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壮大な大自然の中で、
命をかけて"美しいもの"を守ろうとした男たちがいた。
ココシリ1

コ コ シ リ

2006年6月3日シャンテ・シネほか全国順次ロードショー

ココシリとは
中国最大の動物保護区ココシリには、チベットカモシカをはじめ、珍しい野生動物が数多く生息している。 しかし、この20年間、高級カシミア・スカーフの元となるチベットカモシカを 何百頭という単位で狩猟する密猟者が後を絶たず、その数は激減している。
1990年代、 周辺地域に住むチベット族の有志たちがパトロール隊を結成し、 ときには自らの命を犠牲しつつ、密猟を取り締まり始めた。 『ココシリ』は、中国青海省チベット高原、 海抜5000メートルの高さに位置するココシリにおける、 ボランティアと密猟者との生死をかけた戦いを描いた作品である。

ココシリ
ココシリでは、天国を思わせる素晴らしい青空の下に 想像を絶するほど美しい自然が広がっている。 そこは天国なのか。あるいは地獄なのか。良心と欲望との戦場なのか。 その答えは、現地へ足を踏み入れた者だけが知っている。
INTRODUCTION

ココシリ2ベット語で「青い山々」、モンゴル語で「美しい娘」を意味するココシリ。 海抜4700メートルの山肌に、神聖なほど美しく、 想像を絶するほど過酷な大自然が広がっているこの無人地帯は、 人が神に最も近づくことのできる中国最後の秘境として知られている。そんなココシリの山中で、 チベットカモシカの密猟者との戦いに、命を賭ける男たちがいた。「カシミアの王」 と称されるチベットカモシカが、密猟者の乱獲によって激減する事態を憂い、民間のマウンテン・ パトロールを結成した隊員たちだ。無償で隊に志願した彼らは、神が祖先に与え、 祖先が自分たちに残してくれたこの自然を、次の世代にも引き継いでゆきたいという熱い思いを胸に、 死と背中あわせの危険な任務に挑む。この映画は、そんな男たちが繰り広げる壮絶な戦いを、 180日におよぶ現地ロケという圧倒的なスケールにのせ、 ダイナミックかつスリリングに描き上げた真実のドラマの映画化だ。

 督は、紛失した拳銃の行方を追う警官の焦燥と苦悩を描いたデビュー作の『ミッシング・ ガン』で、若い才能を高く評価されたルー・チューアン。「マウンテン・パトロールの初代と二代目の隊長が、 パトロール中に命を落としたのを知り、彼らがなぜ無償でそこまでするのかを理解するために、 自分はこの映画を作った」と語る彼は、気温は零下20℃、空気の薄さは北京の1/3という、 およそ映画作りには適さない環境のなかで、高山病との格闘を強いられながら撮影を決行。マウンテン・ パトロールの男たちが、命を捧げてまで守り抜こうとした自然の偉大さと厳しさ、そして、 その自然と一体化して生きるチベット族の真に誇り高い生き様を、 ショットのひとつひとつに封じ込める驚異の映像を作り上げた。
 その未知なる映像体験に加え、見る者の心を熱く揺り動かすのが、真実のドラマの迫力だ。物語の語り部となるのは、 マウンテン・パトロール隊員の射殺事件を取材するために現地へやって来た都会育ちの記者。密猟者を追うマウンテン・ パトロールの旅に同行することになった彼と、同じ目線でココシリの奥深くへ分け入ってく観客は、 一度に500頭以上のチベットカモシカが犠牲になる密猟の凄惨な実態を知ると同時に、 生活のために密猟に手を貸さざるをえなくなった農民たちの厳しい現実をも知ることになる。「草原が砂漠になり、 放牧ができなくなったので、仕方なくこんなことをしている」――1頭5元の報酬で密猟者に雇われた毛皮加工職人の老人が、 木訥とした口調で語るセリフの重み。対するマウンテン・パトロールの隊員たちもまた、餓死と凍死の危機にさらされながら、 執念のみを原動力に、不眠不休で密猟の主犯を追跡するという苦行を強いられる。自然を守る側にも、自然を奪う側にも、 平等に与えられた凄絶な生の試練。それを真正面から見据えた本作は、第17回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞。さらに、 台湾金馬奨の作品賞と撮影賞、中国の華表奨の劇映画賞を受賞するなど、アジア各国で絶賛の嵐を巻き起こしている。

