『華魂 幻影』大西信満さん×川瀬陽太さん×佐藤寿保監督 トークイベント2

『華魂 幻影』大西信満さん×川瀬陽太さん×佐藤寿保監督
トークイベントレポート 【2/3】(取材:深谷直子)

川瀬陽太
川瀬陽太
映画の設定として、川瀬さんが愛奏さんと演じる劇中劇『激愛』は、途中から“華魂”にとり憑かれて変調し、壮絶に暴走していくことになる。撮影前に川瀬さんは、本編とのバランス上「どこまで行っていいか?」ということを考えていたそうだが、現場で真剣な佐藤監督を前にすると気持ちが変わったそう。「撮影場所は屠殺場跡で、カラミのシーンは漏斗状になった“血抜き”の場所で撮って。楽しい場所ではないわけです。だけど寿保さんがこうキリッ!とした顔をしていると『これはもう行くしかねーだろ』って(苦笑)。むしろその場所でこっちはナルシスティックに盛り上がれるところがあって、バトンを渡す大西くんとイオリちゃんには『すみません』って感じでしたね」と神妙な表情。
それに対して大西さんは「台本以上に“激愛”してたので、後半部分を担った我々としては助けになったなあと感謝しています」と大肯定して、川瀬さんも「ああ、それだったらよかったですよ、本当に」とホッとした表情を浮かべた。

佐藤監督は、キャラクターや映画に込めた想いを説明。「大西信満演じる映写マンであり昔は自主映画を撮っていたという男には、半分自分を投影しているところがあるんだけど、カメラのファインダー越しでないと現実感がないような感覚は、今のご時世もそんな感覚なのではないかなと。傍観者的に見過ごして『ああすればよかった』とトラウマのように抱えているというのが誰にでもあると思うんですよね。そういう“ここを分岐点に表と裏”みたいなものを映画で描こうと。夢の中での妄想というかね。ダイナマイトも人体もグルグル回っちまったよ!みたいな。現実では腹を裂いたりなんかできないけど、夢の中ではできる。映画の中だからこそできる上手なウソのつき方というかね。だから映画は楽しい」と語った。

大西さんにとって、そんなふうに世界観を完璧に表現する佐藤監督のこだわりある映画作りから得たものは大きかったよう。「脚本をもらって自分なりにイメージを作って現場に入るわけだけど、ホンに書いてあることを生身の人間がやったときに、『あれっ?』と思うことがよくあるんですよ。でもこの作品に関しては、本当にホンで読んだときの面白さがちゃんと画に映っていて、その力強さに驚きましたね」と目を輝かせて語った。初号試写を観たときは、「自分がどんなに真剣に演じても川瀬さんの“ヘリコプター”シーンに全部持っていかれる」と思ったとのことで、これは主役を食われて嫉妬しているということなのかと思ったが、まったく逆。「生身の人間ができることを越えちゃうわけですよ、仕掛けでクルクルクル……と。俯瞰の画を見たときに『これはすごい映画だなあ』と、自分が出ている映画でそんなことを言うのはあれだけど、本当にそう思いました」と心底感服している様子だった。

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華魂 幻影 2016年/日本/カラー/ステレオ/83分
出演:大西信満 イオリ 川瀬陽太 愛奏 吉澤健 真理アンヌ 三上寛 他
監督・原案:佐藤寿保 プロデューサー:小林良二 脚本:いまおかしんじ 音楽:大友良英
共同研究:東京工芸大学 制作・配給・宣伝:渋谷プロダクション 製作:華魂プロジェクト
© 華魂プロジェクト
公式サイト 公式twitter 公式Facebook

ニュー八王子シネマにて公開中
5月28日(土)より神奈川・シネマ・ジャック&ベティ、
6月4日(土)より福岡・中洲大洋劇場、
6月11日(土)より宮城・桜井薬局セントラルホール、
7月9日(土)より京都・立誠シネマプロジェクトほか全国順次公開!

2016/05/22/19:12 | トラックバック (0)
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