ソ・
ミンジョン(現在ハン・ヨルム)(チェヨン役)
1983年10月25日生まれ。
高3の時、ソウルの繁華街ミョンドンで遊んでいるところを雑誌記者にスカウトされる。
数々の雑誌の表紙を飾りCMに出演しながら、演技の世界へ進む。インターネット映画、ドラマ
「サンドゥ、学校に行こう」、「ニューノンストップ4」に出演。以前からキム・
ギドク監督作品が好きだったため、『サマリア』のオーディションには大きな期待を持って挑んだ。
実年齢よりもベビーフェイスで、オープンなキャラクターが監督の思うチェヨンのイメージと一致し、
役を射止めている。撮影中は、チェヨンにしっかり同化したいと思っていたが、監督から「そう、
そんな風に笑ってて」と言われるたびに、
キャラクター作りよりも自分とチェヨンとの境がなくなってゆくことが不安になり、
役に向き合うのが恐くなったほど。チェヨンの笑顔の裏にある悲しみを、みごとに表した。
『サマリア』後に映画のオファが押し寄せたが、次作は未定。その一方で、
念願のファッションの勉強を始めている。
体を売る行為を通じて、
男性たちに仏教の教えを伝えたというインドの女性、パスミルダ。
21世紀におけるパスミルダの再現ともいえるチェヨンは、
友人ヨジンとヨーロッパ旅行に行く費用のために、ためらいなく体を売る女子高生だ。
彼女にとって体を売るつかのまの時間は、相手の男性と共感する瞬間であり、
ほんの短い時間であったとしても、生を共にする大切な時間だった。温かな母性愛で、
自分と関係した男性を包み込むチェヨン。ヨジンは客の男たちを不潔だと感じるが、
彼女はそんなヨジンを逆に慰め、いたわる。
イ・
オル(ヨジンの父親ヨンギ役)
1964年4月5日生まれ。
大学在学中から小劇場の舞台に立ち、シェークスピアや韓国の若手作家の作品など演劇の世界で長く活躍。
90年代より、『49日の男』('94/未)、イム・ゴンテク監督の『祝祭』('96)
と映画にも出演するようになり、'01年にイム・スンレ監督の『ワイキキ・ブラザース』
に主演に抜擢される。地方周りのミュージシャンの悲哀を表現し、大きな注目を集めた。
これがきっかけとなり、本格的に映画界に進出。'02年には『純愛中毒』でイ・ビョンホン、イ・
ミヨンと共演。兄弟と1人の女の間の複雑な愛情関係にあって、静かで揺るがぬ愛を捧げる夫を演じた。
また同年、心理ミステリー『H』にも出演。'03年は新人監督ヨン・イの『春の熊は好きですか』(未)
で、大人の恋を演じた。どの作品でも、精神性の深い、安定感のある演技力を発揮。
今や韓国映画界になくてはならない演技派俳優だ。最新作『レッド・アイ』では、再びクァク・
チミンと共演している。
妻と死別した後、
娘と二人暮しをする刑事。ヨジンの父親。
毎朝、朝寝坊の娘を起こして学校に送り出すことと、
海外のニュースを娘に語って聞かせることがその日の一番の楽しみという、
愛情こまやかな父親である。
殺人事件の起こったホテルで、偶然娘を目撃し、たいへんな衝撃を受ける。
そのショックと娘に対する失望はやがて怒りに変わり、
この世の中と援助交際をする男たちに向けられる。
彼の行動により物語は引き返すことのできない悲劇へ向かって走り出す。
クァク・
チミン(ヨジン役)
1985年2月13日生まれ。
言葉を使う仕事をしたい、と高2のときに母親を説得し芸能界に入る。ドラマ「私の美しい初恋」、
「ちゃんと生きろ」、映画『狐階段』に出演。高3で『サマリア』のオーディションを受けたが、キム・
ギドク監督作品はほとんどが韓国では18歳以下観覧不可のため、それまで一本も見たことがなかった。
オーディションでは、外見と内面のアンバランスさが鬼才監督の心を捉え、初の大役を得る。彼女は、
撮影直前までキム・ギドク監督を「周りからいろいろ聞かされ、恐ろしい監督かもと怖じ気づいていた」
と言う。
'03年10月に11日間で撮影が順調に完了。彼女がモデルになったポスターが、
センセーショナルな話題を振りまいた頃には、彼女自身は受験勉強に没頭していた。
'04年2月には今作がコンペ部門に出品され、十代の韓国人俳優として初めて、
ベルリン国際映画祭のレッドカーペットを踏んだ。この時世界のマスコミから、
韓国人初のヴェネチア映画祭主演女優賞受賞俳優にちなみ、"第2のカン・スヨン"と呼ばれた。
ベルリン映画祭監督賞受賞後は、「気持ちがすごく軽くなった。
高校の友人たちの誤解もすっかり融けたみたい」とコメントしている。
ベルリン映画祭のため高校の卒業式には出席できず、殺到するオファには受験勉強で応えられなかったが、
大学進学後に芸能活動を再開。ドラマ「恋をしようか」、韓国で'05年公開予定の映画『レッド・アイ』
に主演している。
ヨジンは父親と二人暮らしで純粋な心を持つ少女。
チェヨンの代わりに援助交際の約束を取り付け見張りをし、お金の管理をするが、
金で女子高生の体を買おうとする男性たちを憎悪している。しかし、チェヨンが死んだ後、
彼女が出会った男たちにお金を返すことで、彼らを許すようになる。男たちはヨジンと出会うことで、
生の真の意味を悟る。
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