―⼈々の暮らし、神々の宴―
中野田真吉特集
ゆきははなである
2025年12月6 日(土)より東京・ポレポレ東中野にて開催中、
横浜シネマリン、ナゴヤキネマ・ノイ、
⼤阪シネ・ヌーヴォ、神⼾・元町映画館など全国順次開催
激動の世紀を⾒つめ⽇本⼈の意識構造の深部を映した
唯⼀無⼆の映画作家――混迷の今、再発⾒され⼤反響を呼んだ
知られざる巨匠・野⽥真吉の作品群が待望の劇場公開
数々の傑作を残しながらも、これまで上映機会が限られ「いまだ知られざる巨匠」であり続けてきた。しかし2023 年の⼭形国際ドキュメンタリー映画祭で特集プログラムが組まれると、連⽇満席の⼤反響を呼び、知られざる巨匠との出会いに多くの映画ファンが熱狂した。激動する⽇本の姿を記録した野⽥真吉の映画は、混迷する現代において、今こそ⾒られるべき作品として再評価が進んでいる。
本特集上映「野⽥真吉特集―ゆきははなである」は、初期の傑作劇映画『⾕間の少⼥』『機関⾞⼩僧』、後期の代表作『ゆきははなである 新野の雪まつり』『⽣者と死者のかよい路 新野の盆おどり 神送りの⾏事』などの上映作品に、鎌倉の奇祭「⾯掛⾏列」の記録を実験的な構成でドキュメンタリー作品にした『異形異類の⾯掛⾏列』を加えた全8作品が上映される。
ハレとケ、⽣と死、私たちの根底に脈々とながれる不変のリズムを、8作品4プログラムで刻む
あらゆるものが変貌を遂げた現代においても、⼈々はなぜ古来より続く神事に⼼惹かれるのか。なぜ⾃然とともにある暮らしに関⼼を持つのか。本特集では、野⽥が記録した多種多様な事象の中から、かつての⼈々の暮らしと祭りの姿を取り上げ、私たちの根底に流れる不変のリズムを探求する。
ドキュメンタリー作家として 20 世紀の⽇本⼈を⾒つめ、独⾃の理念と⼿法で解き明かそうとした野⽥真吉の映像世界の幕が開く。
『農村住宅改善』
『⾕間の少⼥』
神事、暮らし、⾃然、産業、科学…
縦横無尽・変幻⾃在の映画作家・野⽥真吉の映像世界へ
⼤学在学中に中原中也に師事し詩作に勤しんだ野⽥真吉は、卒業後の 1937 年に P.C.L 映画製作所に⼊社。その後東宝⽂化映画部に所属し、農村の記録映画などを撮るが、戦争によって活動を休⽌し従軍する。敗戦後、復職し児童映画などを⼿掛けるが、東宝争議を闘い、退社。フリーになってからは、社会運動を記録し、企業・産業 PR 映画や実験映画を作り、松本俊夫らと新しい映画とその⽅法を唱え、芸術運動に関わっていった。1970 年代以降は、以前から興味を持っていた⺠俗誌の映像化に本格的に取り組み、歴史的社会的に培われてきた⽇本⼈の意識構造の深部を映し出そうとした。
上映全8作品、4プログラム
- Aプロ…『農村住宅改善』(1941/モノクロ/20 分)『⾕間の少⼥』(1949/モノクロ/49 分)
- Bプロ…『機関⾞⼩僧』(1950/モノクロ/45 分)『忘れられた⼟地 ⽣活の記録シリーズ II』(1958/モノクロ/30 分)
- Cプロ…『異形異類の⾯掛⾏列』NEW(1988/カラー/18 分)『冬の夜の神々の宴 遠⼭の霜⽉祭』(1970/モノクロ/37 分)『⽣者と死者のかよい路 新野の盆おどり 神送りの⾏事』(1991/カラー/36 分)
- Dプロ…『ゆきははなである 新野の雪まつり』(1980/カラー/129 分)
『機関⾞⼩僧』
『忘れられた⼟地 ⽣活の記録シリーズ II』
- 「発展」から取り残された村の暮らし
戦争が残した痛みとともに⽣きる⼈びと
⾥に神々を迎える祭りの歌声、⾏列
そのすべてが、たしかにそこにあったものとして映されている
記録はきっと、それが喪失される予感とともに始められ、
時が経てば、それがたしかに失われたことを実感させる
昭和。激しい時代とどこか距離を置くように、
野⽥真吉は、静けさと息遣いを映した
あらたな激しい時代がはじまりつつあるいま、
このフィルムは何を問いかけるだろう――瀬尾夏美(アーティスト、詩⼈) - ⽇本の近代化は、庶⺠が抱く「希望」のなかを進んできた。
野⽥真吉の映画には、⽇本列島の農⼭漁村で暮らす⼈びとがあらたな近代世界へと⾜を踏み⼊れる、その瞬間のリアルな姿が活写されている。
何がどう変わり、変わらなかったのか。
そこに、私たちが〈いま・ここ〉へとたどりついた道のりの分岐点がある。
――松村圭⼀郎(⽂化⼈類学者)
『異形異類の⾯掛⾏列』
『冬の夜の神々の宴 遠⼭の霜⽉祭』
- 暮らしと労働と儀礼を最⼤限の敬意とともに捉えた
野⽥真吉の詩情豊かな映像を⾒つめていると
どこか体の奥底がざわざわとし
⾃分が何を忘れていたかに気づかされる。
わたしたちは進歩して、何を得て何を失ったのか。
もう⼀度⾃分の体に問いかけたくなる。――三浦哲哉(映画研究・評論) - 「暮らし」が映る映画は、ずっとずっと⾒ていられる。住まいや煮炊きの様⼦、⽣業のあり⽅。垣間⾒える、⼈と⼈との関係性。眺めながら、そこにある⼀⽇を、⼈⽣を、想像する。野⽥真吉が捉えた暮らしはもはや、時代とともに失われてしまったものも多い。その痕跡とまみえたくて、私はきっと何度も劇場に⾜を運ぶと思う。――島﨑奈央(「暮しの⼿帖」編集⻑)
『⽣者と死者のかよい路 新野の盆おどり 神送りの⾏事』
『ゆきははなである 新野の雪まつり』
協⼒:亘純吉、⽥中晋平、資料映像バンク、神⼾映画資料館、新⽇本映画社
2025年12月6 日(土)より東京・ポレポレ東中野にて開催中、
横浜シネマリン、ナゴヤキネマ・ノイ、
⼤阪シネ・ヌーヴォ、神⼾・元町映画館など全国順次開催
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