内田英治 (監督)
映画『下衆の愛』について【2/5】
2016年4月2日(土)より テアトル新宿ほか全国順次公開
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――そういう方には『サイタマノラッパー』を撮る前の入江監督がいます。入江さんもアイドル映画や意欲的な低予算映画を監督していて、一念発起して自己資金の200万円で『サイタマノラッパー』を撮っています。『くりいむレモン』を撮った後の山下監督も迷っていて『リンダリンダリンダ』でまた自分の道を見つけています。
内田 そうなんですね。ぼくは13年に『メタルカ』と『グレイトフルデッド』を完成させてからですね。「『だから俺達は、朝を待っていた』の後に決定的に監督をやめようと思った映画が実はあって、それが『世界最後の日々』です。山本直樹さんのマンガ原作で、人の世界観に乗っかったらうまく出来るんじゃないかと思ったら全くそうならなかった。
――渋川清彦さんことKeeさんも出ている作品です。DVDにもなっていないですね。
内田 アイドルものとか企画ありきをやっていて、もっとアーティストっぽいことを映画でやりたくて人の世界観でやろうとしたら結果として余計良くできなかった。人の世界観では出来ない自分が分かった。それで2年間ライブばかり観ていてから自分の書いた脚本で3か月で2本撮ったのが『メタルカ』と『グレイトフルデッド』です。
――2本とも企画を自分で立ち上げて売り込んだ。
内田 そうですね。『メタルカ』はほぼ自主映画で『グレイトフルデッド』は数千万の予算です。
――『グレイトフルデッド』は驚いたんです。こういうの撮る監督は映画美学校出身なのかなと思ったら全く違っていてキャリアがある方で、なおかつ生き生きとしたジャンルものだったので。あの時がジャンルものは初めてですか。
内田 そうですね。
――笹野高史さんのキャスティングも良かったです。
内田 お会いして脚本を読んでいただいて出ていただきました。『いいね、出るよ』と。
――笹野さんは好きな俳優さんなので弾けていて素晴らしかったです。最近もauの携帯のCMで花坂爺いで弾けていますが。
内田 『パッチギ!』(2004)での笹野さんを観ていいなと思っていて。プロデューサーの木下ほうかさんに笹野さんに声をかけていただきました。
――今は次作『獣道』も出演者オーディションを告知していて『下衆の愛』も注目されています。
内田 自分ではよく分からないけど注目されているのかなあ。『下衆の愛』を作ったのは四畳半ものをやりたかったのもあるし、こういう内容の映画を観たことがなかったのもあります。
――底辺だけど、こういう人たちも愛すべき人たちだよという映画だと思いました。タイトルにも『愛』が入っていますし、どういう思いで作ったのでしょうか?
内田 ここ何年間で今作のような自主映画や低予算映画の世界の人たちを知るようになりました。『あぁ面白い人が多いなあ』と思って。よくも悪くも個性が強いなあと。ぼくはもともとライターだったので、まずは金のない世界だなと気付いて。自分もそうですけども、そういうのも面白かったし。外国に行くと映画作りしている人たちって美大出身のインテリで、お金持ちの家のお坊ちゃんだったりお嬢ちゃんだったりするのに日本は違うなと。日本はヤンキーみたいな兄ちゃんが暴力映画を撮っていたり、結構いろいろな人がいて単純に面白いなと。
監督・脚本:内田英治 プロデューサー:アダム・トレル 音楽:T字路s
出演:渋川清彦,でんでん,忍成修吾,岡野真也,内田慈,津田寛治,木下ほうか,古舘寛治,細田善彦,山崎祥江,
川上奈々美,マツモトクラブ,新井雅人,後藤ユウミ,桜まゆみ,平岡亜紀,谷手人,伊東紅,卯水咲流,松井薫平,
松井理子,小林麻祐子,牛丸亮,森本のぶ,山田ジェームス武
製作会社:サードウィンドウフィルムズ © Third window films
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