ハリー・クレフェン監督/『エンジェル、見えない恋人』

ハリー・クレフェン (監督) 公式インタビュー
映画『エンジェル、見えない恋人』について【2/2】

公式サイト 公式twitter

2018年10月13日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー


ハリー・クレフェン監督2ハリー・クレフェン監督 『エンジェル、見えない恋人』場面2
――キャストはどのように選びましたか?

ハリー・クレフェン まず、エンジェルの母ルイーズ役に、ジャコと私は真っ先に、私の長編映画第2作『Why Get Married the Day the World Ends?』に出演しているエリナ・レーヴェンソンを思い浮かべました。この選択は私にとって当然のものでした。エリナはアートシアター系の映画に精力的に出演している女優です。彼女はとても熱心で、創作のプロセスにおける真のパートナーです。類まれな感受性と演技の才能の持ち主です。窮屈なくらいのあふれる母性愛と若干の狂気という美しい両面性をルイーズに与えてくれました。
マドレーヌを演じられる女優を探すのは困難を極めました。私は当初からマドレーヌは赤毛で碧眼だと想像していました。ずいぶん長い間探し回って、必然的に範囲を広げることになりましたが、優先事項は優れた女優を見つけることでした。この映画にはおとぎ話のような側面があるので、時を超越した登場人物を演じるうえで必要な<気品と威厳>がある女優に特にこだわりました。<リアルで>現代的でありふれたものを表現する人たちはその条件に合いませんでした。また、エンジェルというたったひとりの男性しか愛したことがないマドレーヌを演じ切らなければならないので、ある種の<ロマンティックな純粋さ>を醸し出すことができ、なおかつ、魅力的でカリスマ性のある官能的な女優を探さなければなりませんでした。さらに、エンジェルは見えないので、見えないパートナーを存在させつつ<ひとりで>演技できる女優が必要でした。何カ月も辛抱強く探し続け、ついにこれらの資質を見事に体現するフルール・ジフリエに出会いました…… 青い目と赤い髪に至るまですべて。撮影は魔法のようでした。フルールは、その感情の繊細な激しさとまばゆい官能的な存在感をもって、エンジェルを存在させていました。もうひとつ、フルールの演技に見合う、彼女と外見がよく似ていて成長過程に違和感のない幼女と10代の少女を探すという難関が残っていました。ハンナは、無理だと思っていたマドレーヌを(相手役なしで)演じ、彼女が盲目だと私たちに信じさせました。キャスティング中、彼女だけがそれをやってのけ、外見もフルールにいちばんよく似ていました。
そしてついに、欠けていた10代を演じるマヤを見つけました。彼女はハンナにもフルールにも似ている貴重な存在で、類まれなる才能の持ち主です。撮影初日から、彼女の集中力とプロ意識にスタッフ全員が舌を巻きました。

――特殊効果についてお聞かせください。

『エンジェル、見えない恋人』場面3ハリー・クレフェン 当初から、見えない登場人物に命を与えるために必要な特殊効果を考えるうえで、映画の予算の問題がありました。<昔ながらの>メカニカル・エフェクトを専門とする友人から貴重なアドバイスをたくさんもらいました。緻密な撮影台本のおかげで、どのエフェクトをセットで済ませることができるか、どのエフェクトをポストプロダクションで作らなければならないかを決めることができました。最初はひとりで、その後は道具担当と一緒に、何週間もかけて注意深くメカニカル・エフェクトの準備をしました。物体を(ポストプロダクションで消される)紐で動かしたり、マドレーヌの肌に触れるエンジェルの見えない手の圧力を作り出すために圧縮空気を使ったりしました。ほかにも、いくつかのショットを逆モーションで撮影し、前進モーションで編集しました。この方法は、動きに(コクトーの映画のような)わずかなオフセットと不思議な感覚を与えます。視覚効果を専門とする若いスタッフがほかのショットを担当しました。彼らの技術、能力、創意工夫、想像力、そして熱意には感心させられました。彼らは素晴らしいパートナーで、極めて複雑なエフェクト(洗面台のシンクの中のエンジェルの手、雨の中のエンジェル)を見事に作り上げました。
また、母親の前で手紙を開封するエンジェルや精神病院の個室の壁にかかった美しい絵の非常に高度なエフェクトを作り出すためにアニメーション技術(ピクシレーション、コマ送り)を使いました。このような技術をすべて組み合わせることで、革新的な3D技術の先端にいながらにして昔ながらエフェクトの不思議な感覚を得ることができたのです。

――最後に日本の観客にメッセージをお願いします。

ハリー・クレフェン 『エンジェル、見えない恋人』は、見えない登場人物の目を通してラブストーリーを語るという大胆な試みであり、素晴らしい挑戦でした。目に見えないキャラクターの内側からこの物語を夢想し、とてもシンプルな<見えない者同士>のラブストーリーの魔法が持つ詩情を共に味わっていただければ幸いです。

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エンジェル、見えない恋人 ( 2016年/ベルギー/フランス語/79分/原題:Mon Ange )
監督:ハリー・クレフェン  脚本:ハリー・クレフェン、トマ・グンジグ
製作:ジャコ・ヴァン・ドルマル、オリヴィエ・ローサン、ダニエル・マルケ
出演:フルール・ジフリエ、エリナ・レーヴェンソン、マヤ・ドリー、ハンナ・ブードロー、フランソワ・ヴァンサンテッリ
提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム © 2016 Mon Ange, All Rights Reserved.
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2018年10月13日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

2018/10/11/20:22 | トラックバック (0)
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