発掘された映画たち2008-後半
(5/10~5/15・5/23~6/1までの上映スケジュール)

怪電波の戦慄 鐵の爪 花嫁掠奪篇フィルムセンターは、近年新たに発掘・復元したフィルムを上映する企画「発掘された映画たち2008」を開催します。本企画は、1991年から数えて第6回目にあたり、文化遺産としての映画の価値を再認識していただく場として、多くの方々に親しまれてきました。
今回は、現存する日本最古のコマ撮りアニメーションの『なまくら刀』(1917年)と『浦島太郎』(1918年)のデジタル復元版や、ロサンゼルスの全米日系人博物館から寄贈された入江たか子主演のヒット作『月よりの使者』(1934年)、また、昭和初期にフィルムとSPレコードを同期させながら上映された「レコードトーキー」の復元版、そのほか、映画コレクター・安部善重氏旧蔵のフィルムや、戦後にGHQの民間情報教育局(CIE)が日本人向けに製作した「CIE映画」など、計28プログラム、総計96本の作品群を上映いたします。
この機会に、日本映画史の欠落部分を埋める各プログラムをご堪能いただき、映画保存機関ならではの活動成果をお楽しみください。

イベント情報
下記上映プログラムの上映前に、フィルムセンター研究員による10分程度の解説があります。
4月24日(木)15:00「レコードトーキーの復元」 19:00「発掘されたアニメーション映画」
4月26日(土)13:00「安部善重コレクション1」 5月8日(木) 19:00「CIE映画選集1」
5月14日(水)19:00「バン・コレクション1」  5月15日(木)19:00「バン・コレクション2

料金
一般500円 高校・大学生・シニア300円 小・中学生100円 障害者(付添者は原則1名まで)は無料
観覧券は当日・当該回にのみ有効。開映後の入場は不可。
発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切。
学生、シニア(65歳以上)、障害者の方は、要証明書。 発券は各回1名につき1枚のみ。
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール 定員:310名(各回入替制)

http://www.momat.go.jp/

2008年4月24日(木)~5月15日(木)/5月23日(金)~6月1日(日)まで
※ただし毎週月曜は休館

スケジュール

5月10日(土)~5月15日(木)/5月23日(金)~6月1日(日)
までの上映スケジュール

5/10(土) 13:00~『レコードトーキーの復元 [全16作品]』(計70分) 16:00~『アジアはひとつ』(96分)
5/11(日) 13:00~『発掘されたアニメーション映画』(計109分) 16:00~『忠臣蔵』(139分)
5/13(火) 15:00~『CIE映画選集1』(計78分)
19:00~『安部善重コレクション3「一郎・二郎・三郎(仮題)」』(94分)
5/14(水) 15:00~『安部善重コレクション1』(計81分)
19:00~『バン・コレクション1「月よりの使者」』(98分)
※上映前に研究員による10分程度の解説あり
5/15(木) 15:00~『大都映画1』(計87分)
19:00~『バン・コレクション2「薩摩飛脚」』(86分)
※上映前に研究員による10分程度の解説あり
5/23(金) 15:00~『「由比正雪」他』(計103分) 19:00~『大都映画2』(計95分)
5/24(土) 13:00~『バン・コレクション3「悲恋華」』(88分)
16:00~『バン・コレクション4「あの道この道」』(77分)
5/25(日) 13:00~『大都映画3』(計101分) 16:00~『「小楠公とその母」他』(計105分)
5/27(火) 15:00~『安部善重コレクション2』(計83分) 19:00~『CIE映画選集2』(計86分)
5/28(水) 15:00~『CIE映画選集3』(計90分) 19:00~『戦前記録映画選集』(計103分)
5/29(木) 15:00~『戦中記録映画選集』(計103分) 19:00~『戦後記録映画選集』(計66分)
5/30(金) 15:00~『戦前の普及宣伝映画』(計66分) 19:00~『「激流」他』(計97分)
5/31(土) 13:00~『「天明怪捕物 梟」他』(計94分) 16:00~『「悲願 千早城」他』(計88分)
6/1(日) 13:00~『散りゆく大和櫻 空閑少佐』(計84分) 16:00~『演芸映画選集』(計69分)
4月24日(木)~5月9日(金)までの上映スケジュールはこちら
上映タイトル一覧
5月6日(火)13:00 5月15日(木)15:00~

