(2004 / 日本 / 青山真治)
ウットオしい前髪

百恵 紳之助

 なんか・・・。やっかいな映画というか、微妙な映画でとっても困ってしまうなあ。 床屋さんに行った翌日にどうしても同じ髪型にならなくてイライラしてしまうような感じ。
 お受験とか不倫、別荘での殺人事件という設定と画面が何だかテレビのドラマスペシャルみたいな気持ちもした。 テレビドラマのように犯人探しにおばちゃんたちが躍起になるような映画であればそれはそれでいいんだけど、 どうも上手い役者陣をつかって何か煙に巻かれたような気がしないでもないでもないでもない。 つまり結局何を見せたいのかよく分からなかったということなのだけど・・・。

 犯人探しのミステリーとして、犯人が何となく想像つくまではグイグイ物語に引き込まれる。でもそれ以降が退屈でしかたがない。
 森の中で延々と続く家族や子供たちのことについて何だか大切なふうなことを語り合う場面とか長い長い。 (しかしそんなに子供のことが分からないということが大人にとって不安なのかね)。 ミステリー小説を読むと決まってページを飛ばしてしまいオチを先に読んでまた戻るという読み方をする筆者など「結局どーなのよ!?」 というところが気になってしかたがないがそれは教えてくれない。子供の頃夢中になって観ていた一連のアガサ・ クリスティ映画のような作品を揉み手をしながら期待していた筆者がお呼びでない客だったのか。

 こいつらスッゲー悪いことしてるわりに、その後の自分たちのことだけ考えてるし、役所広司だって自分の愛人殺されて、 しかも犯人が奥さんかもしれなかったりはたまたホニャララだったりもするのに、自分の母親に電話していた朝にはえらい心境の変化で、 この辺りが非常に筆者としては見ていて混乱してしまった。そして不可解なラスト周辺。正直言ってチンプンカンプンで落ち込んでしまった。 やっぱり単純にミステリーだけ見たいと言いますか・・・。いや、なんかよく分からないというのもミステリーなのかも知れないけど・・・。

 でも犯人が想像つくまでは本当に面白かった。最近の日本映画にはあまりない本格ミステリーという感じでワクワクしながら見れる。
 自分の愛人を別の二家族の前で殺されたという設定の男が主人公なのだから、 一体この男はどんな振る舞いをするのだろうとやはりその辺りは画面に釘付け。妙にズレた柄本明と役所広司の掛け合いは、 もはや日本映画のお家芸になりつつあるようなコンビであるが、それに鶴見辰吾も加わった死体遺棄の場面は笑える。 黒田福美もふくよかで良いし、最近すっかりバラエティづいた杉田かおるもこのメンツの中、堂々たる芝居で「あ、こいつ女優だったんだよな」 と思い出させてくれる。ご贔屓の薬師丸ひろ子はすっかり老けてしまったが、まぁ役にはぴったりだった。

 そんな役者陣が何だかみんなちょっと浮世離れした感じで妙な緊迫感を醸し出しており、ずっと飽きることなく観れる。 しかも前髪で表情が良く見えなかったりする登場人物が多いような気がして、それも何考えてんだか分からなくなり不気味。 特に子供たちがみんな表情がよく見えなかった。
 でも、最後に子供たちを前にした大人たちの姿が見たかったなあと知りたがりの筆者はすごく思うわけです。
 鬱陶しく気になってしまう映画には違いありません。

(2005.1.16)

2005/04/30/19:58 | トラックバック (0)
百恵紳之助
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