アメリカで“恋愛小説の神”の異名を持つニコラス・スパークスのベストセラー小説を、名匠ラッセ・ハルストレムが映画化した『親愛なるきみへ』の一般試写会に50組100名様をご招待!
◆日時:9月6日(火) 18:00開場、18:30開映
◆会場:よみうりホール (東京都千代田区有楽町1-11-1 読売会館7階)
◆『親愛なるきみへ試写』(メールでご応募の場合は件名)と、「お名前・ご住所・電話番号 ・年齢」を明記の上、こちらのアドレスか、メールフォームからご応募下さい。
◆応募締め切り:2011年8月30日(火)応募受付分※応募者多数の場合は抽選となります。
◆公式サイト:http://www.shinkimi.jp/
註)ご提供いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的では一切使用いたしません。また、個人情報そのものも招待状発送後一週間で破棄します。当選者の発表は、招待状の発送をもってかえさせていただきます。なお、当選に関するお問合せへの回答はいたしかねます。予めご了承下さい。
2011年9月23日(金・祝)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー
世界で最も読まれた恋愛小説 待望の完全映画化
愛の本質に迫る美しくドラマチックなラブ・ストーリー『親愛なるきみへ』は、世界中で大ヒットしたニック・カサヴェテス監督による感動作『きみに読む物語』(04)を代表として、『メッセージ・イン・ア・ボトル』(99)、『ウォーク・トゥ・リメンバー』(02)、『最後の初恋』(08)の原作者であり“恋愛小説の神”の異名をとるニコラス・スパークスのベストセラー小説「きみを想う夜空に」の映画化である。すでに全米ではニコラス・スパークスの作品史上最大のヒットを記録している話題作だ。
南部の裕福な家庭に育った女子大生のサヴァナ・カーティスと誠実な特殊部隊の兵士ジョン・タイリー。住む世界のまったく違うふたりは、お互い帰省中に故郷サウスカロライナの海辺で出会い、恋に落ちた。めくるめく2週間を過ごし、深い愛情の芽生えを感じ始めた頃、無情にも休暇は終わり、ジョンは戦地へ、サヴァナは大学へと戻らなければならなかった。
遠く離れたふたりだが、絶え間なく手紙を交換することによって、愛はより深いものへと発展していく。だが、世界情勢の複雑化によりジョンは心の中では帰還を切望しながらも任務の延長を志願する。一方、故郷に戻ったサヴァナにも思わぬ出来事が起こる。時間と距離によって隔たったふたりの愛は、大きな試練を迎えようとしていた……。
2週間で本当の恋に落ちたふたりは、愛を永遠にすることは可能なのだろうか?
本当に人を愛するとはどういうことなのか?真実の愛ならば、時を経ても風化することは決してないのだろうか?
携帯電話とメール時代に、手紙という手段を通じて育まれる愛は、現代人が忘れていた大切なものを思い起こさせる。人と人との関係が味気なく、希薄になりがちな現代だからこそ、たったひとつの「絆」を大切にする主人公たちの一途な想いが心にしみる。せつなさが愛おしく感じる。
多くの映画監督が映画化を切望し、どの小説も出版される前から映画化権取得競争が白熱するといわれているスパークスだが、彼が小説の中で常に追求している“真実の愛”の語り部として、今回白羽の矢が当たったのは、3度のアカデミー賞候補を誇るラッセ・ハルストレム監督である。『マイライフ・アズ・ア・ドック』(85)、『ギルバート・グレイプ』(93)、『サイダーハウス・ルール』(99)などの傑作を手掛けているスウェーデン出身の名匠は、とりわけ人物描写の掘り下げに定評がある。「抒情的なラブ・ストーリーを映画という壮大なカンバスの上で思う存分描けることに惹かれた」というハルストレムは、登場人物たちの感情を繊細に掘り起こすことで、パワフルで感動的なラブ・ストーリーをセンチメンタルに浸ることなく、リアルに描くことに成功している。
