エグザム
今年始めに公開されたイギリスでの映画雑誌での高い評価を見てから気になっていた作品。世界でも有数の新興企業の最終試験に8人の男女が残り(人種もアジア系、インド系などを含む)、1名のみが合格枠だと告げられる。ただし、試験会場は窓一つない密室で、武装した警備員が一人いるのみで、机に置かれた試験用紙は、質問どころか文字一つ書いていない白紙。試験のルールは次の3つ。
- 試験監督、または入り口に立つ警備員に話かけてはならない
- 試験用紙を破損してはならない
- 部屋から出てはいけない
キャッチコピーの「世界一危険な就職試験。合格者は年棒1億円の報酬」のとおり、知能を使いつつ死闘が繰り広げられていく。「SAW」や「CUBE」(日本映画では「キサラギ」)のように基本的に一つのセットのワンシチュエーションもので(「CUBE」は一つのセットを使いまわしている)、作り手がさまざまに仕掛けた脚本の手腕が見所になってくる。人間の本質的に邪悪な心理を描いたスタンフォード監獄実験が題材の「es[エス]」も想起させる内容になっていくが、監督・脚本・製作の新鋭のスチュアート・ヘイゼルスタインは見事な才能を見せてくれる。
低予算で映画を作る参考になる作品だし、この緊張感は舞台で観たいと思わせる。スチュアート・ヘイゼルスタインはIMDBにクレジットはないが、「地球が静止する日」や「ノウイング」のリライト(現在はミルトンの「失楽園」の映画化脚本をローレンス・キャスダンなどと書いている)をしていて、ハリウッドのスタジオのために大作の脚本を書くイギリスでは珍しいタイプの脚本家でもある。J.J.エイブラムスと似た手腕も感じるので、今後の活躍を楽しみにしたい。
(2010.6.20)
エグザム 2009年 イギリス
監督・脚本・製作:スチュアート・ヘイゼルダイン
出演:ルーク・マブリー,ジミ・ミストリー,コリン・サーモン,ナタリー・コックス
(C)2009 Hazeldine Films Ltd.
7月17日(土)より、シアターN渋谷にてレイトロードショー!
- 監督:オリバー・ヒルツェヴィゲル
- 出演:モーリッツ・ブライプトロイ, クリスティアン・ベッケル, ユストゥス・フォン・ドーナニー
- 発売日:2004-03-03
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- 監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
- 出演:モーリス・ディーン・ウィント, ニコール・デボアー, デヴィット・ヒューレット
- 発売日:2003-12-03
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主なキャスト / スタッフ
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