第34回ぴあフィルムフェスティバル
2012年9月18日(火)~28日(金)(月曜休館)まで、
東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催
PFFアワード2012 522作品から厳選された16作品を上映!
1977年から続くPFFのメインプログラム「PFFアワード2012」。日本映画の未来を担う若手監督たちの自主制作作品を上映します。今年は522作品もの応募の中から16作品を厳選、自主映画新世代とも呼べる、ヴィヴィッドでかつ冷静な視点が光る傑作揃いです。最終日9月28日には、表彰式&グランプリ他各賞が発表されます。なお、グランプリ作品は第25回東京国際映画祭との提携企画としまして、「日本映画・ある視点」部門にて招待上映されます。また、いずれかの賞を獲得した監督全員に、PFFスカラシップへの挑戦権が与えられます。
招待作品部門
映画を志すひとたちに、ヒントやエールとなる映画を上映したい。それが招待作品部門です。
映画の”ルック”を浴びてみる!
~マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー&ジャック・カーディフ~
手軽で高度なビデオカメラの登場で、音が、画が、それなりに撮れる昨今。もうひとふんばり、映画のルックに力を注いでみませんか?イギリスを代表する製作・監督・脚本パートナー、パウエル&プレスバーガー、そして撮影のカーディフ。彼らの作品があなたを激しく刺激します! ※全作品フィルム上映
生前のマイケル・パウエル監督に会ったことのある、東京国立近代美術館フィルムセンターの主幹を務める岡島尚志氏によるマイケル・パウエルとの貴重な体験談トーク開催
ボーア戦争、第一次&第二次世界大戦と、3つの戦争を生き抜くキャンディ少将を通して、変わるもの、変わらないものを見事に描く。国境を越えた友情、女性への愛と敬意、そして、デボラ・カーの3役も注目!記念すべきパウエル&プレスバーガーの製作会社「アーチャーズ」第一作。イギリスでは現在もベスト映画に選ばれる傑作!
『天国への階段』 (1946年/35mm/104分/白黒+カラー)
第二次世界大戦。墜落する戦闘機から遺言を無線で語る英国兵ピーター。受ける連合国兵ジューン。天国では、ピーターを探しに天使が地上に派遣される。ピーターは死んだのか?生きているのか?国家間の確執が噴き出す生死裁判を、壮大なセット、カラーと白黒のコントラストの妙、合成など、映画の粋を凝縮して魅せる必見作!!
『黒水仙』(1947年/35mm/100分/カラー)
ヒマラヤの麓、険しい崖に張り付く、かつての王の愛人たちの宮殿を学校と病院として成功させる命を受けた4人の尼僧。秘境の村は彼女たちを変えていく…。オールセットとマットペインティングでつくりこまれた隔絶された世界が驚愕と感動を呼ぶ驚異の映画。複数部門のアカデミー賞を受賞。百聞は一見に如かず。見るべし!!
『赤い靴』(1948年/35mm/136分/カラー)
マーティン・スコセッシの映画保存活動第一作にも選ばれた名作だが、公開時英国では「バレエを撮るなんて…」と冷遇された。童話「赤い靴」をベースに、芸術の為に人は生きられるか?を問う。新作の主役に抜擢された新人バレリーナが、作曲家との恋を取るか踊りを取るかのはざまで…。テクニカラーとバレエ撮影の頂点!
特別上映作品『ヒズ・ロードシップ』(1932年/35mm/72分/白黒)
若きマイケル・パウエルが挑戦した量産低予算映画から、現存する貴重な1作を上映。「自主映画?」とさえ感じる、さまざまな映画の楽しさをリズミカルにつなぎ合わせたミュージカルコメディ。ロンドンの配管工バートは、父の残した称号故に、“貴族”との話題がほしいアメリカの新進女優に結婚を持ちかけられるが…。 DVD未発売。
日本映画最新作
公開予定作品をいち早く紹介します。本年は日本映画を支える俳優たちが集結した『Playback』と、子供の夢がそのまま映画になった、瑞々しい『リルウの冒険』です。
第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション招待作品
監督・脚本・編集:三宅唱 出演:村上 淳、渋川清彦、三浦誠己、渡辺真起子、菅田 俊
ふと気付くと、すっかり中年のまま、制服を着て高校時代を再体験している俳優ハジ。人生の分岐点に立ち、奇妙にも過去と現在を往復することになった彼は、そこで何を発見するのか?独特の時間感覚と美しい白黒映像がみる者の心を奪い、第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティションに招待された。
『リルウの冒険』(2012年/HD/117分/カラー) ※熊坂監督来場予定!
監督・脚本・撮影:熊坂 出 出演:ジャバテ璃瑠、仲村渠さえら、ユール・ジャバテ、泉川珠羅、りりィ(特別出演)
たった一人の友達、こころが消えた。「リルウ、ゆめをわすれないで。」ゆめ? だれがみたゆめ?「ふたつそろわないとほんとうの意味がわからない物語がある」と、こころは言った。何者かによって異世界に招き入れられたリルウ。そして、リルウの冒険が、今、はじまる。『パーク アンド ラブホテル』の熊坂出監督。待望の新作完成!
