インタビュー
小島央大監督/『JOINT』画像

小島 央大 (監督)
映画『JOINT』について【1/4】

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2021年11月20日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

便利に生活するために気軽に登録している個人情報が、知らないうちに名簿として売買され、大切な家族を特殊詐欺の被害に遭わせてしまうかも……。身近に潜むリスクにまず警鐘を鳴らし、それが暴力団、ベンチャー投資、外国人犯罪組織といったより深い闇と絡み合っていることに震撼させる、リアルで骨太なクライムムービー『JOINT』が11月20日(土)よりユーロスペースほかにて公開される。主人公は、裏社会から足を洗って真っ当なビジネスに就こうとする半グレの男。強かに振る舞いつつも、前科者に厳しい社会で弱者の彼が徐々に追い込まれる姿をスリリングに映し出し、人間ドラマとしても見応えある1本となっている。鑑賞後も様々なことを考えさせる、まさに新感覚のジャパニーズ・ノワールだ。監督は、本作が長編監督デビューとなる小島央大。主人公・石神武司役で俳優デビューを果たした山本一賢とともに大器となる予感を感じさせる。本インタビューは、一般の観客を招いての試写会と、お二人が登壇するトークイベント後に行ったのだが、イベントでは映画の興奮冷めやらぬといった表情の観客たちが熱心に耳を傾け、熱い第1歩を踏み出した。そんな注目作について、小島央大監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
小島 央大 1994年神戸生まれ。幼少からニューヨークで育ち、中学より帰国し、東京大学建築学部卒業後、映像の世界に飛び込む。映像作家の山田智和の下でアシスタントディレクターを1年半経て、独立。以後、MVやCM、企業VPやVJ、LIVEなど、ジャンルや形態に囚われず、アイデア豊かな様々な映像作品を監督。情緒的な演出と、映画的で上質な色使いを得意とする。これまで主に手がけてきた作品は、「Superbeaver - 自慢になりたい MV」「中納良恵 - 街空 feat. 折坂悠太 MV」「Daiki Tsuneta x Pasha de Cartier」など。本作『JOINT』が長編映画監督デビュー作となる。
STORY 刑務所から出所した半グレの石神は、個人情報の「名簿」を元手に、特殊詐欺用の名簿ビジネスを再開する。真っ当に生きたいと望む彼はベンチャービジネスに介入し投資家へ転身を図るも、裏稼業から足を洗うのは至難の技だった。そんな石神の周囲でうごめく、関東最大の暴力団と外国人犯罪組織の影。それぞれの抗争に挟まれた石神。白か黒か曖昧な世界で、“何者か”になろうともがく石神は、いかなる決断を下すのか―――。
小島央大監督画像
――『JOINT』、とても面白かったです。石神武司という半グレの主人公と共に、日本の社会を裏側から見せてもらった気がします。半グレという犯罪集団は日本独特のものだそうですが、監督がそれに興味を持つことになったきっかけは?

小島 元々犯罪映画が好きで、アメリカのマフィアの話や台湾のギャングの話がジャンルとして好きだったんですが、日本の犯罪もののジャンルには新しいものがないなあという印象があって。もちろん日本にはヤクザ映画があって名作だらけですが、その時代で止まっている感じがして。今の日本を映す犯罪映画とはどんなものだろうか?と考え、暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)が施行されてヤクザが衰退していき、その代わりに台頭してきた、ヤクザとカタギとの間のなんとなく中途半端な状態で犯罪をやっている集団に興味が湧きました。ヤクザ映画を現代バージョンで撮るより、日本の現状を映画化したいという興味の中、半グレというのは今までのヤクザ映画との接点でもあるし、カタギの世界との接点でもあるし、グレーゾーンですごく面白いなと思って半グレに焦点を当てました。

――まさに現代社会のグレーな部分が描かれていますね。ヤクザもカタギもやっていることは詐欺まがいのビジネスという感じで、どこに違いがあるんだろうか?などと考えながら観ていました。脚本は小島監督とHVMRさんという脚本家の共同執筆ですが、どのようにストーリーを作っていったんですか?

小島 脚本に関しては、映画がどういう感じで始まり、どういう感じで終わるか、ザックリしたところは元々できていて。冒頭の車のシーンで山本一賢さん演じる武司の顔が映るのとラストカットが同じとか、そういった起承転結のような大きい枠は大体決まっていました。それをつなげる物語の運び方、石神武司の成長像もちゃんとしたものがあったんですけど、どう具体的にシーンに落とすかが全体像として出来上がっていない状態で、撮影しながら翌日、翌々日の撮影の分をみんなで考えていった感じです。脚本家のHVMRさんは具体的な脚本を文章でくれて、それをみんなで現場でやってみて、「こういう台詞の方がいい」とか出しながらアドリブでつなげていくという。完成版がない状態で、現場で次々に案を出して更新していった感じです。

――台詞がとても自然で普通の会話のように聞こえていましたが、アドリブが多かったんですね。最初と最後のシーンは決まっていたということで、ビジュアルとしてこんなシーンが撮りたいという願望などもお持ちだったのでしょうか?

小島 ビジュアル的にこういう画が撮りたいというのはあまりなかったですね。ストーリー上必要なビジュアルとして振込詐欺の様子だとか、荒木が刺青を入れるシーンも、そこに荒木なりの生き方が見えるからということで入れました。ストーリーとキャラクターが必要とするビジュアルを構成していきました。

『JOINT』場面画像1 『JOINT』場面画像2
――山本一賢さん演じる石神武司がとても人間くさく魅力的でした。髭と髪型の違いで、シーンによって顔がかなり違って見えますね。メインビジュアルにも使われているクライマックスの表情は別人のようで特に印象的でした。

小島 人は誰もが自分の中にいろんな面を持っているものだし、会う相手に合わせて話し方や態度を変えるものだし。石神武司の様々なツラ、人間を表現していきつつ、核にある何かを追究していけたらいいなと思っていました。また、撮影と共にみんな成長していったんです。長編を撮るのは僕も初めてだし、山本さんも初めてだし。あの表情は、そうした体験を通して出てきたものですね。

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JOINT (2020年/日本/118分/シネスコ/5.1ch/カラー/デジタル)
出演:山本一賢,キム・ジンチョル,キム・チャンバ,三井啓資,樋口想現,伊藤祐樹,櫻木綾,鐘ヶ江佳太,林田隆志,
宇田川かをり,平山久能,二神光,伊藤慶徳,片岸佑太,南部映次,尚玄,渡辺万美
監督:小島央大
エグゼクティブプロデューサー:キム・チャンバ 脚本:HVMR 撮影監督:寺本慎太朗 照明:渡邊大和
録音・整音:五十嵐猛吏 衣装:YK.jr ヘアメイク:安藤メイ 助監督:長橋隆一郎
ラインプロデューサー:翁長穂花 キャスティング:山本一賢,櫻木綾 録音助手:伊藤ゆきの
オンライン編集:橋本悠平 配給:イーチタイム ©小島央大/映画JOINT製作委員会
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2021年11月20日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

2021/11/17/20:41 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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