映画『リベリアの白い血』トークイベントレポート Part5/5
5、深田晃司(映画監督)×福永壮志監督
アップリンク渋谷にて大好評上映中!ほか全国順次公開
9月25日(月) 登壇者:深田晃司(映画監督)、福永壮志監督【2/3】 (取材:深谷直子)
もうひとつ印象的だった部分として、「リベリアからニューヨークへの時間のつながりが、いわゆるお約束の飛行機が飛んでいったりというシーンもなく、カットが切り替わったらもうニューヨークにいるという、あの近さがすごくよかった。主人公の人生の中では地続きで、特に劇的なものもなくリベリアからニューヨークに出てきてしまって、仕事の苦しさもそんなに変わらない、みたいな感じがすごくある意味アンチハリウッド的で好きでしたね」と語る深田監督。福永監督は「ありがとうございます。それは僕がずっと編集をしてきているというのもあるのかもしれません。脚本を書きながら頭の中には編集でどうカットをつなげていくか?みたいなのがありますね」と自己分析した。
深田監督はリベリアでの撮影にも関心を示し、「リベリアには映画文化ってどれぐらいあるものなんですか?」と尋ねた。福永監督の「国内で撮られている映画は、僕らの物差しでいうと同じ映画と言うのは難しいところがあります。カメラなどの機材のクオリティも低いですし、劇場がないからDVDで、それも西アフリカ内だけで回っていて、観るのもそうしたローカルの作品とハリウッド映画という極端な状況で。だから映画だけ制作して生活できるという人もいません」との話に耳を傾け、「俳優がよかったですよね。オーディションはなさったんですか?」とさらに質問。福永監督は「俳優がすごく少ないのは知っていたので、演技経験はまったく問わないでオーディションをしたんですけど、幸運にも素晴らしい才能がある人たちが見つかって、何とか成り立ったなあと思います」と答えた。
深田監督は「本当にいい顔だったなあと思います。なんかこの主演の人とかもう、撮影のあとにアメリカに住んで俳優活動を始めているっていう(笑)」と、俳優たちのその後にも興味津々。福永監督が「そうですね、仕事は別にありつつ国内のプロジェクトで俳優活動もしていた人で、撮影後もそのまま残りまして。来た人みんな残ったんですけど」と明かすと、深田監督は「それはまた……、みんな移民になってしまって」と驚き、場内も大爆笑。福永監督が「プロダクションは責任は負わないんですけど」と調子を合わせると、深田監督も「あとは自分の努力でがんばって生き抜いてもらってと」と言って、会場はさらに沸き立った。 福永監督が「主演のビショップは撮影後にリベリア系アメリカ人の女性と出会いまして、すぐ結婚して子供を産んで、永住権申請中です」と俳優の近況も添えると、「ああ、それはホッとしますね。幸せになっているんですね」と、深田監督は心から嬉しそうな笑顔を見せた。
1 山本政志(映画監督) × 長谷井宏紀(映画監督)2 亀山亮(写真家)3 大西信満(俳優) × 蔦哲一朗(映画監督)4 水道橋博士水道橋博士(お笑いタレント) × 松崎まこと(映画活動家)
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス 録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン 編集:ユージン・イー,福永壮志
美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス 衣装:キャシディ・モシャー
配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム