随分前から所有し、今も大切にしている漫画がある。
樹村みのり・作『悪い子』という作品だ。'
80年前後に発表された樹村作品の数々は
今もオレの本棚の一角を静かに飾っている。
以前、樹村みのりさんに手紙を書き、押し掛け、
半ば強引に映画化の許可を頂いた作品もある。
……空約束である。
実現はしていない。
この時は、足立君と脚本を8稿くらいまで作り、
持ち込みを繰り返したが、どこも手を上げてはもらえなかった。
せっかく許可を下さった樹村さんにはやはりこれまた会わす顔がない。
諦めてしまった訳ではないが……実現力不足の極みである。
最近読んだ小説で、映画的だなぁ……と思った短編を
足立君に、映画にしたら凄くいいのではないかな……と読ませると……
『あん時みたいな感じが底辺にはあるからいーんじゃないすかね。』
とやる気のあんだかないんだかのMailが来たんで、
その「あん時」を思い出していた。
大島弓子を映画化したある監督と、これまた随分前にお茶を飲んだ時、
樹村みのりの漫画が好きだと話してて『僕も好きだよ。』と言われたので
『随分ロマンチックですね……』と相槌を打ったら
『自分の事言ってんの?』と言われ軽くムカついた事などもついでに思い出した。
だからという訳でもないが、くだんの短編は鞄の中に入ったままである。
『物語を進行させない台詞がいい台詞なんだよな……』
みたいな事を岩松了さんが芝居のパンフで若手演出家と対談で話してた。
なるほど……。
物語を進行させる台詞ばかり書いては
無理矢理CMに入れているオレは深く深く頭を垂れた。
本多の。J列15番の席で。ただで貰ったパンフに。
主なキャスト / スタッフ
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