中央アジア今昔映画祭 vol.3
ウズベキスタン特集
2025年12月20 日(土)より東京・ユーロスペースほか全国順次開催
横浜シネマリン:2026/2/7(土)~2/20(金)、出町座:12/26(金)~2026/1/8(木)
シネ・グルージャ:12/20(土)〜
ナゴヤキネマ・ノイ、第七藝術劇場、元町映画館、横川シネマ:近日公開
ウズベキスタンで中央アジア初の長編劇映画が制作されてから今年で 100 年!
60~70 年代のウズベク・ニューウェーブの代表作からアカデミー賞国際長編映画賞同国代表作まで日本初公開&劇場初公開作品をラインナップ!さらに伝説的ローテク SF の傑作『UFO 少年アブドラジャン』がスクリーンに帰ってくる!
中央アジア諸国で最大の人口を誇り、経済でも中央アジアを牽引する一方、知られざる独自の映画文化を持つウズベキスタン。 1897 年に中央アジアで初めてシネマトグラフが上映されたのも、 1925 年に中央アジアで初めて長編劇映画がつくられたのもウズベキスタンだった。初の長編劇映画がウズベキスタンで制作されてから 100 年となる今年、中央アジア今昔映画祭第3弾ではウズベク映画を特集する。
ウズベク・ニューウェーブの代表作『やさしさ』『苦い果実』、アカデミー賞外国語映画賞ウズベキスタン代表作『熱いノン』『ファリダの二千の歌』、ウズベキスタン初のミュージカルコメディ『きみに夢中』という日本初公開&劇場初公開作品に加え、伝説的ヒットを記録したローテク SF の傑作『UFO 少年アブドラジャン』という新旧6作品で知られざる映画大国ウズベキスタンを堪能する充実のラインナップ。この機会にエネルギッシュでユニークなウズベク映画の世界に触れてみて欲しい。
ウズベキスタン共和国とは
面積は日本の約1.2倍の44万7400平方キロメートル。人口は3,700万人を超え、中央アジア最大の人口を有する。首都はタシュケント。宗教は主にイスラム教スンニ派。国家語はテュルク諸語のひとつのウズベク語だが、ロシア語も広く通じる。古来よりシルクロードとして知られる東西の交易路として栄えるが、19世紀後半にロシア帝国に組み込まれる。その後、ロシア内戦を経て、1924年にウズベク・ソヴィエト社会主義共和国成立。1991年8月にウズベキスタンとしてソ連からの独立を果たす。サマルカンド、ブハラ、ホラズム州ヒヴァの歴史地区はいずれも世界遺産に登録され、世界中から訪れる観光客でにぎわう。
『きみに夢中』※日本劇場初公開
1958年/ソ連/ロシア語、ウズベク語/79分/カラー/原題:Maftuningman
監督:ユルダシ・アグザモフ 脚本:トゥラブ・トゥラ 撮影:ミハイル・クラスニャンスキー 音楽:イクラム・アクバロフ、ムタリ・ブルハノフ、マナス・レヴィエフ 出演:クララ・ジャリロワ、サナト・ディヴァノフ、ラノ・ハムロクロワ、トゥルグン・アジゾフ、アッバス・アジゾフ
ウズベキスタン最初のミュージカルコメディとして、大ヒットを記録した作品。劇中の歌の数々は、ウズベク人の記憶に⾧く留まることになった。1950年代のウズベキスタン各地の人々の服装や街並みも必見。
STORY タシュケントのスタジオではミュージカル映画『きみに夢中』の撮影が行われているが、主役にふさわしい歌い手と踊り手が見つからない。監督はサマルカンド、ブハラ、フェルガナを回るスカウトの旅に出て、それぞれの地域で才能ある若者を見出していく。そうしてタシュケントに集められた若者たちは、力をあわせて映画の完成を目指す。
『やさしさ』※日本初公開
1966年/ソ連/ロシア語/70分/B&W/原題:Nezhnost
監督:エリヨル・イシムハメドフ 脚本:オデリシャ・アギシェフ 撮影:ディリシャト・ファトフリン 編集:R・ハムラエワ、マリヤ・チモフェエワ 出演:マリヤ・ステルニコワ、ロディオン・ナハペトフ、ログシャン・アグザモフ、マイヤ・マフドワ、サイダ・ボロディナ
60年代後半から70年代にかけて勃興したウズベク・ヌーヴェルヴァーグを代表する作品。夏のタシュケントを舞台に“やさしさ”によって絡み合う3つの恋と青春を、洗練されたスタイルで描く。
STORY 少年サンジャルは川で出会った年上の女性レーナに恋をするが、レーナの彼氏ティムールの登場で恋心は砕け散る。その夏、レーナとティムールたちは車で旅行に出て、友人の祖母の家に泊まる。彼女の孫娘マムラは、ティムールを一目見て惹かれる。夏休みが終わってもマムラは彼のことが忘れられず、カーニバルの日、街に会いに行く。
『苦い果実』※日本劇場初公開
1975年/ソ連/ロシア語・ウズベク語/61分/カラー/原題:Gorkaya yagoda