 リスマ性たっぷりのマウンテン・パトロールのリーダー、リータイを演じるのは、 チベットを代表する演技派スター、デュオ・ブジエ。チベットカモシカに対しても、 密猟者の側についた農民に対しても、敬意を持って接するリータイの共生の哲学が、 ごく自然に滲み出る彼の演技は、ドラマの感動の要だ。そのリータイと行動を共にする記者のガユには、 中国国立劇団出身のチャン・レイが扮し、17日間の旅を通じてサバイバルとは何かを学んでいくガユが、 劇的な変貌を遂げていく様を熱演する。その他のキャストは、ほとんどの者が、映画は初出演。しかし、 「良い映画のためなら辛い思いをする価値がある」を合い言葉に結束した彼らは、零下3℃の気温の中、 下着姿で川を渡る場面を、点滴を打ちながら乗り切るという、不屈の闘志で撮影に挑戦。 ココシリの自然を守る闘いに人生を捧げたマウンテン・パトロールの隊員たちの魂が、 まるで乗り移ったかのような気迫のこもった演技を披露している。
 映画の最後で私たちが知ることになるのは、ガユの書いた記事が反響を呼び、 ココシリに国家級自然保護区管理局が設立されたという事実だ。その結果、 2万頭を割り込んでいたチベットカモシカの数は5万頭まで回復し、 2005年からはチベットカモシカを保護するボランティア活動も始まったという。 リータイたちが命懸けで守ろうとしたものは、確実にいまに引き継がれている。究極の希望のメッセージが、ここにあるのだ。

Production Note

チベットカモシカとマウンテン・パトロール

ココシリ3 語名でチルー、 別名チベットレイヨウとも呼ばれるチベットカモシカは、標高5000メートル級の高山地帯に生息する野生動物。 分布しているのは、中国のチベット高原からインドのラダク地方北部にかけての秘境地帯。通常、 オスとメスは別々の群れを作って暮らし、エサ場を求めて移動を繰り返すが、 繁殖期には1頭のオスと10~20頭のメスによってハーレムが形成される。交尾の時期は11~12月、 出産期は翌年の5月。性格は用心深く、群れに負傷者がいると全体で走るスピードを落とし、 外敵から負傷者を守るという連帯的な特質を持つ。
  乱獲が始まったのは、1990年以降。1981年、中国が、絶滅に瀕する野生動植物種国際貿易条約に加入したさい、 チベットカモシカとその製品の輸出はいっさい禁止され、また、1988年に中国の国家1級保護野生動物に指定されてからは、 チベットカモシカの不法捕獲は厳禁されていたにもかかわらず、国際市場において高値で取引される毛皮を求め、密猟が横行。 かつては100万頭いたチベットカモシカが、1/100まで激減する事態となった。
シミアの王」 と呼ばれるチベットカモシカの毛は、厳寒の気候に適応するために、軽く、柔らかく、弾力性があり、 保湿性に富んでいるのが特徴。首まわりの長い毛で織られたショールの「シャトゥーシ」は、 1枚2~4万ドルの値段で売られるが、その1枚を織り上げるためには、5頭のチベットカモシカが犠牲にされる。結果、 ココシリでは、1990年から7年のあいだに、毎年約2万頭のチベットカモシカが、密猟者の銃弾に倒された。
うした事態を憂い、 解決に乗り出そうとした有志によって、1993年に結成されたのが、本作に登場する民間のマウンテン・パトロールだ。 無給で命懸けの任務につく隊員たちが、密猟者と険しい自然に加え、資金難とも戦わなければならなかったのは、 本作に描かれているとおりだが、その活動がマスコミにとりあげられたことから政府が対策に着手。1997年末、 ココシリ国家級自然保護区管理局を設立してチベットカモシカの保護を強化したのに続き、98年には、 中国チベットカモシカ保護白書を公表し、国際社会への協力を呼びかけた。
在、 ココシリで密猟者の取り締まりに当たるココシリ国家級自然保護区管理局には、 公安幹部警察13人を含む密猟監視員が58人おり、パトロールカーを8台有するなど、マウンテン・ パトロール時代に比べれば、設備も大幅に改善されている。また、2005年3月には、 チベットカモシカの保護に携わるボランティアを全国から募集する運動が行われたが、これには5千人あまりの人々が応募。 実際に、5月から月1回のボランティア活動が行われた。
うした人々の努力の甲斐があって、 チベットカモシカの数は、現在5万頭にまで復活。チベットカモシカが、 2008年の北京オリンピックの5種類のマスコットのひとつに選ばれたこと(名前はインイン)もあって、 その保護に対する人々の関心は、ますます高まりつつある。