大都映画1 ( 計87分 )

大都映画は1933年に設立され、1941年の企業統合で大映に統合された小プロダクションであるが、あらゆる娯楽映画のジャンルを貪欲に取り込んで低予算の映画を製作し続け、特に全国の年少観客層に絶大な人気を誇った。

誓ひの乳母車 (43分・35mm・白黒)
'39(大都映画)(監)(脚)中島宝三(撮)廣川朝次郎(出)藤間林太郎、雲井三郎、チンピラ大將、松村光夫、久松玉城、水川八重子、植松藤兵ヱ、市川幅十郎、林六三郎、大谷傳二郎
出征兵士とその家族の堅いきずなを描いた浪曲映画。監督の中島宝三は1920年代後半にマキノプロで監督デビューし、1941年までに帝国キネマ、新興キネマ、河合映画、大都映画を渡り歩いて130本以上の作品を監督した。

大空の遺書 (44分・35mm・白黒・不完全)
'41(大都映画)(監)益田晴夫(原)間瀬一惠(脚)鈴木重三郎、武蔵賛平(撮)富沢恒夫(出)近衛十四郎、琴糸路、黒須光彦、橘喜久子、香取栄二、佐久間妙子、板垣伊久雄
海軍の名パイロットとして活躍し、1937年11月に偵察に出発したまま帰還することのなかった間瀬平一郎の生涯を描いた伝記映画で、1940年に刊行された妻の手記が原作。1960年代後半以降アメリカから里帰りした、いわゆる「返還映画」の一本で、昨年はじめて可燃性プリントを不燃化した。

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5月6日(火)16:00~ / 5月23日(金)19:00~

大都映画2 ( 計95分 )

松風村雨 (72分・24fps・35mm・無声・白黒)
'36(大都映画)(監)吉村操(原)柳川春葉(脚)細井満津夫(撮)永貞二郎(出)琴糸路、髙村栄一、八田なみぢ、谷定子、富士野かすみ、藤間林太郎、松村光夫、久野あかね、松道枝、大山デブ子、東條猛、横山文彦、潮惠一郎、及川光子、村川美都子、春野美葉子
母の娘に対する自己犠牲的な愛情をテーマにした現代劇のメロドラマ。夫に捨てられ娘とも離れ離れになってしまった幸子(琴)であったが、8年後、再婚相手と暮らす家の隣に引っ越してきたのは、わが娘とその家族であった…。原作は「生さぬ仲」(1912年)などで有名な柳川春葉(素材:バン・コレクション)。

杉野兵曹長の妻 (23分・35mm・白黒・不完全)
'40(大都映画)(監)山内俊英(原)(脚)土田耕平(撮)藤井康次(音)杉田良造(美)小野田直吉、峰八十八(出)水原洋一、最上伸、市川一郎、小柳みどり、高村栄一、松村光夫、橘喜久子、岡野彦一、飯島巖雄、澤勝彦、吉成てる、東かほる、河田登美男、樋口勇、香取栄二、谷定子、山坂昇
実話を元に、日露戦争で名誉の死を遂げた杉野孫七の妻が、夫の遺言にしたがって遺された3人の息子たちを立派な軍人にするために努力する物語。所蔵可燃性プリントの不燃化。

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5月7日(水)15:00~ / 5月25日(日)13:00~

大都映画3 ( 計101分 )

法廷哀話 涙の審判 (67分・24fps・35mm・無声・白黒)
'36(大都映画)(監)吉村操(原)大井利与(脚)河津卋史(出)琴糸路、佐久間妙子、永貞二郎、大河百々代、八田なみ志、藤間林太郎、高村栄一
母性愛映画と裁判映画がミックスしたメロドラマ。海軍大尉の妻・静子(佐久間)は、姑からいじめられ、7歳になる娘・弘子(八田)から引き離されて家を追い出される。静子に献身的に尽くしてきた住みこみ奉公の房枝(琴)は、弘子とともに決意の行動を起すのであった…。監督の吉村操は、社会啓蒙映画の製作・上映の草分け的存在として知られる高松豊次郎の三男。(素材:パン・コレクション)

怪電波の戦慄

怪電波の戦慄 第二篇 透明人間篇 (34分・35mm・白黒)
'39(大都映画)(監)山内俊英(脚)大井利與(撮)下村晴夫(出)藤間林太郎、夢路妙子、水原洋一、四方利男、小笠原隆、高村栄一、橘喜久子、阿久津直義、井津久辰夫、水島道太郎、東條猛、伊達正
科学者が電波を使って操縦するロボット(人間タンク)を開発するという「連続もの」のSF映画(第一篇は「人間タンク出現篇」)。古里博士(藤間)が開発する人間タンクが、敵対する研究所のグループに奪われ、さらに博士の令嬢(夢路)も誘拐されてしまう。博士の助手・水原(水原)は、博士と令嬢のために敵陣へ乗り込む…。

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4月29日(火)16:00~ / 5月23日(金)15:00~

由比正雪 ( 58分・24fps・35mm・無声・白黒 )

'31(河合映画)(監)丘虹二(現)(脚)八尋不二(撮)花澤義之(出)葉山純之輔、琴糸路、松山清三郎、河合菊三郎、松林光夫

徳川家光の死後に幕府の転覆をもくろんだ由比正雪を主人公とする時代劇。密偵として潜入した娘は、もくろみに反して由比に恋心を抱いてゆく…。プリント上のタイトルは『吼ゆる獅子王』となっているが、そのまま上映する(素材提供:中部日本教映)。

鐵の爪 花嫁掠奪篇鐵の爪 花嫁掠奪篇
( 45分・35mm・白黒 )

'35(エトナ映画)(監)後藤岱山(原)(脚)野村雅延(撮)田中十三(出)椿三四郎、水原洋一、白川小夜子、中山介二郎、辻峰子、小川雪子

カーチェイス、アクションシーン、なぞめいた物語展開など、娯楽映画としての魅力がふんだんに盛り込まれた連続活劇。医学博士の娘(白川)が結婚式の最中に誘拐された。誘拐したのは「鉄の爪」を名乗る人物で、かつて博士の下で学んでいた弟子であった…。フィルムのクレジットには別作品の情報が挿入されている可能性があるが、そのまま上映する(素材提供:パインウッド・カンパニー)。

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4月30日(水)15:00~ / 5月25日(日)16:00~

小楠公とその母 ( 60分・35mm・サウンド版・白黒 )

'36(日本合同映画)(監)(脚)中川紫朗(撮)渡會庫吉、田中重造(出) 常盤操子、嵐菊麿、嵐寛童、草間実、小島一代、中村松葉、天野榮、大原光三郎、春岡正造、嵐巴左衛門、大野木三郎

「小楠公」こと楠木正行が桜井の駅で父・正成に別れてから、わずか23歳で弟・正時と刺し違えて自害するまでを描いた時代劇(プリント上のタイトルは『修羅城』)。監督の中川紫朗は1920年代初頭に帝国キネマの革新に大きな役割を担った時代劇監督(素材提供:パインウッド・カンパニー)。

橋本左内 ( 45分・35mm・白黒 )

'38(日本自動現像社)(監)(原)(脚)田中榮三(撮)中山良夫(音)山田典吾(出)諸口十九、森敏、山口操、藤原隆、川柳春光、藤輪欣司、朝日久晴、秋月龍、千代田秀一、水上穰太郎、青野瓢吉、小岩井曻三郎、廣田秀雄、駒井浅枝、澤一男