監督:カマラ・カマロワ 脚本:ヤロスラフ・フィリッポフ 撮影:アレクサンドル・パッン 美術:ナリマン・ラヒムバエフ 音楽:ルミル・ヴィルダノフ 出演:シャヒダ・ガフロワ、シャフナズ・ブルハノワ、ベクゾッド・ハムラエフ、ババ・アンナノフ、アントニーナ・ルスタモワ
ソ連時代から現在まで、中央アジアの女性監督としてもっとも⾧く活動したカマラ・カマロワ。彼女の近年再評価されている⾧編デビュー作。少年少女たちが大人になる過程を彼らの友情や恋愛とともに描く。
STORY 13歳のナルギズはバレエや読書が好きな少女で、不良少年のエルキンに惹かれている。エルキンは夢見がちなナルギズをバカにするが、内心では彼女に好意を持っている。夏休みに祖母の元へやってきたラリはナルギズの親友だが、ナルギズとエルキンが親しくなっていくにつれ、ラリとナルギズの関係も変化していく。
『UFO少年アブドラジャン』
1992年/ウズベキスタン/ウズベク語、ロシア語/88分/カラー/原題:Abdulladzhan, ili posvyashchaetsya Stivenu Spilbergu
監督:ズリフィカル・ムサコフ 脚本:リフシヴォイ・ムハメジャノフ、ズリフィカル・ムサコフ 撮影:タルガト・マンスロフ 編集:ウルマスホン・テミロワ 出演:ラジャブ・アダシェフ、シュフラト・カユモフ、トゥイチ・アリポフ、トゥチ・ユスポワ、ジャヴロン・ハムラエフ
ソ連からの独立間もないウズベキスタンで公開され、国民の60%が劇場で鑑賞したという伝説的大ヒット作。スティーブン・スピルバーグへの手紙として物語られるユーモアたっぷりのSFドラマ。
STORY ウズベキスタンのとある村の集会で、未確認飛行物体が近づいているというモスクワからの電報が読み上げられる。村人が半信半疑でいるなか、農夫バザルバイは奇妙な円盤が墜落するのを目撃する。そこには裸の少年が倒れていた。アブドラジャンと名付けられた少年は不思議な力を発揮し、村の集団農場に数々の珍現象が起こりだす。
『熱いノン』※日本初公開
2018年/ウズベキスタン/ウズベク語/87分/カラー/原題:Issiq non
監督・脚本:ウミド・ハムダモフ 撮影:ジャホンギル・イブラギモフ 美術:アリシェル・ウザコフ 音楽:タイル・クジエフ 出演:ザリナ・エルガシェワ、ムナヴァル・アブドゥラエワ、フェルザ・サイドワ、ロラ・エルタエワ、ラジズ・ラヴシャノフ
大人たちが出稼ぎのために去っていった村で祖母と暮らす少女。彼女の家族に対する心情を美しい映像で描いた、近年のウズベク映画を代表する作品。第92回アカデミー賞国際⾧編映画賞ウズベキスタン代表。
STORY 家族と暮らすために施設を出て田舎にやってきたズリフィヤは、期待に胸を膨らませていたが、母親は家にはおらず祖母と暮らすことに。彼女は古い考え方を持つ祖母に対して反発を強くしていく。母親との電話もできない中、彼女の味方になってくれるのは、日課として熱いノン(=パン)を焼いている叔母だけだった。
『ファリダの二千の歌』※日本劇場初公開
2020年/ウズベキスタン/ウズベク語、ロシア語/110分/カラー/原題:Faridaning ikki ming qo'shig'i
監督・脚本:ヨルキン・トゥイチエフ 撮影:バホディル・ユルダシェフ 編集:フルシド・アリホジャエフ 美術:ベクトシ・ラジャボフ 出演:サノバル・ハクナザロワ、バフロム・マチャノフ、イルミラ・ラヒムジャノワ、ユルドゥズ・ラジャボワ、マルジョナ・ウリャエワ
ボリシェヴィキに対し、白軍とムスリムの反乱軍「バスマチ」が劣勢に立つ 1920 年代初頭のウズベキスタン西部。ソヴィエト化が進む中、一夫多妻で暮らす家族の揺らぎを描く。第 94 回アカデミー賞国際⾧編映画賞ウズベキスタン代表。
STORY カミルは 3 人の妻とともに何もない田舎で暮らしている。ある日、彼は若い女性ファリダを 4 人目の妻として迎える。若く美しい妻の登場に、歳の近い妻は友達がやってきたように喜び、情熱的な妻は激しい嫉妬心に駆られる。その頃、ボリシェヴィキの軍隊が彼らの住む地域に進軍し、カミルたちは生き方の再考を迫られることになる。
中央アジア映画完全ガイド: ウズベキスタン・カザフスタン・
キルギス共和国・タジキスタン・
トルクメニスタン (世界シネマ読本) 単行本
- (著):梶山祐治
- 発売日:2025/12/10
- Amazon で詳細を見る
主なキャスト / スタッフ
特集上映情報総合トップページ
- 各シアター情報トップページ
- | ラピュタ阿佐ヶ谷
- | 新文芸坐
- | シネマヴェーラ
- | アテネ・フランセ文化センター
- | 国立映画アーカイブ(元フィルムセンター)
- | 神保町シアター
- | 池袋シネマ・ロサ
- | 上映情報 PickUp
