和田 秀樹(監督) & 雪村 葉子 (原作)
映画『私は絶対許さない』について【4/5】
2018年2018年4月7日(土)よりテアトル新宿、4月14日(土)より名古屋・シネマスコーレ、4月28日(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開ほか全国順次
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――主演のお二人は撮影前に雪村さんに会われたそうですね。
雪村 はい。平塚さん、西川さんはじめ、佐野史郎さんと隆大介さんともご挨拶をさせていただきました。みなさんご自分で本を買って読んでくださったようで、「本を読みました。とても大変な思いをされましたね」と優しい心遣いをしていただいて、大変感謝しております。
――脇を固める俳優さんも佐野史郎さん、隆大介さん、美保純さんはじめそうそうたる方々で、しかもみなさん怪演をされていますね。難しい題材を扱う作品で地味になりそうなところ、豪華な顔ぶれでとても魅せてくれるものになりました。
雪村 有名な俳優さんが出てくださる映画になるとは、大変失礼なんですけど思っておりませんでした。劇団だとかで活動している知らない俳優さんが出るような映画かな?と思っていたのですが、テレビで見た人が目の前にいる感じで驚きました(笑)。
和田 実際は似ていないらしいんですけど、僕は雪村役には佐野さんしか思い付かなかった(笑)。名前の有名無名は別として、芝居が上手い人が揃ったなと。隆大介さんは何年も休んでおられたけど、もともとは黒澤明監督の『影武者』(80)などに準主役クラスで出ていた人ですし、美保純さんはあんなに上手いと思っていなくて(笑)、ビックリするぐらいいい芝居をしてくれたし。東てる美さんはちょっとしか出てこないんだけど、あまりに喧嘩のシーンの演技が迫真に迫っていたので、ロケ現場で通行人が「やめなさい」と止めに入るということがありました(笑)。
――葉子の父親役を演じた友川カズキさんの激しい演技にも驚きました。ミュージシャンではほかに三上寛さんもいい味を出していますが、監督とご縁がある方々なのでしょうか?
和田 友川さんはプロデューサーのキャスティングです。僕は深夜放送のファンだったので、昔すごく尖がったミュージシャンだったのは憶えていたんですが、いい芝居をしてくれました。メガネをかけると変わりますね(笑)。三上さんのことは実は演技者として極めて評価しているんです。井筒和幸監督のデビュー作の『行く行くマイトガイ 性春の悶々』(75)に出ていたりして。最近も何本か出ているから「出てもらえたらいいね」みたいな話をしていたんですが、なんとか叶いました。
――雪景色など、主観映像以外もとてもきれいに撮られていました。
和田 それをきれいに撮らないと映画としてどうかというのがあるわけですが、現実にはこれも苦労がありました。雪が降る地方で実家と駅を借りるのがとても難しくて、結果的に能登で撮影したんですが、ロケハンのときは雪まみれだったのに、そのあと1週間ぐらいあったかい日が続いて撮影までに雪が全部融けてしまったんです。それで雪を運んできてCGを使って、結構制作費がかさんでしまいました(苦笑)。でもその分、作り物ではあるんだけど余計に雪国らしい感じが出たかもしれないです。
――葉子が東京に出ていくシーンで青空が映るのも印象に残りました。葉子の視線が初めて上を向くのが感じられて。
和田 ああ、そうですね。東京に出ていくシーンと、そのあとの美容整形のシーンで、観ている側に少し明るい期待を持たせたいと。かつ雪村がいろんなおいしいものを食べさせに行くようなところで「あ、幸せになるのかな」と思わせて……、という流れで。そこは実は編集のときに脚本を少しいじっていますね。例えば食べ物のシーンをダダダダっと連続させるというのは編集でそうなっていきました。
監督・企画・製作総指揮:和田秀樹 プロデューサー:小林良二
原作:雪村葉子(ブックマン社) 脚本:黒沢久子 撮影:高間賢治 音楽:三枝成彰 編集:太田義則
照明:上保正道 録音:植田中 美術:畠山和久 VFX:立石勝 特殊造形:百武朋
制作担当:嬉野智裕・酒井織人 助監督:上野貴弘 ラインプロデューサー:大原盛雄
主題歌: 出口陽「迷宮」 制作・配給:緑鐵 配給協力:渋谷プロダクション
製作:「私は絶対許さない」製作委員会 ©「私は絶対許さない」製作委員会
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