これまでの作品でも、ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、ジュリエット・ビノシュなど多くのスター俳優の演技を開花させた手腕も高く評価されているハルストレム監督の元に、最も旬な俳優たちが集結した。
ヒロイン、サヴァナを演じるのは、アマンダ・サイフリッド。ロングランを記録している同名の大ヒットミュージカルの映画化『マンマ・ミーア!』(08)で大ブレイクしたアマンダは、夫の浮気疑惑に悩まされる女医(ジュリアン・ムーア)から夫を誘惑するように依頼される妖艶な娼婦を演じた『クロエ』(09)、「ロミオとジュリエット」の聖地イタリア・ヴェローナに世界中から届くラブ・レターをモチーフにした『ジュリエットからの手紙』(10)、『トワイライト~初恋~』(08)のキャサリン・ハードウィック監督によるグリム童話を下敷きにしたロマンチック・ホラー『赤ずきん』(11)など今年だけでも主演作が立て続けに公開されており、今ハリウッドで最も注目される若手女優である。
もうひとりの主人公、特殊部隊の兵士ジョンを演じるのは、『G.I .ジョー』(09)で注目されたチャニング・テイタム。この夏公開になったアル・パチーノ共演のクライム・サスペンス『陰謀の代償』(10)などこれまではアクション映画などハードな印象が強かったテイタムは、本格的なラブ・ストーリーに初挑戦。タフで精悍なルックスの一方で、純愛に苦悩する青年の繊細さを見事に体現し、俳優としても新境地を開拓している。
また、『親愛なるきみへ』ではジョンと自閉症の父親ミスター・タイリーとの間の複雑な親子関係が、もうひとつの“絆”のドラマとして描かれるが、このミスター・タイリーを演じているのが『扉をたたく人』(07)でアカデミー賞主演男優賞候補となった演技派俳優のリチャード・ジェンキンスである。他にも自閉症の息子を持つ、サヴァナの家族の友人ティム役には、『ET』(82)や『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(94)のヘンリー・トーマス。脇を固める俳優の高いパフォーマンスがこの美しいラブ・ストーリーに深みを与えていることも間違いない。
チャニング・テイタムによって具現化された、
“恋愛小説の神”ニコラス・スパークスの最高傑作の映画化。
2010年、全米で公開されるや否や大ヒットした感動のラブ・ストーリー『親愛なるきみへ』。この稀有な物語の映画化を企画したプロデューサーのマーティ・ボーウェンは、ベストセラー作家ニコラス・スパークスの小説「きみを想う夜空に」の出版前の原稿を手に入れたときの感動を語る。「スパークスは、彼の創り上げた世界や登場人物たちに読者を引き込む術を熟知している。その上、この物語には、僕が予想さえしていなかった展開が待っていたんだ。本当に感動したよ」。
だが、ボーウェンの最大の懸念は、「この完璧な男―ジョン・タイリーを演じることができる俳優などいないのではないのか」ということだった。精悍な若き兵士で祖国のためなら命を捧げる覚悟のある男。その上、ひとりの女性との純愛に、心が張り裂ける思いをする心やさしき男。そんな懸念を一気に晴らしたのがチャニング・テイタムだった。
「彼が出演していた『A Guide to Recognizing Your Saints』(06/未)や『ステップ・アップ』(06)を思い出して、彼にはジョン・タイリーに必要な資質が両方とも備わっていることに気がついたんだ。もし、チャニングがやってくれたら、面白い作品になるに違いないと思って、彼のエージェントに小説を送ったら、チャニングもとても気に入ってくれたんだ。本当にぴったりの役だからね」
ジョン・タイリーの相手役として抜擢されたのが、今最も輝いている女優アマンダ・サイフリッドである。ミュージカル映画『マンマ・ミーア!』(08)でメリル・ストリープの娘を演じて大ブレイク中だったアマンダは、聡明で心やさしい南部の良家の娘サヴァナそのものだった。