幕末の福井藩士で、安政の大獄で処刑された橋本左内の伝記映画。松竹初期の大スター・諸口十九が1930年代のトーキー作品に主演している。1934年に富士写真フイルムが開設した富士スタヂオで撮影が行われた。

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4月30日(水)19:00~ / 5月31日(土)13:00~

天明怪捕物 梟 ( 52分・18fps・35mm・無声・染色 )

'26(東亜キネマ)(監)(原)石田民三(出)阪東太郎、団徳麿、御園晴峰、片岡左衛門、沢村勇、華村愛子、浅間昇子、川端繁

人情に厚い目明し(阪東)が、横暴な与力(御園)と争いながら、謎の怪盗“梟”の捕縛を試みる捕物帖。奇想天外なメーキャップで“怪優”と呼ばれた団徳麿が、本作でも謎の老人に扮している(素材提供:パインウッド・カンパニー)。

豪快 村越三十郎 ( 42分・35mm・サウンド版・白黒 )

'37(甲陽映画)(監)高見貞衛(原)(脚)小鍛治泰祐(撮)荒木慶彦(出)羅門光三郎、桜井京子、貴志洋子、金井憲太郎、中山介二郎、川端繁、月岡久、大岩栄二郎、林寛、大沼龍太郎

剣の腕は立つがお人好しでおっちょこちょいの武士・三十郎を、羅門光三郎が魅力的に演じる喜劇仕立ての作品(プリント上のタイトルは『豪快 無双の剣士』)。甲陽映画は1936年から37年にかけて兵庫県西宮市に存在した会社。監督の高見貞衛はマキノプロダクション出身で、戦後は理研映画で教育映画を監督した。

上映スケジュール一覧

5月4日(日)16:00~ / 5月30日(金)19:00~

激流 ( 40分・35mm・白黒・不完全 )

'40(新興キネマ)(監)小石榮一(原)北小路英雄(脚)松崎博臣(撮)古泉勝男(音)中川榮三(美)植田種康(出) 宇佐美淳、眞山くみ子、加原武門、井上清、淡島みどり、鳥橋一平、大友壯之介、千松実、中村順一郎、花布辰男、植村謙二郎、浦邊粂子

故郷の河の水運事業の発展に精力を傾ける青年(宇佐美)と、村民を扇動して鉱山開発を進めようとする覚造(加原)の対立を軸に、村民の協力一致と勤労の尊さを訴える劇映画。一部場面が欠落しているが、物語の理解に支障はない。

まごころ ( 21分・35mm・白黒 )

'41頃(監)(脚)二宮茂樹(撮)都築嘉橘(出)小澤定美、奥岡英二郎、金子清二郎、洲崎正直、豊田憲太郎、三島慶子

1939年、軍馬資源保護法が施行されて戦時下における馬の管理・育成が強化された。本作は、日露戦争時に傷痍軍人となった老人が、軍馬の育成に傾注し、戦時下における馬の重要性を子どもたちに熱く訴える教育映画。

僕の萬年筆 ( 36分・35mm・白黒 )

'42(振進キネマ社)(監)井上麗吉(撮)小野隆司(音)渡辺弘(出)高橋四郎、三井章正、三好ふじ子、高島敏郎、松島信子、高木八郎、秋本陽子、夏目初子、濱田格

出征中の兄から預かった万年筆を宝物にしている弟の視点を通して、戦地から帰還した傷痍軍人をいかに迎えるかという当時の生々しい問題が細やかに演出された教育劇映画。息子の負傷を知った両親は、出生前に息子が言い交わした許嫁に申し訳ないと思い、結婚の取り止めを相手家族に申し出るが…。

上映スケジュール一覧

5月1日(木)19:00~ / 6月1日(日)13:00~

散りゆく大和櫻 空閑少佐 ( 16分・20fps・35mm・無声・白黒・不完全 )

