和田 秀樹(監督) & 雪村 葉子 (原作)
映画『私は絶対許さない』について【2/5】
2018年4月7日(土)よりテアトル新宿、4月14日(土)より名古屋・シネマスコーレ、4月28日(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開ほか全国順次
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――映画化することもすぐに思い付かれたんですか?
和田 はい。性被害者のその後の人生がどうなっていくのか?という、それを体験していない者にとっては恐らくピンとこないことが、これを映画化することで伝えられるのではないかと。もちろんいろんなケースがあるんですよ。PTSDに苦しむ人もいれば、完全に引きこもってしまう人もいれば、ひどい男性不信に陥ってずっと結婚できない人もいます。これだけがトラウマの答えだとは思っていないけど、この問題でいちばん悲しいのは、自分は被害者なのに「もともと好きだったんじゃないの?」だとか、原因が被害者のほうにあるように思われてしまうことだと思います。体験していない人には理解し難いけれど、性被害者には人間が変わってしまったり、時間の連続性が途切れてしまうということがあることを伝えたいと思いました。
――主観映像にしたのはどうしてですか?
和田 原作は僕らみたいに心理をやっている者にとっては腑に落ちるし、読み物として面白いんだけど、これを普通に撮ると観る人にとって単なる物語になってしまう気がしたんです。雪村さんが体験した世界をそのまま追いかけ、その体験に近いものを観る人に感じてもらいたいと思いました。あとは、こうした映画を性犯罪を告発したいという想いで作っても、観る側がそう受け取るとは限らない。例えばレイプシーンを喜んで観る人もいるので、それもあって被害者目線の映画を作ろうと思いました。
――この映画のレイプシーンで、性被害者の恐怖や苦痛がどれほどのものなのか窺い知ることができました。このシーンの撮影には雪村さんも立ち会われたそうですね。
雪村 はい、監督から集団レイプシーンが実状と違っていないかどうかの確認のために立ち会ってほしいと言われまして。私にとって、それはとても怖いことでもありました。集団レイプシーンを見ることで、自分の中の何かが紐解かれてしまうのではないか?と。とても迷って、行くと言ったり断ったりというのを繰り返して、立ち会おうと決めたのは撮影の前日でした。実際現場に立ち会わせていただいたら、撮影を客観的な目で見ることができまして、そういう自分に驚いてもいますし、時間が経ったのだな……という想いでおります。
――何か雪村さんのほうから撮影現場で意見を言われたりはしたのでしょうか?
雪村 特にはないです。事前にレイプ現場となる部屋の様子を監督から尋ねられたときは、「一般的な不良の部屋です」と(笑)。
和田 そうです、一般的な不良の部屋のイメージを基に、美術部の人たちがエロ本だとか酒だらけの汚いレイプ現場の部屋を一生懸命作ってくれました。ただ、いくら一生懸命やってくれたとしても現実と違うものになってはいけないので、雪村さんに立ち会ってもらって確認してもらいました。美術部が今回はとてもがんばってくれて、主観映像ということでリアルさを余計意識し、雪村さんのアパートにしても何にしても、できるだけリアルに見えるようにしたつもりです。
監督・企画・製作総指揮:和田秀樹 プロデューサー:小林良二
原作:雪村葉子(ブックマン社) 脚本:黒沢久子 撮影:高間賢治 音楽:三枝成彰 編集:太田義則
照明:上保正道 録音:植田中 美術:畠山和久 VFX:立石勝 特殊造形:百武朋
制作担当:嬉野智裕・酒井織人 助監督:上野貴弘 ラインプロデューサー:大原盛雄
主題歌: 出口陽「迷宮」 制作・配給:緑鐵 配給協力:渋谷プロダクション
製作:「私は絶対許さない」製作委員会 ©「私は絶対許さない」製作委員会
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