“理想の恋人たち”が見つかり、小説「きみを想う夜空に」も発売後すぐにベストセラーとなり、映画化に弾みがついた。映画化が形になり始めたところで参加が決まったのが、脚本家のジェイミー・リンデンである。マシュー・マコノヒーが主演したスポーツドラマ『マーシャルの奇跡』(06/未)で名を上げていたリンデンは、ラブ・ストーリーを書いた経験がないことを懸念したが、それでもこの仕事に魅了されたのは、ジョンと父親のミスター・タイリーの興味深い関係にドラマを見出したからだという。小説とは異なる方法で父親と息子のクライマックス・シーンを描くことで、物語には映画ならではの深みが生まれた。リンデンは語る。
「この映画はジョンとサヴァナのラブ・ストーリーだ。でもジョンと父親のラブ・ストーリーでもあるんだ」
親愛なる監督ラッセ・ハルストレムへ。~スウェーデンから来た愛を描く魔術師。
数々のヒット作の原作となっているニコラス・スパークスの小説だが、「きみを想う夜空に」は恋愛映画の原作としての期待度は群を抜いていた。史上稀にみるラブ・ストーリーの指揮を執るのは誰か?プロデューサーたちが白羽の矢を立てたのは、スウェーデン出身のベテラン監督ラッセ・ハルストレムだった。ハルストレムは、美しい映像だけでなく、人生の豊かさや驚き、失望といった感情を持ち込み奥の深いキャラクターを創り上げることで定評のある監督である。『親愛なるきみへ』の主人公ジョン・タイリーとサヴァナ・カーティスは、ハルストレム監督がこれまで創り上げてきたキャラクターたちとの共通点があった。初めて国際的に成功した『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(85)のイングマル少年(アントン・グランセリウス)、『ギルバート・グレイプ』(93)のギルバート(ジョニー・デップ)、『サイダーハウス・ルール』(99)のホーマー(トビー・マグワイア)、『ショコラ』(00)のヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)……。
プロデューサーのボーウェンは、ハルストレム監督の才能をこう称賛する。
「強烈な感情のうねりをもつ脚本を、パワフルで感動的な映画にしたい。けれど、メロドラマの罠には陥りたくないとしたら、頼むべき監督はひとりラッセ・ハルストレムだ。彼は映画を過度に知的にすることも尊大にすることも、あまりにもメロドラマチックにすることもせずに感動的な映画をとる唯一無二の監督なんだ。感情を大げさに描くのではなく、誠実に描くことができる。それが彼を特別な監督にしている理由だと思う」
ラッセ・ハルストレム監督は、この恋愛小説の映画化に惹かれた一番の理由をこう語る。
「抒情的なラブ・ストーリーを映画という壮大なカンバスの上で思う存分描けることも魅力的だったんだ。それに、恋に落ちるふたりの若者の物語が素晴らしかった。僕は常にキャラクター主体の物語に興味をもっているからね」さらに、「鮮烈な感情をセンチメンタルに描かないことにこそ興味がある」とハルストレムは続ける。
「人間の持つ抗い難い強い感情は、素晴らしい。そこには微妙な境界線があるのだけれど、その線に沿って注意深く歩きながら、自分にそれが操れるのか、試すんだ。僕はそうした感情をできるだけリアルに誠実に描くことにこそ興味があるんだよ」
参加した俳優たちからのハルストレム監督への信頼は厚い。いち早くこの映画への参加が決まっていたチャニング・テイタムは、ハルストレム監督の参加を手放しで喜んだひとりだ。「ハルストレム監督が脚本を気に入り、参加が決まったと聞いたときはものすごくワクワクしたよ。とても繊細な優しさのある監督なんだ」
アマンダ・サイフリッドは彼の演出マジックについてこう語る。「ものすごい集中力なの。起こっていることすべてに耳をそばだてて目を凝らす。それにとてもヨーロッパ的ね。スウェーデン人独特の感性なのかもしれないわね!」
ジョンの父を演じた名優リチャード・ジェンキンスを称賛を惜しまない。「監督は、白黒はっきりしないものを探求し描きたいと思っている人なんだ。それに誰に対しても協力を惜しまない寛大な人だし、本当に生き生きとしたリアルな演技に興味をもつ。それこそすべての撮影現場で俳優が望んでいることなんだ」