'32(赤澤キネマ)(監)(脚)赤澤大助(撮)松村嘉久(美)飯野義明(出)靜香八郎、風間春子、邦江弘光、染谷昌子、靜田寛、黑川一太郎、澤田讓、浅香麗三郎

1932年の「上海事件」の際に敵軍の捕虜となったことを恥じて拳銃自殺した空閑昇の軍事美談。空閑が自害したのは3月28日であるが、本作はそれからわずか10日後に封切られた。結尾が欠落しているが物語の理解に支障はない(素材提供:プラネット映画資料図書館)。

赤心一票 明朗の曉 ( 25分・35mm・白黒 )

'35(東京日日新聞社=大阪毎日新聞社)(監)西尾佳雄(脚)小林正(撮)佐竹三男(出)西坂辰雄、富田百合子、飛田喜美雄、松宮かほる、望月五三郎

不正や買収のない公正な選挙の実現をテーマにした劇仕立ての教育映画で、内務省と選挙粛正中央連盟が賛助した。正しい選挙の実現を願う青年には結婚を約束した恋人がいたが、恋人の父親から買収を持ちかけられる…。

日の丸馬車 ( 43分・35mm・白黒 )

'39(英洋行教育映画部)(監)西尾佳雄(原)高橋英男(脚)下間登良男(撮)石川東橘(出)豊田健太郎、大西昇、更科弓子、井上千枝子、小沢定美、森正經、竹中保雄、小笠原修一郎、髙島敏郎

息子を戦地へ送った乗合馬車の馭者を主人公に、銃後における国民精神を謳った劇映画。当時の靖国神社の役割が叙情的に描かれている。なお、本作は太平洋戦争時にアメリカ政府が日本の国民性研究の素材として利用した1本。所蔵デュープネガから初めて上映用プリントを作成した。

上映スケジュール一覧

5月2日(金)15:00~ / 5月31日(土)16:00~

悲願 千早城 ( 50分・35mm・白黒 )

'46(大同映画)(監)平沢讓二(脚)長尾史録(撮)石川東橘、都築嘉橘(音)大村能章(美)内田竹雄(出)川田芳子、清水將夫、藤間林太郎、正邦修、高橋喜久雄、沢井正夫、沢井昭、高瀨守、靜香八郎、高島敏郎、村井喜代子、井上千代子、三島慶子、澄砂絵

楠木正成の死後に、遺された妻が3人の息子たちを立派に育て上げるまでの苦難を描いた時代劇で、松竹初期のスター・川田芳子が妻の役で主演。冒頭と結尾の字幕内容から、本作の撮影が戦争中に行われ、戦後になって公開されたことが推測される。大同映画は1946年に池田富保を中心に京都で設立されたプロダクション。

煉獄に咲く花 ( 38分・35mm・白黒 )

'53(監)石山稔(脚)山田良平(撮)布施福松(音)浦上鐘一(出)鈴木暁子、原惠子、久世まゆみ、大倉節美、三船あき子、畑三千代、眞弓田一夫、香住剛、大野道男、伊東巨介、滝島孝ニ、髙島敏郎

漁村の娘が東京で娼婦に転落してゆくさまを描くことによって、日本における人身売買の悲惨な実体を暴露し批判する劇映画。当時の衆議院と参議院の女性議員が本作品を推薦している(素材提供:プラネット映画資料図書館)。

上映スケジュール一覧

5月2日(金)19:00~ / 6月1日(日)16:00~

演芸映画選集 ( 計69分 )

ハリキリ靑春部隊(17分・35mm・白黒)
'30年代後半(読売新聞社)(監)長尾史録(出)春風亭柳橋、香島ラッキー、御園セブン、静ときわ、サクラヰ・イス・オルケスタ、滝譲二、ユーナ・プーポ人形劇団、早川三兄弟
芸人たちが落語、漫才、歌謡、バンド演奏、舞踊、フランスの人形劇、タップダンスなどを披露する楽しい作品。1930年代後半の映画館において、芸人たちがライブ・パフォーマンスをおこなう「アトラクション」興行が流行したが、本作は逆にアトラクションを映画化した「スクリーン・アトラクション」である。

