和田 秀樹 (監督) &
雪村 葉子 (原作)
映画『私は絶対許さない』について【1/5】
公式サイト 公式twitter 公式Facebook
2018年4月7日(土)よりテアトル新宿、
4月14日(土)より名古屋・シネマスコーレ、
4月28日(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開
ほか全国順次
15歳の元旦に集団レイプされ、男たちへの復讐を胸に波乱万丈の人生を歩んできた雪村葉子さんの手記『私は絶対許さない』が、精神科医でもある和田秀樹監督の手により映画化された。主人公・葉子の目線で体験を追う主観映像でほぼ全編を構成。性被害者が二次被害も含めどれほど壮絶な体験をするか、心を壊された人がどんな突飛に見える行動を取るか、他人には想像し難いことを切れ味鋭い映像と演出で鮮烈に伝える。葉子役でW主演した平塚千瑛と西川可奈子の体当たり演技、佐野史郎、美保純といった脇を固める個性派俳優が演じる欲望あらわな人間像も生々しい。映画にかかわる一人ひとりの果敢な挑戦が作り上げた葉子の世界に身を置いて、性犯罪という問題と向き合ってほしい。和田秀樹監督と原作者の雪村葉子さんにお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
雪村 葉子 『私は絶対許さない 15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師になった理由』(2015年/ブックマン社)著者。現在は、昼は看護師として、夜はSM嬢として生活をしている。
――『私は絶対許さない』、原作にも映画にもとても感銘を受けました。原作は事件から20年後の2015年に出版されましたが、まずは雪村さんにそのいきさつをおうかがいできますでしょうか?
雪村 はい。私は昼は看護師、夜はSM嬢をしておりまして、別の女王様取材で編集の小宮(亜里)さんにお会いしたときに過去の話を少ししましたところ、「なぜ集団レイプに遭った人が風俗嬢をしているのか?」と興味を持っていただきまして、「本を出してみませんか?」と言っていただいたことがきっかけです。
――和田監督はそこに解説を書かれていましたね。
和田 はい、出版前に解説を頼まれて内容を知りました。依頼がなかったらこういう本にうまく出会えていたかどうかわからないですよね。読んだらすごく迫ってくるものがありました。性被害やトラウマを扱った日本の作品は、基本的に通り一遍な感じが僕はすごくしているんです。例えば、性被害を描いたこれまでの映画でいちばんよくできているのはジョディ・フォスターが主演の『ブレイブ ワン』(07)という映画だと思っていて、これは暴力の被害者となったヒロインが夜になると凶暴になり通り魔のような行為をするという話なんだけど、いわゆる性被害者だとかトラウマを受けた方々の話というと、PTSDになるとか多重人格になるとか、そういう話になりやすいんですよね。僕ら精神科医からすると、トラウマの何がいちばん問題なのかというと、原因となることが起こる前と起こった後とで時間の連続性が断ち切られてしまうということなんです。編集者の小宮さんは「性被害を受けた人が風俗嬢になった」ということに素朴な疑問を抱いたということだけれど、僕からすると、それまでの真面目な時間とそれ以降の自分とが違った人生ラインに乗るということは恐らくあると思います。あと、AVライターの知り合いに話を聞くと、性被害者の人や、AVに無理矢理出された人が、それ以降もAVの仕事をするということが結構あるそうなんですね。それを世間では「こんなにたくさんAVに出ているのに、何が1回目は無理矢理なんだ?」みたいな感じで言われるわけでしょう? でも逆らえなくなったり、嫌な言い方をするとそこで自分が傷物になり、普通の生活には戻れないと思ったりしてヤケを起こす人だってたくさんいるんです。雪村さんがそうだったのかはわからないけど、性被害に遭った人が、そうやって本来は嫌だと思っていた世界に入っていってしまうことが少なくないということがわかっていたので、この本に書かれていた内容がわりとリアルというか、あるだろうなあと思って、いわゆるこれまでのかわいそう一辺倒とか、あるいはPTSDでフラッシュバックに苦しむとか、多重人格になっちゃって別人格のときに何かするというような話よりは全然リアルに感じられるものがあったんです。
監督・企画・製作総指揮:和田秀樹 プロデューサー:小林良二
原作:雪村葉子(ブックマン社) 脚本:黒沢久子 撮影:高間賢治 音楽:三枝成彰 編集:太田義則
照明:上保正道 録音:植田中 美術:畠山和久 VFX:立石勝 特殊造形:百武朋
制作担当:嬉野智裕・酒井織人 助監督:上野貴弘 ラインプロデューサー:大原盛雄
主題歌: 出口陽「迷宮」 制作・配給:緑鐵 配給協力:渋谷プロダクション
製作:「私は絶対許さない」製作委員会 ©「私は絶対許さない」製作委員会
公式サイト 公式twitter 公式Facebook