安楽 涼 (監督) 映画『追い風』について【4/5】
2020年8月7日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!
公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)
――映画のもう一つのクライマックス、ラストの結婚式では、躍動感あふれる映像が圧倒的でした。カメラが何台も入っていますよね。劇中の安楽さんと片山さん、そして深谷さんで撮っていたのだと思いますが、DEGさんはもちろん、会場の隅々まで熱気に満ちた様子が伝わってきました。
安楽 あそこはもう、一度もカット割りを決めたくない、撮れたものがすべてにしたいと思って、そうなるとやっぱり信頼できるカメラマンで、劇中の僕も含め3人ですべてを撮ろうということになりました。
――南役のユミコテラダンスさんのダンスが素晴らしかったです。ユミコさんの存在があってこそのシーンになりました。ダンスを入れるというアイデアはどこから?
安楽 実際の式でもDEGの友達のダンスが入っていたんですよ。ただ、映画ではそんなにガッツリ撮るつもりはなかったんです。結婚式のシーンは、DEGがどうなるか?というシーンだと思っていたから。南がDEGにとあることを伝える会話シーンを撮っているとき、サラッといってほしかったんですけど何度やってもそうならなかったんですね。それでユミコテラダンスさんに「なんでですか?」と訊いたら、「私なりにDEGに伝えたい気持ちがあるんだ」って言われて。「ああ、そうか」と、すごく気づかされました。僕はDEGにすごく向かってこの映画を撮っていて、「僕とDEG」みたいな話になると思っていたんですけど、「ああ、これはみんながDEGを見つめている話なんだなあ」と思って。自分の想像ってやっぱり想像でしかなかったなって、ユミコテラダンスさんに教えてもらえました。
――女優としても素晴らしい方ですね。もともとお知り合いだったんですか?
安楽 僕の映画を観に来てくれたことがあって知り合ったんですが、そんなに親しくしていたわけではないです。でも南役を考えていて「あ、ユミコテラダンスさんだ」となって、大須みづほさんに紹介してもらって出てもらいました。本当に熱心な方で、「私はこのシーンでこうやろうと思っていますけど、どうでしょうか?」みたいな電話をクランクイン前からしてくれていて。テラダンスさんも一緒に作った仲間だなあと。
――すごく考えてくれていたんですね。最後に来て彼女に光が当たるのは思いがけないことだったんですが、ここでもまたセッションによって音楽の世界が広がっていくということが起こってて。ユミコテラダンスさんでしかできなかったことだなあと。
安楽 片山さんも深谷さんも、気づいたらテラダンスさんを撮ってましたね。このシーンは3人とも何を撮るか決めないで撮ってたんです。テラダンスさんが踊り出したらみんなそっちを追っていて。
――(笑)。興奮が伝わってきました。結婚式が祝祭の空間になりましたし、映画の本当のクライマックスになりました。実際の式でもDEGさんがダンサーを入れることを考えていたんですよね。DEGさんも本当にエンターテイナーなんだなあと。
安楽 みんなを幸せにしたいDEGなんで。DEGはあの状況になって、自分のために歌っていたんですよね。追い込まれているから。いつも人に対して歌ってたDEGが、歌い出したら自分のために歌ってて、それがすごく魅力的で。あいつが目指していたこと、みんなを盛り上げたい、会場を一つにしたい、お客さんと1対1で歌いたい、それがあの瞬間はできていたんですよ。これはすごいことだなあと。いつも人のために歌ってたやつが自分のために歌ったら、最高のことができるんだなあと。僕もあれが撮れた瞬間「切り取れたんだなあ」と思いました。
――みんなもそういうDEGさんの姿が見たかったんでしょうね。すごく愛されている人なんだなあと。
安楽 そう、愛されている。なんかそれは僕も最近すごく思うことなんですけど、映画の中でも愛されキャラだった。
出演:DEG,安楽涼,片山享,柴田彪真,関口アナン,サトウヒロキ,大友律,大須みづほ,ユミコテラダンス,
柳谷一成,アベラヒデノブ,吉田芽吹,山本奈衣瑠,髙木直子,宮寺貴也,マックス,藤田義雄,木村昴,RYUICHI
監督:安楽涼 音楽:DEG 脚本:片山享,安楽涼 プロデューサー:山田雅也 撮影:深谷祐次
録音:坂元就,鈴木一貴,新井希望 助監督:太田達成,小林望,登り山智志 ヘアメイク:福田純子
ウェディングドレス制作:磯崎亜矢子 スチール:片山享 ハルプードル 装飾:JUN 題字・広告デザイン:広部志行
宣伝協力:髭野純 企画:直井卓俊 特別協賛:黒川和則 製作・配給:すねかじりSTUDIO
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