内田英治 (監督)
映画『下衆の愛』について【4/5】
2016年4月2日(土)より テアトル新宿ほか全国順次公開
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――keeさんを主人公にした理由は?
内田 アイドル映画で1回組んでいて。keeさんだから、そういうアイドル映画ではなじまなくて浮くわけです。だからもう1回オリジナル作品できっちり組みたいなと思っていました。
――意外性がありました。『お盆の弟』もそうですけど、実際のkeeさんはそういう人ではないじゃないですか。硬派ですし。
内田 でも普段のクールで硬派な感じは映画ではやらないんです。俳優としてきっちりやりきってくれるなと。やり過ぎてコミカルになることもないですし。
――keeさんは映画への愛が強いですからね。そこがこちらも大好きです。keeさんがいるディケイドの方は皆さんそういう方が集まっていてムラジュン(村上淳)さんだったり(渡辺)真起子さんだったもそうですよね。
話は変わって映画に熱中するきっかけになった作品は何だったのですか?
内田 『楢山節考』ですかね。お父さんが好きな映画でもあったんですが、それまで見たことのない役者のパワーに圧倒されました。
――『グレイトフルデッド』はそういうところ少しありますね。老人映画で役者がパワフルという。内田さんはいずれアメリカで映画をやりたいとのことですがそれは娯楽映画ですか?
内田 アメリカンインディーズをやりたいですね。ヨーロッパのインディーズでなくて。
――今だったらポール・トーマス・アンダーソンとかコーエン兄弟とか。
内田 そうですね。アートシアターでなく一般のミニシアターでかかるような作品です。昔のワインシュタイン・カンパニーがやっていたような作品ですね。
――今作はニューシネマっぽさもありますよね。先ほども出た古舘さん演じる先輩監督に主人公がボコボコにされるのが上映始まって1時間ほどです。脚本構成のいわゆるミッドポイントでアンチヒーローの映画ですが、あそこで共感してほしいと思ったのでしょうか。
内田 先輩監督がメジャーという名のもとに消費されているなと思ったんですよね。よくある自主映画出身の監督の上がり方で大手の映画会社の映画をやって3年ぐらいしたら、その監督のせいでもないどうでもいいようなことで責任を取らされて良い監督が消えていくじゃないですか。それはつまらないなあと。
――ではあのシーンは縮図でメジャーな会社がインディの会社をぶん殴ってるみたいな。
内田 それでも撮る、じゃあやってやるみたいに主人公はなっていくんですけどね。
――では内田さんの心の声は入っていると。
内田 めちゃめちゃ入っていると思いますね。
――メジャーに近づいた時期が内田さんにもあった。
内田 一番近いのは押尾さんの事件で封印になった先の作品で、製作費も大きな額でしたね。でも正直、自分で出来がそんなにいいとも思っていなかった。キャスティングも人がやったものだし、脚本も自分ではなくて一切いじっていないし。
――雇われで監督として入っていて。
内田 そう、それで映画が公開できなくて、どこかホッとした自分がいて。やっぱりこういう世界は合わないんだなあと気付いたのがあって。ああいう全て管理されたやり方が。
――それで2年間ライブばかり観ていた。
内田 気付いたから離れたいと思って。
監督・脚本:内田英治 プロデューサー:アダム・トレル 音楽:T字路s
出演:渋川清彦,でんでん,忍成修吾,岡野真也,内田慈,津田寛治,木下ほうか,古舘寛治,細田善彦,山崎祥江,
川上奈々美,マツモトクラブ,新井雅人,後藤ユウミ,桜まゆみ,平岡亜紀,谷手人,伊東紅,卯水咲流,松井薫平,
松井理子,小林麻祐子,牛丸亮,森本のぶ,山田ジェームス武
製作会社:サードウィンドウフィルムズ © Third window films
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