真!韓国映画祭2011
2011年5月28日(土)~6月17日(金)、新宿K’s cinemaにて開催
今を知る、本物の韓国映画がここにある
一昨年から企画上映が始まった“真!韓国映画祭”は、韓国の家庭問題であったり、社会問題であったり、日本人も身近に感じられる、小粒であるがピリッと辛いキムチならぬ山椒の実のような韓国映画の上映会である。本年上映される6作品もまさにそんな作品群だ。
迷走する日本の政治、経済、それに引き換えどんどん元気になるアジア諸国。これらの映画は、近くて遠い国から近くて近い国に変わりつつある“真の韓国”を感じることができる。
日付 |
10:30 |
12:40 |
14:50 |
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5/28(土) | サマリア | ソウルのバングラデシュ人 | 小さな池
-1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
5/29(日) | サマリア | 坡州 パジュ | キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
5/30(月) | サマリア | ただよう想い。 | ささやきの夏 |
5/31火() | 空を歩く少年 | ソウルのバングラデシュ人 | 坡州 パジュ |
6/1(水) | 今、このままがいい | キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
小さな池 -1950年・ |
6/2(木) | アンティーク 西洋骨董洋菓子店 |
小さな池 -1950年・ノグンリ虐殺事件- | 坡州 パジュ |
6/3(金) | キッチン ~3人のレシピ~ |
ささやきの夏 | ソウルのバングラデシュ人 |
6/4(土) | キッチン ~3人のレシピ~ |
キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
ただよう想い。 |
6/5(日) | キッチン ~3人のレシピ~ |
ソウルのバングラデシュ人 | 小さな池 -1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
6/6(月) | ビバ!ラブ | 坡州 パジュ | ソウルのバングラデシュ人 |
6/7(火) | 私のちいさなピアニスト | 小さな池 -1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
ただよう想い。 |
6/8(水) | 私のちいさなピアニスト | キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
ささやきの夏 |
6/9(木) | 私のちいさなピアニスト | ただよう想い。 | ソウルのバングラデシュ人 |
6/10(金) | アンティーク 西洋骨董洋菓子店 |
キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
小さな池 -1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
6/11(土) | アンティーク 西洋骨董洋菓子店 |
ささやきの夏 | 坡州 パジュ |
6/12(日) | アンティーク 西洋骨董洋菓子店 |
小さな池 -1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
6/13(月) | 飛べ、ペンギン | ソウルのバングラデシュ人 | 坡州 パジュ |
6/14(火) | 牛の鈴音 | ただよう想い。 | ソウルのバングラデシュ人 |
6/15(水) | 牛の鈴音 | ささやきの夏 | 小さな池 -1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
6/16(木) | 牛の鈴音 | 坡州 パジュ | キュレーター、 ジョンフンさんの恋愛日記 |
6/17(金) | 牛の鈴音 | 小さな池 -1950年・ ノグンリ虐殺事件- |
ソウルのバングラデシュ人 |
『ソウルのバングラデシュ人』
( 2009年/韓国/107分/英題:Bandhobi )
監督:シン・ドンイル 脚本:イ・チャンウォン、シン・ドンイル 出演:ペク・ジニ、マーブブ・アラム・ポロブ、イ・イルファ、パク・ヒョッククォン
2009年全州国際映画祭:観客評論家賞 2009年田辺・弁慶映画祭:特別審査員賞、映検審査員賞
『ソウルのバングラデシュ人』は『訪問者』(06年)、『私の友人、彼の妻』(08年)に続くシン・ドンイル監督の長編第3作であり、「関係3部作」の完結版だ。慣習にとらわれない独特な話法で限りなくこの時代の人間群像の「関係結び」に没頭してきたシン・ドンイル監督は「関係」に関する精密なストーリーテーリングは勿論のこと、自分のトレードマークである政治的問題意識を持ちつつ『ソウルのバングラデシュ人』を完成させた。