亞歐聯絡大飛行完成記念 神風音頭(2分・35mm・白黒)
'37(朝日新聞社)(作詞)飯塚飛雄太郎(作曲)中山晋平(小唄)勝太郎、德山璉、市丸
1937年、朝日新聞社の飛行機「神風号」が、東京からロンドンまで94時間で飛行して世界記録を打ち立てた。本作はそのニュースに合わせて発売された歌謡曲「神風音頭」が流れる短篇作品で、「神風号」を背景に、踊り子たちが輪になって舞う映像が付されている。

特輯 藝能たから船 藝能映畫第三輯(お笑ひ週間 笑ふ風船)(30分・35mm・白黒)
'46(松竹大船)(監)(脚)川島雄三(脚)淀橋太郎(撮)亀山松太郎(出)西川サクラ、西川ヒノデ、河村黎吉、坂本武、横尾泥海男、坊屋三郎、橘薫、 並木路子、佐野周二、水戸光子、田端義夫、三井秀男、山路義人、上山草人、三浦光子、原保美、髙峰三枝子
兵士の慰問のために組織された「芸能たから船」の船内を舞台に、松竹のスターや多くの芸能人たちが漫才、歌謡曲、ミュージカルを繰り広げる愉快な喜劇。監督の川島雄三の回想によると、本作は戦争末期に製作されたが、公開されたのは終戦後の1946年で、国策調の場面がいくつかカットされたという。ただし本プリントが戦後版なのか、戦中版なのかは不明(素材提供:手島茂氏)。

麗人歌合戦(20分・35mm・白黒)
'46-47年頃(朝日映画社)(音)平川英夫(出)東ヤジロー・キタハチ、柴田つる子、松原操、池眞理子、渡邊はま子、髙田せい子、山田五郎
終戦後に製作された演芸映画。東ヤジロー・キタハチの漫才、歌手の柴田つる子(「悲しがらせないでね」)、松原操(「駒鳥は啼けど」)、池眞理子(「愛のスヰング」)、渡邊はま子(「蘇州夜曲」)らが登場する。特別出演として舞踊の高田せい子と山田五郎も登場。アメリカからの「返還映画」の1本で、これまでほとんど上映する機会のなかった作品。

上映スケジュール一覧

5月3日(土)13:00 5月28日(水)19:00~

戦前記録映画選集 ( 計103分 )

西比利亜派遣軍之情况(14分・16fps・35mm・無声・染色・不完全)
1920年末から1921年2月にかけて、徳島県の材木商・野々村浅太郎が、在郷軍人会が集めた慰問袋を携えてシベリアの派遣第11師団を慰問した際の記録映画。撮影の澤田順介は1916年の大阪に設立された「サワタ映画」の社長。本作品は1921年3月に徳島市の映画館で出征軍人の家族等のために上映された記録が残っている(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'21(サワタ映画)(撮)澤田順介

皇太子殿下御歸朝 第一巻 (4分・18fps・35mm・無声・白黒・不完全)
1921年9月3日、約半年のヨーロッパ外遊を終えた皇太子殿下(後の昭和天皇)が横浜港から東京駅を経て帰還する風景を撮影した記録映画。/'21(推薦映画協会)(監)今井兼寛、牧野虎次、星野辰男(撮)花房種太

山縣公爵國葬實况 (6分・16fps・35mm・無声・白黒)
1922年2月9日に執り行われた、第3代と第9代の内閣総理大臣・山縣有朋の国葬を記録した作品。葬列の様子や日比谷公園の式塲の風景が映し出されている。/'22(日活)

