カトリーヌ・ドヌーヴ (女優)
公式インタビュー 映画『ルージュの手紙』について【2/2】
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2017年12月9日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
――ベアトリスは自らの死を感じて娘に会いに行くという行動をしますが、もしドヌーヴさんが同じ状況になったらどうしますか?
C・ドヌーヴ 彼女の立場になることはないと思いますが、ベアトリスは自分にとって何が大切かとかそういうことで行動しているわけではなくて、映画の中ではエゴで自己中心的な人で、ただ自分の余命が少ないと知り一人でいるのが怖い、誰かに頼りたいというエゴからああやって突発的に連絡をとってきたということ。ベアトリスはその日その日を生きていて後ろを振り返ることもない人間なので。
――ベアトリスとクレールが出会ったことでそれぞれが贈り物を貰ったような気がします。
C・ドヌーヴ その通りで、お互いに出会えたことによってそれぞれが気づくことができなかったことに気づくということはあります。
――脚本のどこに惹かれましたか?また映画が完成して観た上で脚本を読んだ時の印象と違っていましたか?
C・ドヌーヴ シナリオを読んでやっぱり一番魅力を感じたのは描かれている人物たちで、映画が完成して観ても、シナリオで読んだときに想像していた人物達がきちんと映画の中でも描かれていた。描かれている人物が非常に面白いというのが一番気に入ったところです。登場人物が人間的だしセンチメンタルな部分があるし、すごくイキイキとした人物たちで、もちろん撮影されてからどういう編集になるのかはわからないけれども、実際仕上がったものを観てみたら、自分がシナリオを読んでこの人物のこういう所が好きっていうのがそのまま描かれていた。
――そういったことは今まで出演されてきた作品でもそうだったのでしょうか?それとも違うことの方が多いのでしょうか?
C・ドヌーヴ シナリオ通りに映画が完成するのは毎回ではありません。でも今回の作品についてはほんとうにシナリオを読んで想像していた通りの作品に描かれていました。でも時々素敵なサプライズがあって、シナリオで描かれていた時よりも良くなったなって思うこともあります。大抵はそうではないけれども。なかには撮影中どうなってしまうんだろうという作品もあって仕上がって観たら良かったという作品もあります。例えばトリュフォーの『終電車』、あれなんかも撮影現場は大変だったけれども仕上がったらすごく良かったです。
――これまでのキャリアの中でどのように作品の選んでいるのでしょうか?
C・ドヌーヴ シナリオが気に入るというのももちろんですけども、監督に魅力があるかというのも大きなポイント。今自分がやっている選択は25歳の時にはやっていなかったと思うし、その時の自分が共感できるシナリオだったり監督だったり、そういう人たちと仕事をしてきたので、作品を選ぶ時に、一貫性があるというよりは、その時その時に自分が共感するものを選んできました。
――いつも気鋭の監督たちと仕事をしていますが、自分からアプローチするのですか?
C・ドヌーヴ 一概には言えませんが、作品を観て会ってみたいなと思うこともあれば、偶然の重なりで出会ってご縁が出来たということもあります
――俳優という仕事の面白さや喜びを教えてください。
C・ドヌーヴ トリフォーの言葉を引用すれば「喜びであると同時に苦しみである」ということだと思います。想像上の人物に命を吹き込むことは非常に面白いことだと思います。自分の人生で経験しないようなことを役柄で経験できたりする。自分でない誰かを演じることは非常に面白いことだと思います。
――経験を重ねた上で、今の俳優という仕事への向き合い方とかを学んで行ったのですか?
C・ドヌーヴ 自分のキャリアの中では、ジャック・ドゥミとの出会いが考え方に影響しています。彼は普遍的な独自の世界観を持った監督だと思います。
――何歳まで女優をするとか決めているのでしょうか?
C・ドヌーヴ 特に決めていなくて、面白いシネリオがあって縁があればずっとやりつづけていきたいですね。
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監督・脚本:マルタン・プロヴォ『ヴァイオレット-ある作家の肖像-』『セラフィーヌの庭』
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ『シェルブールの雨傘』『しあわせの雨傘』、カトリーヌ・フロ『大統領の料理人』、オリヴィエ・グルメ『少年と自転車』
日本語字幕:古田由紀子 <G> 配給:キノフィルムズ/木下グループ
© CURIOSA FILMS - VERSUS PRODUCTION - France 3 CINEMA
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