シン・ドンイル監督のデビュー作『訪問者』は、純粋な宗教を信じて銃を持つことを拒否する信仰心の深い青年と、不道徳で堕落した大学の非常勤講師との関係から救いの問題を、第2作『私の友人、彼の妻』では、自分の妻よりも強い連帯感で結ばれている一人の男と彼の友人との関係を身震いするほど執拗に描きながら資本主義社会における階級問題を洞察した。これは、一般的ではない個性的なキャラクター同士の出会いから、意思が通じ合うようになる過程を「関係結び」という独特な表現を駆使して描き上げるシン・ドンイル監督の真骨頂である。
17歳の女子高生ミンソと29歳の移住労働者の青年カリムの話『ソウルのバングラデシュ人』もやはり女子高生とムスリム青年の出会いという、ありそうもない不思議な結びつきから、彼らの「関係結び」を通じて映画が社会の恥部にどのように照明をあて、時に直接的に時には隠喩的に解明していく。国籍、年、性別を越えた交感と意思の疎通を描いた映画『ソウルのバングラデシュ人』は、より異色を放つ化学作用によって進化していくシン・ドンイル監督の想像力をしっかりと味わわせてくれる。
原題のバンドゥビ(Bandhobi)はバングラデシュ語で友だちを意味する。バングラデシュ語で男の友達が「ボンドゥ」、 女の友達を指す言葉が「バンドゥビ」であるのは確かだが、バングラデシュ語では友だち、Friendという意味の言葉が他に存在しない。しかし、映画『ソウルのバングラデシュ人』の中の 「バンドゥビ」は、広い意味での友だちという意味で使用される。韓国の女子高生とバングラデシュ青年の友情を描いた映画『ソウルのバングラデシュ人』は、男女、性別、国籍の違いを離れ、世の中の全ての人々に友達になろうと勇気を持って語りかける。
『小さな池 -1950年・ノグンリ虐殺事件-』
( 2010年/韓国/86分/英題:A Little Pond )
監督・脚本:イ・サンウ 出演:カン・キョンヒ、カン・シンイル、キム・カヨン、キム・ドクウン、ムン・ソリ、ソン・ガンホ
この映画は、1950年 7月、老斤里(ノグンリ)の鉄橋下のトンネル 、俗称・双窟橋(サンクルタリ)に逃げ込んだ村の住民数百人が米軍の無差別射撃で無残に殺害された、実際に起こった‘老斤里事件’をもとにしている。
1950年 7月、北朝鮮軍の勢いに押されていた米軍は前線を後退させ、大田(デジョン)から釜山(プサン)に通じる唯一の道であった永同郡黄澗面老斤里一帯に阻止線を設ける。老斤里周辺の主谷里(ジュコクリ)、林渓里(イムゲリ)の村には米軍による避難令が発令され、500名余りの住民達は米軍の引率によって避難することになる。しかし米軍は、避難民の中に民間人を装った敵軍が侵入したとの未確認情報を入手し、避難民の通過を阻止せよとの上部の指示に従い、ただ南下を急いでいた避難民に向って空襲爆撃を強行する。米軍が阻止線を後退する前の7月26日から29日までの 3泊 4日の間、爆撃に生き残った 300余名の生存者は線路下の双窟橋(サンクルタリ)に閉じ込められたまま第 1騎兵師団、7騎兵連帯、2大隊から成る軍隊の攻撃を受ける。300名近い双窟橋の中の避難民のうち、最後まで生き残った のは25名。彼らは死体を盾の代わりとし、血の水を飲みながら命をながらえた。
以後、生存者を中心とした住民達の限りない真相究明の要求にも関らず、韓国政府とアメリカ政府によって 50年間否定され続けてきたこの事件は、1999年、AP通信の記者を通じてその真相が明らかにされた。彼らは、秘密解除された米国の 軍事文献を検討し、事件発生当時の米軍の移動経路と現場に駐屯していた米軍部隊を捜し出し、当時加害者であった米軍と被害者であった韓国の生存者の証言をもとに忘れ去られた事件の軌跡をたどり、数年に渡る努力の末、‘老斤里事件’の全貌を明らかにした。この報道が 、2000年、ピューリッツァー賞の報道部門を受賞し、世界に知れ渡ることになる。‘老斤里事件’は、朝鮮戦争当時、米軍の起こした 60件余りの民間人虐殺のうち、真相が明らかにされた唯一の事件として記録される。
映画 『小さな池-1950年・ノグンリ虐殺事件-』は、AP通信記者たちの‘老斤里事件’の特種報道記事をもとに映画化を検討し、企画された。AP通信の記者とともに4年かけて老斤里の現地調査や生存者及び遺族のインタビュー等、資料調査を徹底的に行った。それと共に、2003年に出版された翻訳本 「老斤里の橋」と老斤里対策委員会委員長ジョン・ウニョン氏の著書「君は私たちの痛みを知っているか」を原作とし、3年間のシナリオ作業と 6ヶ月間の撮影準備、3ヶ月間の撮影、そして 3年余りの後半作業といった長い行程を経て1950年に起きた朝鮮戦争の隠された悪夢にスポットをあてた。老斤里事件’が映画化されるという話が伝えられると、韓国映画界最高のスタッフらが参加の意志を表明し、ムン・ソングンやカン・シンイル、故 パク・グァンジョン、キム・スンウク、イ・デヨン、キム・レハ、チョン・ヘジンを始めとする国内の演劇および映画界の有名な俳優たちが、出演をかってでた。そして、反戦と平和のメッセージを伝えようとする意図を余すところなくフィルムに収めた 『小さな池-1950年・ノグンリ虐殺事件-』は完成した。