親愛なるジョンへ。~純愛に苦悩する精悍にして繊細な若き兵士。
『親愛なるきみへ』の主人公であるジョン・タイリーを演じたチャニング・テイタムは、韓流スター、イ・ビョンホンと共演した『G.I.ジョー』(09)やジョニー・デップ共演の『パブリック・エネミーズ』(09)、アル・パチーノ共演の『陰謀の代償』(10)と話題作が続くハリウッドの注目株である。キャリアを振り返ると、恋愛映画にはほとんど出演していない。「走り回って撃ち合ったり、ビルからジャンプしたりする自分しか想像できない」とテイタムはいう。「だからこそ、この映画は、俳優としてラブ・ストーリーを本格的に楽しめるチャンスだと思ったんだ」
なによりもテイタムが魅了されたのはニコラス・スパークスの小説である。「本当に美しい小説なんだ。でも一方でこの物語には他の恋愛小説にはない鋭さのようなものもある」
出会った瞬間に恋に落ちたジョンとサヴァナだが、なぜあれほど急速にふたりの仲が深まったのか、テイタムはこう解釈している。
「生まれて初めて彼は、自分の心を開いてくれる人を見つけたんだ。僕は、自分の人生においても、いつでも僕を幸せにしてくれると思える人たちに出会った経験があるけれど、サヴァナはジョンにとってまさにそういう存在なんだ。ふたりはいつもそばにいたいと思わずにはいられないんだ。この映画は、ジョンが愛の可能性を感じとり、見いだしていく過程を描いている。愛に対して心を開き、愛を見つけること。そして、そのために闘うこと。もし愛を失ったらどうするのか?その答えがその人間の価値を決めるんだ」
念入りにキャラクターを研究し、自らのジョン・タイリー像を創り上げていく作業は興味深かった。
「ジョンの父親は医師の診断こそないけれど自閉症で、ある意味社会から孤立した存在なんだ。そんな父に育てられたからジョンは、社会的な処世術に長けていない。それに彼はとても孤独なんだ。おそらく父親からさえも逃げ出すために軍隊に入ったんだろうね。『G.I.ジョー』に出演したとき、僕はリサーチのため多くの兵士と会って、知り合いになった。彼らのみんな普通の人間だけれど、なんとなく寡黙なところがある。彼らの瞳にはどことなく静けさが漂っていることに気づいたよ」
ハルストレム監督はテイタムがジョンという若き兵士に「非常に賢く想像力に富み、素晴らしい魅力を与えた」と称賛する。「脚本にはない、厚みのある即興演技のできる俳優なんだ。とても繊細なユーモアの持ち主でもあるしね。チャニングはこの作品で俳優としての切れのよさを見せたと思うよ。これまで彼の演技の幅を見せられる役をそれほど多く演じてきたとはいえないと思うけれど、彼は本当に驚くほどの幅のある俳優なんだ」
親愛なるサヴァナへ。~愛と慈悲の間で揺れる心優しき南部の娘
『親愛なるきみへ』のヒロイン、サヴァナ・カーティスは、とても複雑で魅力的なキャラクターである。馬場やビーチハウスを持っている裕福な旧家に生まれ、愛情深い家族に囲まれて育ったお嬢様ではあるけれど、甘やかされて育ったような傲慢さは微塵も見当たらない。大学に通う一方、ボランティア活動にも精力的で、実際、ジョンと出会った春休みには、家の建設現場を手伝っていたほどの行動的な面もある。将来の夢は、自閉症の子供たちが馬と自由に触れ合えるような施設をつくること。
そんな若くて聡明なサヴァナ役に選ばれたのは、次世代を担う若きスター、アマンダ・サイフリッドである。ミュージカル映画『マンマ・ミーア!』(08)で大ブレイク後、さまざまなタイプの役柄を演じ、若き演技派としてのキャリアを着実に積んでいる賢明さは、地に足のついたサヴァナとの共通項だろう。アマンダは、サヴァナという女性の魅力をこう話す。「ジョンに会うまでは、彼女は本当の恋に落ちたことがないと思うの。彼と出会ってすぐに彼が完璧だと感じ始めるの。それってとても美しいことだわ。残念ながら彼女はその2週間後には、毎日会っていた彼に会えなくなってしまう。孤独を感じて、彼が危険なところにいる兵士だという事実と向き合わなくてはならなくなるのよ」ピュアで快活なサヴァナは、物語が進むに従って大人の女性として成長していく。その複雑な変化をアマンダは見事に体現してみせた。脚本家のリンデンは、アマンダの起用についてこう語る。「アマンダは、完璧なキャスティングだと思う。彼女には聖人ぶったところがひとつもないからね。一方で、直観的にメロドラマになりそうになる瞬間を避け、演じるキャラクターを自由に発展させてしまう能力を持っている。正しい直観力の持ち主だよ」