追悼 森田芳光監督幻の8mm作品たち
20代の森田芳光監督が生んだ貴重な8mm作品を、追悼特別企画として上映します。監督の監修のもと、8mmフィルムからデジタル化したヴァージョンでの上映です。 二度とないチャンスとなる可能性大!更に、撮影監督の芦澤明子さんをゲストに迎え当時のお話をお伺いします。
森田監督が「自分にとって映画とは何か」を探索したパロディ作品。監督自身が劇中に登場し、ラブロマンス、任侠映画、政治映画など、あらゆる映画のパターンを演じている。ついには、自らの次回作の予告編まで組み込むという、映画の概念に体当たりした意欲作。
『遠近術』(1972年/パートカラー/76分)
毎日8mmフィルム1巻分の撮影を自らに課し、32日分のフィルムをつなぐという斬新な試みを実行した作品。現像後に編集するという手順を外し、カメラの中でモンタージュを完成させたことで、カメラ=映画であることを連想させる。
『水蒸気急行』(1976年/カラー/59分)
ルールの読み切れない配列に従って走る電車のカットにラジオの天気予報や'60sポップス、FEN放送などがかぶさる独特の編集、縦横無尽のカメラワークと大胆不敵なカッティングが列車の窓越から見える風景をより生々しく伝える意欲作。当時、自主映画ながら自らホールを借りて公開し、破格の動員を記録したという画期的な作品。
『ライブイン茅ヶ崎』(1978年/カラー/77分 ※1978年PFF入選作品)
森田監督が提唱した「ニューエンターテインメントシネマ」の第2弾作品。茅ヶ崎生まれ茅ヶ崎育ちの若者たちの飾り気のないリアルな日常が、独特のリズミカルな構成で綴られる瑞々しい青春映画。『AKIRA』でも知られる大友克洋監督(当時24歳)が、本作の宣伝用イラストレーションを担当していた。1978年のPFF入選作品。
テレビドラマに挑戦! WOWOWドラマをみる
映画もテレビも作品をつくる手間隙、注ぐ情熱は「創作」という意味において同じです。本年話題のWOWOW製作ドラマを一挙上映し、ドラマ制作の魅力を堪能します。
告白」で知られる湊かなえの原作小説をドラマ化。世界的に高い評価を得る黒沢清監督が、人間誰もが隠し持つ毒や心の闇を、5人の女性の視点から描ききる衝撃作。連鎖する悲劇を彩る豪華キャストたちの迫真の競演も話題に。今回、監督の手により、WOWOWオンエア時300分より30分短く完成した「映画祭ヴァージョン」での上映が実現。
『エンドロール~伝説の父~』
監督:石井裕也(2012年/カラー) 石井裕也 監督来場!
587編の応募作の中から選ばれた第4回WOWOWシナリオ大賞受賞作のドラマ化。20年ぶりに故郷に帰ってきた売れない映画監督が、死を目前にした親友の願いを叶えようと、街の人々を巻き込んで大奮闘する、笑いと涙あふれる人間ドラマ。『川の底からこんにちは』の石井裕也監督がテレビドラマに初挑戦し、新境地をみせる。
第22回 PFFスカラシップ お披露目
「PFFスカラシップ」は、PFFアワード入賞者による企画コンペから、1作品を、PFFが企画から公開までトータルプロデュースする映画製作プロジェクトです。本年は廣原 暁監督。2010年のPFFアワード審査員特別賞受賞作品『世界グッドモーニング!!』がフランスで公開予定など、世界の注目があつまる中、自身の転換点となると話『HOMESICK』を出来立てでご覧いただきます!※フィルムセンター史上初! 上映後、音楽を担当したARTLESS NOTEのミニライブを行います。
『HOMESICK』(2012年/約100分予定/カラー)製作:PFFパートナーズ=ぴあ、TBS、ホリプロ/東宝
父は山奥でペンション経営。妹は海外放浪中。母は行方知れず。そして、ひとりになった家の引き渡しを迫られながら失業した30歳の健二は…。これは、自らの足で立つまでに、とても時間のかかる、私たちの物語。「家」とか「家族」とか「大人」とか「子供」とか、“社会”を “世界”を構成する私たち自身を、優しく後押しする映画の誕生。 『HOMESICK』完成記念 ライブつき特別上映
『世界グッドモーニング!!』(2009年/81分/カラー PFFアワード2010審査員特別賞受賞作品)
毎日流れる暗いニュース、母親との二人暮らし、代わり映えしない生活とぱっとしない自分。でも、ほんの出来心で盗んだホームレスのバッグから、自分を変える旅が始まる!内気な少年が、大きな世界と出会うロードムービー。第29回バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワードにてグランプリを受賞。