追いつめられた母と息子の関係をスリリングなタッチで描いた本作は、ノルウェーのアカデミー賞にあたるアマンダ賞で四冠を達成した注目のサイコスリラーだ。主演は『ミレニアム』シリーズや『プロメテウス』に出演して注目を集めたノオミ・ラパス。先述のアマンダ賞で最優秀女優賞(2012年)や2011年ローマ国際映画祭最優秀女優賞などを受賞している。本作『チャイルドコール 呼声』(3月30日公開)の劇場鑑賞券を5組10名様にプレゼントします。
※ヒューマントラストシネマ渋谷で利用可能な鑑賞券となります

ノオミ・ラパス(プロメテウス＆ミレニアムシリーズ)最新作
北欧サイコスリラーの傑作誕生。

ヒロインは夫の暴力から逃れ、息子と一緒に郊外に引っ越してきたアナである。夫のドメスティック・バイオレンスに苦しめられてきた彼女は、幼いひとり息子の身を守るため、音声監視モニター＜チャイルドコール＞を購入する。しかし、ある時、そこから聞こえてきた他の子供の悲鳴に衝撃を受け、強い恐怖と猜疑心に襲われる。そして、息子への深い愛ゆえに彼女の精神のバランスが崩れ始める……。
主役のアナ役は世界的ベストセラー・ミステリーの映画化として大きな話題を呼んだ『ミレニアム』シリーズで強烈なヒロインを演じたノオミ・ラパス。『ミレニアム』の時は、英国の「エンパイヤ」誌の読者投票で「映画史上のセクシーな女性キャラクター25 人」のひとりに選出され、巨匠リドリー・スコットの熱烈なラブコールを受けてＳＦ大作『プロメテウス』（2012）でハリウッドにも進出。
本作『チャイルドコール 呼声』では息子を思う母の愛を繊細に演じてこれまでとはひと違う演技を披露。2011年ローマ国際映画祭最優秀女優賞、2012年ノルウェーのアカデミー賞、アマンダ賞の最優秀女優賞など数々の演技賞を受賞している。彼女の理解者となる電器店の店員役をポール・シュレットアウネ監督の『隣人 ネクストドア』で最優秀男優賞を受賞したクリストファー・ヨーネルが演じて、味わい深い演技を披露する。

監督は長編デビュー作『ジャンク・メール』(97) で、カンヌ映画祭批評家週間最優秀賞、東京国際映画祭東京シルバー賞他、数々の映画賞を受賞し、98年Variety 誌が選ぶ将来有望な監督10 人のひとりにも選出されたポール・シュレットアウネ。謎の隣人姉妹に翻弄される男を描いた2005年のエロティックホラー『隣人 ネクストドア』の迷宮感覚あふれる映像と心理描写も話題になった。
監督は新聞に出たドメスティック・バイレンスの記事を追うことで映画の構想をふくらませ、今回のヒロイン像を作り上げたという。映画の製作に入る前に、自身の子供を授かることで、子供という存在の危うさにも興味を抱いたというが、親子の複雑な愛憎関係に自身の体験からくるリアルな感情を持ちこむことで、きめの細かな心理描写が実現。監督もその演技力と役に対する情熱を絶賛する新時代のスター、ノオミ・ラパスと組むことで、見ごたえのある作品が生まれている。

ポール・シュレットアウネ監督より

『チャイルドコール 呼声』の主人公アナは、自身を襲った境遇に怯え、耐え忍びながら、自分自身の中に世界を構築していきます。この決して特別ではない「女性」の物語である本作は、いわば現代のヒロインを描いた映画とも言えます。
本作は共感や不安、私たちの想像力の限界に挑む「心」のスリラーです。物語は、何もかも信用できなくなり、恐怖と不安に怯えるアナの精神世界へと観客を導きます。
映画は精神の旅であるべきです。しかし、多くの作品は、ある種の現実に話を固定することを余儀なくされています。それは「見えるものが真実である」という固定観念に縛られているだけに過ぎません。
映画の中でアナの現実が崩れ始めると共に、観客は彼女と一緒に絶望し、必死に現実と想像（非現実）を区別しようと試みるでしょう。しかし、その行為は同時に解決しえない問題を提議します。「その生活の『真実』とは、誰が定めたものなのか？」と。
「いかに愛が全ての感情の中で最も危険であるか。」という観念が『チャイルドコール 呼声』の基底をなしています。私は、ほとんどの人々がそうであるように自分自身の生い立ちに強く支配されており、私の映画制作と密接に関係していくメカニズムに興味を持っています。また、私自身も父親となったことで、親子の関係がいかに繊細で傷つきやすいものであるかを強く意識するようになりました。
この映画が人間の脆弱性と夢という側面を描きながら、観客に衝撃と感動を与える作品になることを願います。