テイタムはオーディション中からアマンダの飛び抜けた才能に気がついたという。
「オーディションで実にさまざまな演じ方をやってみせたんだ。僕はあっけにとられてしまったよ。彼女の演技には他の誰にもない独特のユーモアとアイロニーがあるからね」
だが、最もアマンダの演技に魅了されていたのは、もちろん監督のハルストレムである。
「アマンダは、型にはまった演技もわかりきった演技もしないんだ。彼女の予測不可能なところは、僕にとって思いがけないご褒美だったね。新鮮な若手俳優との仕事はいつでもエキサイティングだけれど、とくにアマンダとチャニングとの仕事は刺激的だった。慣れてくるにつれ、それぞれのシーンで、彼らの即興での演技も撮影するようになったのだけれど、彼ら自身の言葉や瞬間のリアクションなどは、スクリーン上で生きているよ。ふたりは俳優として本当に誠実だし、演技は実にリアルだった」
親愛なる家族、そして友達へ。~若き恋人たちを見守る人々
ジョンとサヴァナのラブ・ストーリーを軸に展開する物語において、大きな感動を呼ぶサブ・ストーリーがある。それがジョンと彼の父であるミスター・タイリーの絆の物語である。ミスター・タイリーを演じたのは、トーマス・マッカーシー監督の『扉をたたく人』(07)で米国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた演技派のリチャード・ジェンキンス。彼は、ミスター・タイリーについてこう語る。
「彼はジョンを男手ひとつで育て、本当に息子を愛しているんだ。でも、それを表現する方法がわからない。物静かで口数が少なく、社交性もない。息子との関係も少しぎくしゃくしている。そこへサヴァナが入ってきて、ちょっとした三角関係のような構図ができあがるんだ。彼女は、父と息子の間の媒介者のような存在になる。サヴァナが父親に対するジョンの目を開かせるんだ。こういうことは、ときどき起こることだけれど、外から入ってきた第三者が誰よりもその家族を理解しているような感じだよ」
名作と呼ばれる映画に、共通するのは名脇役による名シーンである。『親愛なるきみへ』において、ジェンキンスが最も気に入っているのは、コインの収集という共通の趣味が、寡黙な父と息子を結び付けているという布石である。
「ジョンが少年の頃、父と同じようにコインの収集に熱中していた時期がある。彼が成長し、女の子やスポーツに興味が移って行くと、父親はひとりコインの世界に取り残され、親子関係はぎくしゃくし始めるんだ。コインを見たとき、僕は、初めて彼の脅迫観念が心から理解できたんだ。彼は、コインの世界に安心感と心の安定を求めていたんだよ。だから、サヴァナが彼のコインコレクションに興味を示すと、彼の心は少しずつ開き始める。とてもよくできたシーンだと思う」
ハルストレム監督は、ミスター・タイリーという魅力的なキャラクターに命を吹き込んだのはジェンキンスだと断言する。
「脚本に書かれたミスター・タイリーのキャラクターはとても興味深いものだった。だが、リチャードが演じることによって、この役はもっと面白くなったんだ。本当に彼には感服したよ。リチャードは、人間の行動を観察し、細かいところを見抜く素晴らしい目を持っている。彼はどの作品においても興味深い演技をする俳優だが、特に現実味のある生き生きとしたキャラクターを創り上げることに長けているんだ」
