マジメなホテルマンとその別れた女房、夢を諦めたベルボーイ、
不祥事を起こした政治家と元愛人のベット係、寂しいコールガールとそのコールガールとの関係に脅える鹿の研究家、大物演歌歌手、
本当は歌いたい歌のある歌手、そのマネージャー、間抜けな総支配人、ホテルの筆耕係、ガチョウ・・・
などなど登場人物の半数もあげてはおりませんが、そんな人たちが大なり小なりの問題を抱えながらたくさん絡んだり、
ちょっと絡んだりして、その問題にケリをつけていくという大晦日のお話でして、
どんどん混乱するシチュエーションを何の混乱もなく見せる三谷幸喜の腕前は今さら特筆すべきことではありませんが見事としかいいようがないです。
映像の設計図と言われているシナリオですが、この設計図にはさらに設計図がありそうな感じです。
いったいどうやって書いているのでしょうか?面倒くさくなってニ、三人殺してしまえとなっても誰も文句言わなさそうですが・・・。
(そりゃこんだけ登場人物がいれば少しはかわいそうな人たちもいましたけど)。
そしてその大勢のキャラクターを演じる役者さんたちも大御所から小粒な人、意外な変化球な人と隅々に気を配ったキャスティング。
とても賑やかで楽しいです。観ている間じゅうまったく退屈することはありません。面白かったです。
面白かったのですが・・・文句にもならんことを言いますと、
高級ホテルという設定の割にはウットリしちゃうくらいのゴージャス感をあまり感じなかったせいか
(これくらいが上品なのかもしれませんが)なんか狭苦しいし妙に現実感があって、
これならばもうちょっとヒリヒリと痛い登場人物がいても良かったのではないでしょうか。
いえ皆さん痛いのはよく分かるのですが、大晦日ってのはやはり新年に向けて不安や悩みがないのが一番。
なのでたいしたことじゃなくても大晦日に痛いと平日の五倍は痛く感じてしまいます。そう言った意味での(どう言った意味なんだか・・・)
大晦日の痛み感のようなものがもうちょいあると、これは「映画くらいは観に行けるけど、実は今痛くてさあ・・・」
と思ってらっしゃる人たちくらいの心にもビシバシとくるのではないかと。
なんと言いますか、映画全体から感じる余裕感というものが、 この間口の広い映画の間口をちょっぴり狭くしているのかなと思いました。 余裕のある人たちが余裕のある人たちのために作ったような気持ちがどうしても拭えない。これは前作「みんなのいえ」 のときにも感じた「こっちは家なんか建てらんネーよ」というあんな感じなんですが・・・。いえ一作目の「ラヂオの時間」 なんかはラジオ局で、しかもラジオドラマの収録という特殊な設定ではありながら、 出てくる連中はみんなどこかで見たことのあるような愛しい人たちばかりだったようなことも思い出したりして・・・。 どーせなら完全についていけないくらい有頂天でも・・・。なんだかひがみに近い・・・と言うかひがみでしかないですねこれは。 ケチな文句をつけてもしょーがないすね。ちっとはシャレたホテルで年越しなぞしてみたいといまだに思いますし、 こんなにも正月映画らしい邦画は久し振りのような気もするし、楽しい映画でした!
(2006.1.23)
主なキャスト / スタッフ
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