新作情報

走る 転ぶ 漏らす 抱きつく 叱られる 手をつなぐ
カルカッタの路地
ビラル、3歳

ビラルの世界

◆インド全国映画賞(通称ナショナル・アワード)最優秀ノンフィクション作品賞
◆アルジャジーラ国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀長編ドキュメンタリー金賞
◆ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞
◆ラスベガス国際映画祭シルバーエース賞 ◆メキシコ国際映画祭シルバーパーム賞
◆ウンベルト・ソラス低予算国際映画祭(キューバ) ◆ケラーラ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞(インド)
◆山形国際ドキュメンタリー映画祭2009 アジア千波万波奨励賞/コミュニティシネマ賞 ダブル受賞 ほか

『ビラルの世界』 http://ddcenter.org/bilal/

2012年10月6日(土)より、オーディトリウム渋谷ほか、全国順次公開

INTRODUCTION

人の本来持つ、困難を生きぬく力強さが胸に迫る!

『ビラルの世界』場面1本作は、盲目の両親とコルカタ(カルカッタ)で暮らす3歳の男児ビラルの日常を映し出したドキュメンタリーの秀作です。息もつかせぬスピードで描かれる、路地の喧騒と一家の日々は、地球上の多くの場所で人々があえぐ貧困の現実です。そんな中でも、生き抜くたくましさを持ち、ごく普通の愛情にあふれる家族の姿には尊さすら感じられます。

子どもの目を通したインド貧民街の現実
画面から飛び出さんばかりの悪ガキぶり

3歳のビラルは忙しい! 洪水になった路地で水遊びをしたり、目の見えない両親の手をとって通りを渡ったり、弟ハムザをいじめては泣かせる毎日だ。カンカンになった父さんのお仕置きから身を隠すことも知っている。一家が暮らす狭い部屋の外は、路地が入り組むスラム街。カメラはビラルを追いかけ、音と光が氾濫する世界へと私たちを誘う。

目の見えない両親の子育て
それでも生きることは素晴らしい

ともに幼い頃に目が見えなくなったビラルの両親は、盲学校で知りあい、ヒンドゥーとムスリムの宗教の違いを乗り越え恋に落ちた。妻のジャルナがムスリムに改宗し、夫のシャミンの母親や親せきの住むタルトラ地区に移り住み、子どもたちが生まれた。詐欺にあって金をだまし取られるなど、たくさんの困難が一家を襲うが、障がいをものともせず、長屋のような隣近所との濃いつながりの中で、果敢に愛情深くビラルたちを育てている。

ムスリムのコミュニティ

『ビラルの世界』場面2コルカタは多民族・多宗教が万華鏡のように共存する都市で、特に撮影地の周辺は、キリスト教、ヒンドゥー教、シーク教徒などのコミュニティが隣り合わせて住んでいる。映画の中でも、ヒンドゥーの寺院の鐘が聞こえ、イスラム教でない祈りの声も聞こえてくる。ビラル一家が住む地域はイスラム教で、映画の後半にビラルが泣き叫ぶシーンで施される割礼(少年の性器の一部を切除する)は、親族や近隣住民から祝福されるムスリムの風習である。

温かい友情と優れた映画技術

監督のソーラヴ・サーランギは、「見える世界」と「見えない世界」、二つの世界を自由に行き来できるビラルと生後8カ月のときに出会って魅了され、何度も一家の元へ通い続け、大の仲良しとなっていった。そして3歳になった頃から、自由奔放に動くビラルの明るさと家族のぬくもりを、低い目線の丹念なカメラワークで14カ月に渡って捉えた。160時間もの映像素材を編集するのに1年半以上、たっぷりとかけている。途中段階の映像を見たフィンランドとオランダの映画関係機関が出資と助成を決定し、この秀逸なドキュメンタリー映画が完成した。

世界が選んだドキュメンタリー映画の秀作、満を持して日本公開

本作は50以上もの国際映画祭に招かれ、15もの賞を獲得。山形国際ドキュメンタリー映画祭2009でも「アジア千波万波・奨励賞」と全国のミニシアターの館主が選ぶ「コミュニティシネマ賞」をダブル受賞。配給会社に贈られるコミュニティシネマ賞の受賞にも関わらず、なかなか日本公開が決まらなかった。それでも、この映画を、ビラルを観客と出会わせたいと願う有志の手でついに日本公開が実現する。

C R E D I T

監督・撮影・録音・編集:ソーラヴ・サーランギ
助監督・撮影助手:ソムデヴ・チャタジー 追加撮影:タパス・ガングリ 音響助手:パンカジ・シール
製作会社:ソン・エ・リュミエール(インド) 共同製作会社:ミレニアム・フィルム(フィンランド)
助成:フィンランド外務省,ヤン・フライマン・ファンド(オランダ),フィンランド公共放送YLE TV2
インド映画/2008/ベンガル語・ヒンディー語/カラー/DVカム(16:9)/88分/©son et lumiere
日本配給:ドキュメンタリー・ドリームセンター 配給協力:シネモンド、こども映画プラス、コミュニティシネマセンター
協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭、シネマトリックス
http://ddcenter.org/bilal/

2012年10月6日(土)より、オーディトリウム渋谷ほか、全国順次公開

2012/09/13/00:12 | トラックバック (0)
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