サヴァナの周囲にも、彼女の人生を彩る名脇役たちがいる。そのひとりがヘンリー・トーマス演じるティムである。無垢なサヴァナが傷つくのを必死に守ろうとする心やさしき隣人。「彼は離婚を経験していて、特別なケアが必要な息子アランがいる。それが彼の人間関係に影を落としているのだけれど、本当はとても誠実な男なんだ。そして、彼にとって誠実に人と付き合うことはとても大事なことだ。彼は、ジョンとサヴァナが恋に落ちる様子を間近で見て、彼が彼女を利用しているかどうかを監視するようになる。でも一方、彼の不安は増幅する。なぜなら彼はサヴァナを愛していたから。おそらくずっと以前からね」とトーマスはいう。興味深いのは、サヴァナを巡ってはライバルであるはずのジョンとティムがある種の絆で結ばれていることだ。ティムの息子は、ジョンの父親と同様に自閉症であり、それ故、ふたりは連帯感のようなものを感じているが、その友情に入った亀裂は、物語自体にもドラマチックな緊張感を与えている。
サヴァナと深い絆で結ばれているもうひとりの男性――ティムの幼い自閉症の息子アランは、「自閉症の少年がこの役を演じることは彼自身にとってもよい機会になるはず」というハルストレム監督の意向を受けて、自閉症患者のために尽力している非営利団体カロライナ・オーティズムの事務局長フィル・プレヴィンスを通してオーディションで選ばれた。
役を射止めたのは、6歳の自閉症の少年ブレーデン・リード。彼の自由な演技は、物語の後半ではキー・パーソン的役割を果たすアランの存在感をぐっと高めた。一緒にセットにいることの多かった父親役のトーマスは、驚きを隠せない。「ブレーデンの反応はとても自然なんだ。脚本に書かれたセリフに、彼は命を吹き込んでくれたよ」
ロケ地 ~サウスカロライナについて。
『親愛なるきみへ』の撮影は、そのほとんどが美しく歴史的な街、サウスカロライナ州チャールストンで行われた。サヴァナのビーチハウスは、サリバン島。ふたりが出会う桟橋はパームズ島。恋人たちが言い争う美しい浜辺は、フォリビーチ。ふたりが初めてデートするボーウェンズ・ワーフ・レストランやミスター・タイリーの家は、ジェームス島にある。サヴァナが手紙を書くのは、チャースルトン大学の由緒あるランドルフホールで撮影されたが、ここは『きみに読む物語』(04)や『コールドマウンテン』(03)『パトリオット』(00)のロケ地にも使われた。また、南部の風情が感じられるサヴァナの両親の家と馬場は、エディストのカッシーナ・ポイント・プランテーションが使用されている。ニュージャージー州の独立宣言に署名し、ベッツィロス国旗をデザインしたことで知られるフランシス・ホプキンソンの孫にあたるジェームス・ホプキンソンによって1847年に建てられた由緒正しき屋敷。裕福というだけでなく、時代を経て一家がそこで暮らしてきた歴史を感じせるような家は、まさに気高いサヴァナのバックグラウンドを雄弁に語る。
南部出身のチャニング・テイタムは、サウスカロライナでの撮影を大いに楽しんだと目を輝かせる。「食べ物も人もライフスタイルも、とにかく魅力的なんだ」。東部ペンシルバニア州出身のアマンダ・サイフリッドも南部にすっかり魅了されてしまった。「この土地には何かエネルギーのようなものがあるわ。ロマンチックで美しくて、それが映画に特別なものをもたらすのね。世界中であれほどのロケ地はないでしょう」
サウスカロライナでは、実際の南部の風景でなく、ジョンの従軍先となるドイツやアフガニスタン、アフリカ、コンゴ、東欧もすべて撮影された。南部に世界中のさまざまな土地を創り上げたのは、『男が女を愛する時』(94)や『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(95)など多彩なタイプの作品を手掛けてきた経験豊富なベテラン、カラ・リンドストロム率いるチーム。『アメリカン・スプレンダー』(03)や『イン・ハー・シューズ』(05)などを手掛けた撮影監督のテリー・ステイシーは、そのロケ地を前に感動を隠せなかったという。「脚本を読んだときにすぐさま、『武器よさらば』のようなクラシック映画を思い浮かべたんだ。ワイドスクリーンが、いくつもの異なる土地の豊かさや壮大さを具現化してくれる。僕たちは手持ちカメラで撮った激しい戦闘シーンとコントラストをつけるように、クレーンを大胆に使ったが画像と静止画像を多用して、生き生きとした風景を創り上げたいと思ったんだ」
背景としてのイラン戦争、アフガン戦争。
