和田 秀樹(監督) & 雪村 葉子 (原作)
映画『私は絶対許さない』について【5/5】
2018年2018年4月7日(土)よりテアトル新宿、4月14日(土)より名古屋・シネマスコーレ、4月28日(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開ほか全国順次
公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)
――コミカルで面白かったですね。編集もとてもテンポがよくて臨場感が出ていました。
和田 編集の太田(義則)さんはずっと北野武さんの編集をしていたとても優秀な方なんです。編集には僕もずっと立ち会っていたんですが、だんだん形になってつながっていくという感じがすごくありました。音響監督も、主観の映画だから前から来るものは前から、後ろから来るものは後ろから聴こえるようにとすごく神経を注いでくれたんです。劇場の大きいスクリーンで、暗いところで観ると相当臨場感があると思います。現実に、いいか悪いかは別として、今はマスコミ試写しかしていないので観ているのも映画を観慣れた人ばかりであるにもかかわらず、冒頭の集団レイプシーンで逃げ出した人が2、3人いると。
――ははは……。そうなんですか。
和田 そういう映画になったってことですね。いいか悪いかは別として。
――雪村さんは完成した作品を観たときどんなことを思いましたか?
雪村 監督からお話をいただいたときは半信半疑で、「私の半生なんかが映画になるのかな?」という感じだったので、本当に映画になったのだなあ……と(笑)。
――(笑)。そうですよね。公開されたらたくさんの反響があると思いますので、これからも楽しみですね。また、このところ伊藤詩織さんと山口敬之の事件があったり、世界的にも「MeToo」というとても大きな運動が起きたりしていて、そうした関心からこの映画を観る方もいらっしゃると思います。雪村さんがこういう貴重な手記を書いたことはよかったなとあらためて思います。
雪村 私も伊藤詩織さんの著書を読ませていただきましたが、泥酔した女性をホテルに連れ込むなんていうのは卑劣極まりない行為だと思っております。SNS等で詩織さんに非があるかのような書き込みも見たんですけれども、なんでこんなことを言われなければならないのかわかりません。この本のタイトルどおり、性犯罪を私は絶対に許しません。加害者は死刑でいいと思います。
和田 山口敬之氏が人間としてどうしようもないなと思うのは、雑誌に伊藤さんを余計貶めるようなことを書き、さらに妻子がいるのに避妊もせずにセックスしたことを堂々と告白しているわけで、どういう神経をしているんだろうと思いますね。でもいちばんまずいのは、日本の行政と司法のあり方です。合意があったかなかったかというのは裁判で争うべきことなのに、行政機関である警察が「合意があった」と言って裁判にしないというのはおかしい。三権分立がまったく機能していないと。二次被害も起こっています。証言も証拠もいくつもあるのにそれでも裁判に送られないんだったら、他の被害者も「私も取り上げてもらえないだろう」と思ってしまいますし、知り合いの性被害の患者さんも怖がっていました。泣き寝入りしている人がたくさんいるのに、それを増やすようなことをしている。性被害者が声を上げられる社会になってほしいと思いますね。そのためにさまざまな議論が起きてほしいですし、この映画がそのきっかけのひとつになればいいなと思います。
( 2018年3月17日 九段下・ブックマン社で 取材:深谷直子 )
監督・企画・製作総指揮:和田秀樹 プロデューサー:小林良二
原作:雪村葉子(ブックマン社) 脚本:黒沢久子 撮影:高間賢治 音楽:三枝成彰 編集:太田義則
照明:上保正道 録音:植田中 美術:畠山和久 VFX:立石勝 特殊造形:百武朋
制作担当:嬉野智裕・酒井織人 助監督:上野貴弘 ラインプロデューサー:大原盛雄
主題歌: 出口陽「迷宮」 制作・配給:緑鐵 配給協力:渋谷プロダクション
製作:「私は絶対許さない」製作委員会 ©「私は絶対許さない」製作委員会
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4月7日(土)よりテアトル新宿、
4月14日(土)より名古屋・シネマスコーレ、
4月28日(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開ほか全国順次
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