インタビュー
『追い風』安楽涼監督画像

安楽 涼 (監督)
映画『追い風』について【3/5】

2020年8月7日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!

公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)

安楽涼監督画像3
――スタッフは長く組まれている方たちなんですか?

安楽 『1人のダンス』と、片山さんの『轟音』(19)も一緒のスタッフでした。

――撮影の深谷佑次さんは、シーンに合った生き生きした画を撮るいいカメラマンですね。照明もされていますが、夕方や夜の西葛西の街がとてもきれいだなあと。

安楽 深谷さんは、僕が東京藝術大学大学院の修了制作の『ブンデスリーガ』(16)という作品に出たときに、そのカメラマンだったんです。すごく信頼しています。僕はカット割りを結構気にするんですけど、役者だから芝居が前提じゃないとそれが決められなくて、深谷さんは「何をこのシーンで見せたいのか?」というのを現場で一緒に考えてくれるんです。今回は三脚をほとんど使っていないんですよね。ワンシーン目を撮るときのリハーサルでDEGにガーガー言っている僕を見て、三脚を外してカメラを持ち始めて「これはDEGを撮る映画だね」って。

――本当にDEGさんの感情を写し取ろうとするようなカメラで。表情と、背中越しのショットも印象的でした。

安楽 そうですね、背中は僕がどうしても撮りたかったというのがあって。顔のアップが多いんですけど、「DEGの笑い皺まで撮ってやろう」というスタイルで撮っていて、それが染み付いた先に、スクリーンに背中が映ったときもDEGの顔が想像できたらいいなって思って。なんか「ここは背中だ」と思う瞬間があるんですよね。いちばん感情が見えない部分に見えて、悲しい背中、寂しい背中とかいろいろあって、そういうものが撮れたらこの映画は上手くいくなと思いました。

――DEGさんって表情のギャップが大きいですよね。笑顔がすごく印象的なんですけど、ふとした言葉に傷ついて一旦曇るとみるみる暗い顔になって。そういう感情の微妙な動きも捉えられていました。

安楽 スタジオでのセッションのシーンとか、ラストの結婚式とか、1回しか撮れない瞬間っていっぱいあって、瞬間を切り取りたいと思ってましたね。DEGの頬がちょっと上がるだけでも心情の微妙な揺れが見えたりするので、その瞬間を絶対逃したくなくて。それって多分1回しかできないことだから、撮影までの準備にすごく時間をかけています。DEGにまともな感情を持たせない。隣に行って、別に追い込むわけじゃなくて、なんだろう? なんか僕がDEGと一緒になりたくて。「今のこの状況をどう思う?」と訊いて、「悔しい」と返してきたら「悔しいよな」って。それを延々やって一緒の気持ちになったという感覚が持てたらスタートを切るみたいな感じで。

――そうですか。一体化するような感じで。

『追い風』場面画像5 『追い風』場面画像6 安楽 一体化したかったんですよね。スタジオのシーンも本当に一体化したくて。リハーサルもまともにやらずに、2人の一発勝負で。今まで見たことがないDEGを撮らないとここは何もならないシーンになると思ってDEGを思い切り突き放したんです。「お前の笑ってる姿なんて二度と見たくねぇ」みたいな話をずっとして、すごい空気になって。

――あのシーンは、音楽が生まれる瞬間を見たという気がして。

安楽 ああ、そういう瞬間が撮りたかったんですよ。

――DEGさんのむき出しの感情に藤田さんのギターが応えて、そこでDEGさんに湧いてきた感情がそのまま歌になっていって……。一緒に高揚していきました。歌詞は即興ですよね?

安楽 DEG曰く、用意したものを歌ってもバレるから、何も考えないで行ったと。だからあいつは自分で何を歌ったかをしっかり記憶していないらしくて。身体まで痺れてきて、自分に何が起きているのか本当にわからなかったみたいで。

――「手が痺れてきた」って歌っていますよね。ものすごい衝撃にDEGさん自身がすごく驚いて、それをそのままラップしている感じで。

安楽 あれは僕も見ていて感動しましたね。スタッフに言われたんですけど、あのときDEGがアガっていくにつれて、僕は揺れてたらしくて(笑)。「安楽さんの動きがいちばん異常でした」って。

――DEGさんと一体化してたんですね(笑)。

安楽 「これが俺は撮りたかったんだ!」って。

――『1人のダンス』も、どうやって映画が生まれるのか?ということをしていたと思います。カメラ1台持って被写体に向かえば物語が生まれる、という映画の原点みたいな。

安楽 何かが生まれる瞬間には、それこそ純粋な心がいちばん出ているなと思って。「映画撮りたい」「音楽作りたい」って感情だけから始まっていて、そういう初期衝動を僕はいちばん大事にしているんです。ただ、今はもう始めたばかりではないのでそれを表現するのは難しいんですけど、これからどんな映画を撮るにしても、ずっとそれを思い続けて撮っていきたい。「なんで僕は映画を撮っているんだろう?」と考えると、憧れからなんです。作りたいものを作っているというさらけ出された映画を観たときにすごく共鳴したので、その感覚を大事にしたい。1年に1本ぐらいしか映画を撮らないから、その間いろいろあって自分もブレるので、それを戻す作業を映画を撮りながらずっとやっています。

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追い風 (2019年/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/ステレオ/71分)
出演:DEG,安楽涼,片山享,柴田彪真,関口アナン,サトウヒロキ,大友律,大須みづほ,ユミコテラダンス,
柳谷一成,アベラヒデノブ,吉田芽吹,山本奈衣瑠,髙木直子,宮寺貴也,マックス,藤田義雄,木村昴,RYUICHI
監督:安楽涼 音楽:DEG 脚本:片山享,安楽涼 プロデューサー:山田雅也 撮影:深谷祐次
録音:坂元就,鈴木一貴,新井希望 助監督:太田達成,小林望,登り山智志 ヘアメイク:福田純子
ウェディングドレス制作:磯崎亜矢子 スチール:片山享 ハルプードル 装飾:JUN 題字・広告デザイン:広部志行
宣伝協力:髭野純 企画:直井卓俊 特別協賛:黒川和則 製作・配給:すねかじりSTUDIO
公式サイト 公式twitter

2020年8月7日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!

2020/08/02/15:13 | トラックバック (0)
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