小島 央大 (監督) 映画『JOINT』について【2/4】
2021年11月20日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)
――山本さんとはどのように出会ったんですか?
小島 オーディションに来ていただきました。前の短編作品では落としていたんです。小さな会議室での出会いでした。
――山本さんは先ほどのトークショーで監督のことを「アイツ」と呼ばれていて(笑)。この作品が俳優デビュー作になるわけですが、茶目っ気や華があっていい俳優さんですね。
小島 僕が若いんで……。何も知らない未熟者で申し訳ないです(笑)。
――いえいえ、でも若いというのは確かに。20代の若さで強面の俳優たちを相手にして、大変なことはありましたか?
小島 僕はぶっきらぼうな人間というか、幼少から10年間アメリカで育ってきたというのもあって、日本独自の縦社会的な意識がないんです。年齢を気にしたことがなくて、まあ不思議な性格だと思います。
――そうなんですか。では日本社会に根深い差別の問題に違和感を感じてこういう作品を作ったというのもあるんでしょうか?
小島 そうですね、移民というか不法滞在者のドキュメンタリーを見ていろいろと思うところがあって。不法滞在する方がなぜ不法滞在しないといけないかという由来とか、母国の状況や家族構成の問題とか、就労斡旋ブローカーが詐欺をしていたりとか、いろいろ複雑な社会構造がそこにあるのに、日本政府はないものにしているという。でも犯罪と密接につながっている部分があるので、この問題を取り入れたいなと思いました。
――韓国人のキャラクターが登場しますが、俳優のキム・ジンチョルさんとキム・チャンバさんは映画制作上も重要な役割を果たしているようで、キム・チャンバさんはプロデューサーまで務められていますね。このお二人もオーディションなんですか?
小島 ジンチョルさんは以前短編映画に出てくださった方で、今回の出演者の中でいちばん付き合いが長いです。短編を2作品撮っています。チャンバさんも短編映画のオーディションで知り合って、今回イルヨン役に合うなと思って連絡しました。
――今までに短編映画はどれくらい撮っているんですか?
小島 4作です。
――公開はしていないんですか?
小島 していないです。とりあえず作ろうと思って作った感じなので。1本だけミュージックビデオに絡んでいるものがあって、ジンチョルさんに出てもらっているんですが、それは公開されています。
――ミュージックビデオはたくさん撮られているんですよね。
小島 はい、普段はミュージックビデオやCMの監督をしています。
――そこから今回は長編を撮ろうとして臨んだと。
小島 そうです。元々映画監督になりたいという想いがあって、映画を作らないと監督にはなれないので第1歩を踏んだというか。まずは作ってみようと思って作りました。
――自主映画ながら400人も集まるオーディションをしたとのことで、本格的ですね。
小島 自主映画としてのスタートではありましたが、商業映画的な手法で世の中に出していきたいという想いがありました。その背中をチャンバさんがどんどん押してくれた感じです。
――チャンバさんがそこまで協力してくれたのは、やはり作品を気に入ってくれたからということなのでしょうか?
小島 撮りながらいいなと思ってくれたようです。現場の感じや撮影の上がり、役者陣がすごいですし、そこに手応えを感じてくれたのだと思います。
――『JOINT』というタイトルについてお聞きしたいです。犯罪映画で「ジョイント」というとマリファナを表すのかな?と思うと、この映画にはマリファナは出てこないんですよね。それよりもみんなでジョイントして作ったような作品なので、そういう意味なのかな?と。
小島 “joint”という単語にはいろいろな意味があって、「刑務所」というのもあるし、「映画」という意味もあるんですよね。
――ああ、「スパイク・リー・ジョイント」とか使いますよね。
小島 はい。いい言葉だなと。総括して映画にいい意味合いをもたらしてくれる言葉なのでタイトルにしました。
出演:山本一賢,キム・ジンチョル,キム・チャンバ,三井啓資,樋口想現,伊藤祐樹,櫻木綾,鐘ヶ江佳太,林田隆志,
宇田川かをり,平山久能,二神光,伊藤慶徳,片岸佑太,南部映次,尚玄,渡辺万美
監督:小島央大
エグゼクティブプロデューサー:キム・チャンバ 脚本:HVMR 撮影監督:寺本慎太朗 照明:渡邊大和
録音・整音:五十嵐猛吏 衣装:YK.jr ヘアメイク:安藤メイ 助監督:長橋隆一郎
ラインプロデューサー:翁長穂花 キャスティング:山本一賢,櫻木綾 録音助手:伊藤ゆきの
オンライン編集:橋本悠平 配給:イーチタイム ©小島央大/映画JOINT製作委員会
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