東京築地本願寺再建起工式 (13分・20fps・35mm・無声・白黒)
1931年10月21日に挙行された東京築地本願寺の起工式の記録映画。/'31

早稻田大學創立五十周年記念式典 (13分・20fps・35mm・無声・白黒)
1932年10月17日から20日までの記念式典の様子を記録した作品。創立者の大隈重信と第3代総長・髙田早苗の銅像除幕式をはじめ、招魂祭、大隈講堂における記念式、戸塚運動場で開催された祝賀式、提灯行列の準備などの様子が映し出されている。/'32

三社祭 (5分・20fps・35mm・無声・白黒)
東京・浅草神社の三社祭の記録映像。タイトルやエンドマークなどもなく、映像内容から関係者の記録用に撮影されたと推測される。画面中に、映画配給会社「モリモト映画配給社」(当時の住所:浅草区田原町2-27)の看板が見えるのも浅草らしい。/'32頃

帝都の防空 (23分・18fps・35mm・無声・白黒)
帝都を護るためには平素から敵機の襲撃に備えて防空訓練をしなければらない、という趣旨の教育映画で、神田区防護団六分団の訓練の模様が記録されている(素材提供:角田実氏)。/'33-34年頃(櫻映画製作所)

東郷元帥 國葬の實况 (9分・20fps・35mm・無声・白黒)
1934年6月5日に挙行された日露戦争の英雄・東郷平八郎の国葬を記録した映像。きわめて状態の良い可燃性プリントを不燃化した(素材提供:川喜多記念映画文化財団)。/'34

山階宮御所藏映画 (10分・24fps・35mm・無声・白黒)
海軍航空隊に所属して「空の宮様」とも呼ばれた山階宮武彦王(1898-1987)が、アブロ機やF5号飛行艇や繋留気球に搭乗される模様を記録した作品。横浜シネマ商会の創業者・佐伯永輔はカメラの趣味を通じて武彦王と親しくなり、当時撮影許可が下りなかった海軍航空隊の様子を撮影することができたという(素材提供:学習院大学史料館、勧修寺)。/'23(ヘンリー映画製作所=横浜シネマ商会)(撮)吉田英男、中村次郎、相原隆昌

政友会総裁 田中義一氏演説 (6分・21fps・35mm・白黒)
立憲政友会の総裁で第26代内閣総理大臣だった田中義一の政策演説を収録したトーキー作品で、録音方式は皆川芳造が手がけたフィルム式の「ミナトーキー」。萩博物館より借用したプリントから複製。/'28(昭和キネマ)

上映スケジュール一覧

5月3日(土)16:00 5月29日(木)15:00~

戦中記録映画選集 ( 計103分 )

中支那鐵道 建設の記録 (51分・35mm・白黒)
中国大陸における日本軍の兵站業務を円滑化するために、鉄道の敷設に邁進する「建設戦士」たちを追った記録映画(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'37(同盟通信社=鉄道省)

転換工場 (18分・35mm・白黒・不完全)
戦時下における産業構造の変化にあわせて地方の繊維工場が精密機械の生産工場へと「転換」する際に、女子工員たちが新しい仕事に積極的に取り組んでゆく様子が描かれる文化映画。脚本はポール・ローサの『ドキュメンタリィ映画』を翻訳した厚木たか。/'44(朝日映画)(監)森永健治郎(脚)厚木たか(撮)永塚一栄

海軍と体操 (34分・35mm・白黒)
海軍で考案・改良された海軍体操が軍隊の士気と健康に効果的だと説く文化映画で、当時の批評で高く評価された作品。海軍体操の原理と実例が詳しく解説されており、職場や学校などでも広く実施することが奨励されている。所蔵デュープネガから初めて上映用プリントを作成。/'42(日活多摩川=海軍省教育局)(監)(構)西村元男(撮)氣賀靖吾、山崎安一郎、小西昌三(音)福田宗吉

上映スケジュール一覧

5月4日(日)13:00~ / 5月29日(木)19:00~

戦後記録映画選集 ( 計66分 )