ジョンが所属しているのは、“グリーンベレー”として知られる米軍の特殊部隊である。
型にはまらない高度な訓練を受けたプロフェッショナルな戦闘組織は、世界最高峰のエリート集団としても有名だ。『親愛なるきみへ』の軍事アドバイザーを務めたギャヴィン・マッカリーは、2001年5月~2008年5月にイラク、アフガニスタンに赴任した経験を持つ元特殊部隊兵で、ジョンの仲間の兵士スパークス役として出演もしている。脚本の段階から本作に関わったマッカリーは、特殊部隊の任務や過酷を極める兵士たちのメンタリティについて具体的なアドバイスをすることでジョンのストーリーに真実味を与えることに大きく貢献している。衣装や小道具もできるだけリアリティを持たせることが監督の望みだった。軍の装備のコーディネイトや技術的な指導を行ったのは、軍事コンサルタントとして『G.I.ジョー』(09)など多くの映画に携わってきたグレゴリー・W・ビショップ。また、衣装のダナ・キャンベルは、記章や勲章に始まり、ブーツインするパンツの裾の処理の仕方まで特殊部隊の流儀を正確に再現することに徹した。BDU(迷彩柄の戦闘服)、DCU(砂漠地帯で着用する戦闘服)、ACU(テジタル・カモフラージュのための最新式戦闘服)など特殊部隊では異なるユニフォームがTPOに合わせて着用されるが、本作で使われているそれらの多くは、幸運にもャールストンで撮影されているTVシリーズ『アーミー・ワイヴス/Army Wives』(07~)チームから借用するなど奔走した。
また、マッカリーがスカウトしたノースカロライナ州フォート・ブラックに駐屯する特殊部隊の兵士たちは、テイタムを始めとする俳優たちを訓練し、映画にエキストラトしても参加している。彼らは、現役の兵士だが、ハルストレム監督は、戦争の舞台イラク戦争、アフガン戦争時代であることに留意していた。「キャラクターや物語の高揚感を別の時代に落とし込むことができるのは、とてもエキサイティングなことだ。時代背景は、第一次世界大戦や第二次世界大戦に設定することだってできる。でもこれは政治的な映画では決してない。だから、時代背景としては描いても、ジョンを、たとえばイラクのように特定の戦争だけに関与させたくはなかった。特殊部隊は世界中どこへでも送り込まれる。そういう意味でも特殊部隊という設定が必要だったんだ。この作品を通して、軍隊についても多くを学んだし、彼らに対してより深い敬意を抱くようになったよ」
原作:ニコラス・スパークス 『きみに読む物語』『ウォーク・トゥ・リメンバー』『メッセージ・イン・ア・ボトル』
製作:マーティ・ボーウェン,ウィク・ゴッドフリー,ライアン・カヴァナー 脚本・共同制作:ジェイミー・リンデン
音楽:デボラ・ルーリー 撮影監督:テリー・ステイシー 美術:カラ・リンドストロム 編集:クリスティーナ・ボーデン
出演:チャニング・テイタム,アマンダ・サイフリッド,ヘンリー・トーマス,スコット・ポーター,リチャード・ジェンキンス
原作著作:「きみを想う夜空に」(エクスナレッジ刊) 配給:プレシディオ (C)2010 DEAR JOHN, LLC. All rights reserved.
http://www.shinkimi.jp/
2011年9月23日(金・祝)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー
[単行本]
- 映画原作
- (著):ニコラス・スパークス
- 発売日:2007-11-29
- おすすめ度:
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- 監督:キャサリン・ハードウィック
- 出演:アマンダ・セイフライド, ゲイリー・オールドマン, ビリー・バーク, シャイロー・フェルナンデス, マックス・アイアンズ
- 発売日:2011-10-19
- おすすめ度:
- Amazon で詳細を見る
主なキャスト / スタッフ
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