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映画『リベリアの白い血』トークイベントレポート Part3/4
3、大西信満(俳優)×蔦哲一朗(映画監督)×福永壮志監督

『リベリアの白い血』蔦哲一朗(映画監督)×大西信満(俳優)×福永壮志監督8.24トークイベントレポート

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STORY 西アフリカ・リベリアからニューヨークへ、自由を求めて生きる男がいた。
リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは過酷な労働の中で家族を養っていた。仲間たちと共に労働環境の改善に立ち上がるが、状況は変わらない。そんな時シスコは従兄弟のマーヴィンからニューヨークでの生活のことを聞き、より良い生活のために愛する家族の元を離れ、自由の国アメリカへ単身で渡ることを決意する。NYのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコ。移民の現実を目の当たりにしながらも、都会の喧噪や多種多様な人々が住むこの地に少しずつ順応していく。しかし、元兵士のジェイコブとの予期せぬ再会により、リベリアでの忌々しい過去がシスコに蘇ってくるのだった……。

8月24日(木) 登壇者:大西信満(俳優)、蔦哲一朗(映画監督)、福永壮志監督 【1/2】
(取材:深谷直子)

大西信満大西信満
蔦哲一朗監督蔦哲一朗監督
この日の登壇者は大西信満さんと蔦哲一朗監督という『祖谷物語 -おくのひと-』(13)の俳優&監督コンビ。インディペンデント映画に並々ならぬ思い入れを持つ大西さんと、『リベリアの白い血』には配給で携わり、日々裏方として奔走する蔦監督が、本作への熱い想いや、商業ベースに乗りにくい「よき映画」の広げ方について、福永監督とともに語り合った。

「話したいことがたくさんある映画で、今日は楽しみにして来ました」と興奮気味にトークの口火を切った大西さん。「リベリアでは手持ちで臨場感を大事にして撮っていて、本当にドキュメンタリーのように観ていたけど、ニューヨークに行くと一気にドラマになる。しっかり人物が描かれ、武道で言うところの”残心”みたいなのがすごくあって、カット尻の残し方などでもその感じが伝わる。特に洗車のところがすごいなあと。主人公に感情移入してしまいました」とまずは作品について熱い感想を伝え、「僕も海外の監督の作品に2回出ているんですけど、文化の違いや言葉の違いがあるリベリアでの撮影は難しくありませんでしたか?」と福永監督に尋ねた。
福永監督は、「トラブルは多々あって、発展途上国なのでまず電気がなく、発電機を囲みながら撮影したり、車がパンクして足がなくなったり。また、生まれ育った国ではないところで撮影することに対しては、細心の注意を払わないと偏見が入ったり、薄っぺらい作品にも簡単になってしまうと思って、注意して取り組みました。脚本は映画制作パートナーと一緒に書いたものを、現地の方と見直して『こういう言い方はしない』というフィードバックをもらって直していき、リハーサルの段階でも俳優の『自分だったらこう言う』という言い回しなどを取り入れていきました。俳優じゃない人も入れてドキュメンタリー要素を入れたのも、自分には足りないものを現実に歩み寄る制作の仕方で埋めようということで、一緒に作っていきました」と答えた。

続けて大西さんが「日本人にとってはほとんど認知されていないリベリアに飛び込み、商売っ気もないものを作って、こうして日本で観てもらうところまで持ってきたのはものすごいことだと思います。日本で作っても上映まで漕ぎつけられない作品なんてごまんとあるわけで、でもしっかりしたものを作れば誰かが見てくれて、こうして上映まで漕ぎつけられるんだなということは、日本の監督や制作者にとっても勇気がもらえることなんじゃないかなと思います」と本作の日本公開を讃えると、それを実現させた立役者である蔦監督は、「『祖谷物語』から自分の作品は自分で配給して劇場公開してきました。そのためにニコニコフィルムという会社を立ち上げたんですけど、多分自分の作品だけでは食っていけないし、他の作品も配給できたらいいなと思っていたタイミングで『リベリアの白い血』を知人から紹介してもらいました。作品を観たら『日本人の監督がこんな映画を撮れるんだ』ということに監督として半分嫉妬に近いものを感じるぐらい素晴らしい作品だったので、これは協力したいなという思いで配給することに決めました」と、配給の経緯を語った。

大西さんは、そんな蔦監督を「この人普段は柔らかいんだけど、撮影のときはものすごく頑固なんです(笑)。『祖谷物語』では1年間山の中に閉じこもって毎日ああでもないこうでもないとやっていたんだけど、本当に頑固でスタッフや役者からボロクソに言われても全然動じないという恐ろしい強さがあって。でも全然お金がないのにこだわるところはこだわって、1日1シーンという贅沢な撮影をしたり、あたたかいご飯だけは食べようって用意してくれたり、心が豊かな現場で、やってるときは文句ばかりだったけど、振り返ると得難い経験だったと思います」と褒めたてた。
蔦監督は「大西さんがそんなにべた褒めしてくれるなんて当時からしたら……」と少し当惑顔を見せながらも、「僕も新作を撮りたいんですけど、なかなか企画が通らないというか、僕の映画も商業的にお金が集まるような映画ではないのでちょっとずつ進めていっている中で、やっぱり映画で生計を立てたいなと思っているところで福永さんの映画に出会えたので、今は配給業としてがんばらせてもらっている感じです」と、ご自身の状況や想いをさらに説明した。

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1 山本政志監督×長谷井宏紀監督2 亀山亮(写真家)4 水道橋博士×松崎まこと(映画活動家)

リベリアの白い血
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス 録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン 編集:ユージン・イー,福永壮志
美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス 衣装:キャシディ・モシャー
配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム

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アップリンク渋谷にて大好評上映中、10/6(金)まで!
10月20日まで大阪シネ・ヌーヴォ、10月7日より長野上田映劇、10月21日より北海道 浦河大黒座、苫小牧シネマトーラス、10月28日より青森松竹アムゼ、フォーラム福島、山口 市民シアター 萩ツインシネマ、11月11日よりイオンシネマ徳島、11月27日より広島 横川シネマ、11月下旬より岩手中央映画劇場、12月9日より広島 シネマ尾道 ほか全国順次公開

2017/09/20/20:51 | トラックバック (0)
深谷直子 ,NEWs

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