国立近代美術舘 記録 第1集 (8分・24fps・35mm・無声・白黒)
1952年12月フィルムセンターが建つ地に開館した国立近代美術館(現・東京国立近代美術館)の初期の様子が映し出された記録映画で、皇后陛下・皇太子殿下やロックフェラー夫妻が来館したときの様子も映し出されている。所蔵する可燃性マスターポジを不燃化した。/'53

美の誕生 (9分・35mm・白黒)
デンマーク体操を紹介する短篇映画で、名キャメラマン・岡崎宏三が監督・撮影した珍しい作品。歌に合わせて女学生たちが優雅に舞うさまが、軽快なカッティングやスローモーションなどで表現されている(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'48(プレミア映画)(構)(撮)岡崎宏三(音)橫田昌久

貿易まつり (18分・35mm・白黒)
1949年に横浜で開催された日本貿易博覧会の記録映画。会場準備の様子にはじまり、貿易の歴史が説き起こされ、各パビリオンの展示物にあわせて日本の主要な輸出商品が紹介される。テレビジョンの公開実演の様子も映し出されている(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'49

日本の象徴 (21分・35mm・白黒)

戦後の日本における“人間天皇”の魅力をアピールする映画で、徳川夢声がナレーションを担当。占領期における天皇の社会的な位置付けを考える上で興味深い。/'50(理研映画)(構)岡野巖(撮)福井德夫(音)安倍盛(解説)德川夢声

さばん丸完成 (10分・35mm・白黒)
戦争末期に呉港の沖合で沈没した戦標船「さばん丸」が、1949年に海底から引き上げられ、翌年に石油などの輸送タンカーとして生まれ変わるまでの修復過程を記録した作品。/'50(理研映画)

上映スケジュール一覧

5月1日(木)15:00~ / 5月30日(金)15:00~

戦前の普及宣伝映画 ( 計66分 )

郵便物語 遞信シリーズ・第一扁 (32分・22fps・35mm・無声・白黒)
さまざまな郵便物の種類をわかりやすく解説した文化映画で、遞信博物館が指導。『雪国』(1939年)や『或る保姆の記録』(1941年)など良質の文化映画を製作した芸術映画社の初期作品。所蔵する可燃性オリジナル・ネガを不燃化した。/'36(芸術映画社)(監)(構)南不競(撮)中山良夫

製糖の実況 (16分・18fps・35mm・無声・染色・不完全)
砂糖が製造・包裝・積出されるプロセスを詳細に紹介する明治製菓の宣伝映画。当時の映画雑誌によると、明治製菓は本作を含む会社の宣伝映画を、全国の小学校を巡回して無料上映することになっていた(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'27

我等の明治 (10分・35mm・白黒・不完全)
明治製菓が経営するレストランや売店の従業員に対して、接客のマナーを指導する社員教育用の研修映画(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'36(写真科学研究所)

伸びゆく明治 (8分・35mm・白黒・不完全)
チョコレート、ビスケット、キャラメルなどの製造過程を、原材料の栽培からお菓子の包装まで紹介する宣伝映画で、会社の衛生的で近代的な特徴がアピールされている。社長の相馬半治氏の講演が最後に入っている(素材提供:プラネット映画資料図書館)。/'36(写真科学研究所)

上映スケジュール一覧

料金

一般500円 高校・大学生・シニア300円 小・中学生100円 障害者(付添者は原則1名まで)は無料
観覧券は当日・当該回にのみ有効。開映後の入場は不可。
発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切。
学生、シニア(65歳以上)、障害者の方は、要証明書。 発券は各回1名につき1枚のみ。
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール 定員:310名(各回入替制)
http://www.momat.go.jp/

2008年4月24日(木)~5月15日(木)/5月23日(金)~6月1日(日)まで
※ただし毎週月曜は休館

2008/05/01/13:11 | トラックバック (0)
国立映画アーカイブ(元フィルムセンター)
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