『坡州 パジュ』
( 2009年/韓国/110分/英題:Paju )
監督・脚本:パク・チャノク 出演:イ・ソンギュ、ソウ、シム・イヨン、キム・ポギョン
2009年釜山国際映画祭:NETPAC賞
坡州(パジュ)はソウルの西北部にあり、街は北朝鮮と対峙している。近年はマンションの建築ラッシュが起き、ベッドタウン化が進んでいる。しかし、新興住宅地にある活気とはうらはらに、北朝鮮と接しているその街のせいなのか、かつて学生運動家で、警察に追われていた主人公ジュンシクの心のせいか、画面から行き場のない閉塞感が漂い、それがこの映画の味わいとなっている。
監督は、1968年生まれ、漢陽大学と韓国芸術総合学校で、映画制作を学んだパク・チャノク。ホン・サンス監督『秘花~スンジョンの愛~』の助監督を務めた後、2002年『嫉妬は私の力』で監督デビュー。ロッテルダム国際映画祭タイガーアワード、釜山国際映画祭ニューカレントアワードなど数々の賞を受賞。第2作の本作は7年ぶりの監督作品となる。
ジュンシク役は映画、テレビドラマで活躍するイ・ソンギュ。ウンモには、「ミスにんじん」で注目され、本作『坡州 パジュ』でその才能が開花したソウが扮している。
『キュレーター、ジョンフンさんの恋愛日記』
( 2010年/韓国/90分/英題:The 8 Sentiments )
監督:ソン・ジヘ 脚本:ソン・ジヘ、イ・チャンウォン、シン・ドンイル 出演:キム・ヨンホ、ファン・イニョン、ユン・ジュヒ
映画『キュレーター、ジョンフンさんの恋愛日記』は、愛の前に気まぐれな男女の正直な感情を、リアルに、ユーモラスに、個性的に描いている。どちらが悪いのでもなく、心がそう動いてしまう。否定しようがない。だから人間はおもしろい、とでも言いたそうな主人公の生き方である。
オスの匂いをプンプンさせた悪い男ジョンフンに扮したキム・ヨンホは、演技力には定評があり、2003年SBS演技大賞短幕特集演技大賞を受賞し、2008年ホン・サンス監督のベルリン国際映画祭出品作『夜と昼』でパリへ逃避する国選画家キム・ソンナムを演じて好評を博した。以後、『釜山』『美人図』『ha ha ha』などで様々な役をこなしている。『キュレーター、ジョンフンさんの恋愛日記』では、男の本音を露にし、胸がチクリと痛むような共感を抱かせる。
本作が2作目となるソン・ジヘ監督は初の長編デビュー作『夏が行く前に』で、恋愛する女性の心理を淡白ながらも新鮮な感覚で表現し、“韓国恋愛映画の新たな発見”という評価を得て観客と映画評論家の心をつかんだ女性監督。
『ただよう想い。』 ( 2009年/韓国/90分/英題:Drifting Away )
監督:キム・ドンウォン 出演:イ・キョン、コ・ジュニ、シン・ドンミ
監督のキム・ドンウォンは2002年、80年代喧嘩に明け暮れる青年の恋と青春を描いた『海賊、ディスコ王になる』で監督デビュー。この作品は観客動員140万人を記録、大ヒット作となり、第6回 富川国際ファンタスティック映画祭観客賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭批評家賞、第25回 ソウル独立映画祭後援賞を受賞している。チャニョン役のイ・キョンは1982年生まれ。若いながら飄々とした味のある演技を見せ、2005年MBC演技大賞 シットコム部門新人賞受賞。その後映画『アンニョン!フランチェスカ』『生、ナル先生』 『多細胞少女』『アニメ フランチェスカ』テレビドラマ「ヨンゲソムン」と立て続けに出演している。しなやかな肢体が印象的なタンビ役コ・ジュニも『ヘンゼルとグレーテル』『ガールスカウト 』ドラマ「僕は走る」「乾パン先生とこんぺいとう」「狐、何してるの」「愛に狂う」「総合病院」に出演。
『ささやきの夏』
( 2009年/韓国/96分/英題:Summer Whispers )
監督・脚本:キム・ウンジュ 出演:イ・ヨンウン、ハ・ソクジン
「猫、タイプライター、色あせた手紙、古い本、植木鉢…. 『ささやきの夏』は美しく、暖かな話だ。
私たちが忘れていたり、しばらく心に閉まっておいたおぼろげな初恋の記憶、そして老年の黄昏色の愛まで、映画 『ささやきの夏』の主題は、まさに人生の最も美しい一瞬に感じる愛という感情である。」と監督が自作を語っている。
2011年5月28日(土)~6月17日(金)、新宿K’s cinemaにて開催
- 監督:シン・ドンイル
- 出演:キム・ジェロク, カン・ジファン
- 発売日: 2009-12-02
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