが仕組んだ三人のアイドル・ユニット結成のお披露目だ。
パリの誰もが愛する人気ナンバーワンの「ジジ・ラ・フォル(狂乱ジジ)」ことエロイーズは、優美で魅惑的な真のアイドル。 ストリート系の危険な男、短剣のチャーリーは、持ち前の奇抜なパフォーマンスが大人気。 占い師だった奇天烈な自己表現がウリの「魔術師シモン」は一発屋で、これに再起を賭けていた。
三人の熱いパフォーマンスも終了、質疑応答タイムとなり、三人は観客からの様々な質問に率直に答えていく。しかし、 観客の一人が放った「兵役に就くか?」という質問にチャーリーが切れてしまい、会場は一転して険悪なムードに。 マネージャー達はその場を取り繕おうとするが、三人のアイドルの告白は留まるところを知らずヒートアップし、 記者会見はとんでもない方向へ進み出す。そして、3人に予想もしなかった結末が待っていた……。

■■■■ REVIEW ■■■■

まげた。度肝を抜かれたとはまさにこのことだ。世に「カルト」 と呼ばれる映画は数あれども、本作ほどそう呼ばれるのに似つかわしい作品はないのではないだろうか。この映画については、 ショウビジネスの虚飾と欺瞞を暴いた先見性や60年代の若者風俗、とりわけファッション・モードの再発見、 或いは本作初公開時に燃え盛っていた五月革命をもたらした当時の学生達の反体制意識や反骨精神の発露など、 オカタイことはいくらでも言うことはできるかもしれない。だが、 ファッションやら何やらにそれほど造詣が深いとは言い難い筆者に言わせてもらえば、そんなことはどうでもいい!
作に登場する三人のアイドル「狂乱ジジ」 「短剣のチャーリー」「魔術師シモン」(このニックネームからして既に現代的な「アイドル」 観を逸脱しまくってる)がその身を包む原色バキバキ・キメキメの超ポップなファッションを見よ!オシャレ?イカしてる?否、 どう見てもイカれてる!
れに輪を掛けてぶっ飛んでいるのが、 この三人の歌とパフォーマンスである。元々、監督のマルク’O自身がカフェ・ テアトル形式(カフェを舞台に見立てた即興劇)で行った舞台を基にしているとはいえ、 三人が身の上やら個人的な心情をバックミュージックなど殆どお構いなしにひたすら叫び、がなりまくる姿は、 歌というよりもポエトリー・リーディングに近い。しかも、 その"歌"に合わせて披露されるダンスがまたなんと珍妙奇天烈なことか! 殆ど一人トランス状態でオーディエンスの追随を許さない異次元的ステージングは驚愕必至だ。特に、 現代的な感覚から完璧に逸脱しまくっているのが、紅一点のピュル・オジェによるノリノリのパフォーマンスだ。過激で奇抜…… と言うか、そのニックネームの通り半狂乱のように髪を振り乱し、踊りまくる姿に悶絶すること請け合いである。
にかく作品を構成するあらゆる要素がかくも常軌を逸していながら、 どこまでも真剣に本気で製作されている本作の如き作品は、 恐らくフランスはもとより世界中を探してももう二度とお目にかかることはあるまい―― そんな気にさせてしまう文字通り空前絶後な本作を、敬愛を込めて敢えてこう呼ばせてもらいたい。 最高級のフランス製おバカ映画である、と。本作の余りにも衝撃的に過ぎる幕切れを見逃すなっ!

(Text by 仙道 勇人)

■■■■  CAST/ STAFF  ■■■■

ピュル・オジェ/ 狂乱ジジ
ピエール・クレマンティ/短刀のチャーリー
ジャン=ピエール・カルフォン/魔術師シモン
ヴァレリー・ラグランジュ/アイドル・プロ広報の女
ミシェール・モレッティ/ミシュリーヌ・ラフィット
フィリップ・ブリュノ/アイドル興行広報キャメル
ベルナデット・ラフォン/シスター・イラリット

監督・脚本:マルク’O
音楽:ステファヌ・ヴィラール、パトリック・グルセイ
編集:ジャン・ユスターシュ
衣装:ジャン・ブキャン、ジャン・キャシャレル

1968年/フランス/カラー/1:1'66ヴィスタ/モノラル/ 105分
後援:フランス大使館文化院、ユニフランス東京、東京日仏学院
協力:流行通信
配給:ステップ・バイ・ステップ

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2005年10月29日、アミューズCQNにてレイトショー、 順次全国レイトロードショー!

 

2005/10/28/18:12 | トラックバック (1)
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映画「les idoles」 マルク'O監督脚本 編集ジャン・ユスターシュ! キャスト ビュル・オジエ(狂乱ジジ:写真中央) ピエール・クレマンテ...

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