点滴を打ちながらのチュマ河での撮影
作の撮影に先駆けて、監督のルー・ チューアンは、チベットの人々との交流に1年を費やし、一緒に映画を作っていくための信頼関係を構築。2003年に、 180日およぶココシリでの現地ロケを決行した。そのロケが最も困難をきわめたのは、 トイレが屋外にしかない兵舎に寝泊まりしながら、マウンテン・パトロール隊が密猟に手を貸した農民たちを追跡する場面を、 実際のチュマ河で撮影したときのことだ。現地の海抜は4700メートルで、空気は北京の1/3ほどの薄さ。 100名ほどのクルーのほぼ全員が急性の高山病で苦しみ、顔を洗うだけでも息苦しくなるという状態。そんななか、 気温が零下3℃まで下がった河辺に飛び出していった俳優たちは、下着姿になり、 氷河から流れてきた冷たい河の中へ飛び込んでいった。その撮影の模様を振り返って、チューアン監督はこう語る。 「河のそばに救急車を待機させて撮影を行った。1日に3テイクしか撮れないといわれ、3テイク撮ったあとは、 すぐに救急車で俳優を病院へ運んだ。なぜそうまでして撮ったかというと、あそこで実際にマウンテン・ パトロールの隊員が密猟者を捕まえたことがあったので、我々もできないはずはないと思ったからだ。マウンテン・ パトロールの隊員たちと同じように、俳優たちも、ある意味で戦う男たちであったのだと思う」
院へ運ばれた役者たちは、 点滴を受けて休養。翌日も同じように河での撮影が繰り返されたが、演出にあたっていたチューアン監督自身も体調を崩し、 病院へ運ばれて点滴を打つことになったという。

Story
ココシリ4 中国が原始のままの姿で残されている広大な無人地帯ココシリ。 海抜4700メートルの厳しい自然に抱かれたこの土地は、 最高級のカシミアの元となるチベットカモシカの生息地として知られている。だが、 20年のあいだに乱獲されたチベットカモシカの数は、100万頭から1万頭に激減。 密猟を取り締まる民間のマウンテン・パトロール隊は、武器も車も食糧も乏しいなか、 密猟者との命懸けの戦いを強いられていた。
 そんなある日、隊員のひとりが密猟者に殺される事件が発生。その調査にやって来た記者のガユ(チャン・レイ)は、マウンテン・ パトロールのリーダー、リータイ(デュオ・ブジエ)に取材を申し込む。最初はガユに猜疑の目を向けていたリータイだったが、 「自分の記事がパトロール隊の活動の役に立つはずだ」というガユの言葉を聞いて、彼を仲間に加えることを承諾する。 こうしてガユは、密猟者を追跡するリータイたちの旅に同行することになった。本部を出発したのは、1996年11月1日の深夜。 隊員たちを送り出す家族の目に涙が浮かぶのを見て、不思議な思いを抱くガユ。彼はまだ知らなかった。その旅の先に、 想像を絶する過酷な試練が待ち受けていることを。
C R E D I T
出演
 デュオ・ブジエ
 チャン・レイ
キィ・リャン
 チャオ・シュエジェン
マー・ツァンリン

 音楽: ラオ・ツァイ
音声: ソン・キン
編集: テン・ヤン
美術: ルウ・ドン、ハン・チュンリン
撮影: カオ・ユウ
共同製作: ウー・チェン、 レンベン・カイラング・エルマオ、ザシダワ
製作総指揮: チェン・クォフー、 ワン・ツォンレイ、 フー・ピン
製作: ワン・ツォンレイ
脚本/監督: ルー・チューアン

ヒューエイ・ブラザース&タイヘー・フィルム・インヴェストメント
コロンビア・ピクチャーズ・フィルム・プロダクション・アジア製作作品

http://www.sonypictures.jp/movies/mountainpatrol/index.html

2006年6月3日
シャンテ・シネほか全国順次ロードショー

2006/05/26/19:05 | トラックバック (0)
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