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めぐりあう日

あなたの誕生に何一つ偶然はない。

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2016年7月30日(土)より、岩波ホールほかにて全国順次ロードショー

INTRODUCTION

『冬の小鳥』から6年、
あの鮮烈なデビュー作を超えた、もう一つの人生
母と娘の運命的な再会を描く、待望の長編第二作

冬の小鳥』で、鮮烈な長編監督デビューを飾ったウニー・ルコント監督が、6年の沈黙を破って放つ、待望の長編2作目が『めぐりあう日』である。
孤児となった9歳の少女が、韓国からフランスへ養子として旅立つまでを、繊細なタッチで描いた前作は、監督の実体験から生まれている。本作でも再び自身の人生を重ねつつ、フランスを舞台に、新たな変奏曲を生み出した。

フランスの港街ダンケルク。産みの親を知らずに育った理学療法士のエリザは、自らの出生を知るために、息子を連れてパリから引っ越して来る。だが、実母が名を残さずに出産していたことから、なかなか手がかりが掴めない。そんなある日、息子が通う学校で働く中年女性アネットが、患者としてエリザの療法室にやって来る。 2人は治療を繰り返すうちに、不思議な親密感を覚えるようになるが……。

2010年、ウニー・ルコント監督は、 自身の子供時代をもとに書いた『冬の小鳥』の脚本が、巨匠イ・チャンドンの心を射止め、製作も担当してもらうという幸運な監督デビューを果たした。それから6年、実の親に捨てられた体験から、待望の2作目を完成させた。本作では、夫も息子もいる自立した女性を主人公に据え、 30年の歳月を経て見えない糸に導かれるようにめぐり逢う母と娘を描く。待ち望んでいた母との出会い、突然知る人生の真実。映画は彼女たちの揺れ動く思いにそっとよりそい、見つめ、痛みと葛藤に向き合う。そして、エリザとアネットがそれぞれに毅然と歩み始める新しい人生。その強い意志にこそ、監督自身の姿が重なって見える。

『めぐりあう日』 『めぐりあう日』場面1

見えない糸を手繰り寄せるように近づく母と娘。
命の誕生を祝福する愛の詩が深い余韻を残す

本作の見どころの一つは、互いに母娘と認識していない2人が、理学療法という肌が触れ合う行為を通し、いつしか心を通わせ、互いを認知し、それが確信へと変わっていく過程を、繊細に描き出していく映画的表現である。母と知らずに初めてその素肌に触れる瞬間、治療で母がとる胎児のポーズ、ふと感じる母の呼吸の温もり……。密やかな肌の密着によって呼び覚まされていく感覚。それは、観る者の感性をも呼び覚まし、感情を揺さぶられずにはいられない。
また、2人が距離を縮めていく過程で、エリザの息子ノエの存在も忘れてはならない。アネットは、学校で見かけたノエの容貌に、なぜか親近感を抱く。そこにはエリザの出生の秘密があった。
ノエに向けるアネットの優しいまなざし。アネットを見つめるエリザの不安と期待に満ちたまなざし。ノエが幼心に母を見守るピュアなまなざし。交差する彼らのまなざしが、それぞれのせつない想いを言葉以上に雄弁に語りかけ、観る者の胸を締めつける。
原題である「あなたが狂おしいほどに愛されることを、私は願っている」は、アンドレ・ブルトンが著書「狂気の愛」の最終章で、未来の娘に宛てて書いた手紙の最後の一行。娘の誕生を心から喜び、その幸せを願わずにはいられない親の心情が詩的に綴られている。監督自身が、自分に向けられた言葉として大切にしてきたものだ。その一節が詩として朗読されるラストは、すべての命の誕生への祝福と不変の愛を謳い上げ、深い余韻を残す。

『めぐりあう日』場面2 『めぐりあう日』場面3

絶妙なキャスティングと音楽によって完成された、監督渾身の作。

エリザを演じるのは、『灼熱の肌』や『君と歩く世界』など躍進目覚ましい実力派女優セリーヌ・サレット。出自の不確かさによるアイデンティティの揺らぎや焦燥、それによって生じた夫との距離感、息子への愛情と苛立ちなど、複雑に屈折したエリザの心情を機微豊かに体現しきっている。アネット役には、『マリー・アントワネットに別れをつげて』『さすらいの女神たち』ほかの名バイプレーヤー、アンヌ・ブノワ。さらに、エリザを深く愛し理解しようと努める夫に扮したルイ=ド・ドゥ・ランクザンなど。『冬の小鳥』でキム・セロンを見出したルコント監督のキャスティングの妙と、それぞれの個性が生きたアンサンブル演技の素晴らしさも、本作の映画的至福の1つである。

撮影を担当するのは、グザヴィエ・ボーヴォワ監督の『神々と男たち』でセザール賞撮影賞に輝いた、フランス屈指の女性撮影監督カロリーヌ・シャンプティエだ。北の港街ダンケルクの街並みや、ノエが砂遊びする海岸、橋や運河など、エリザやアネットの心象風景ともリンクする街の景観を、透明感のある卓越した映像で捉え、抒情に満ちた美しい余韻を残す。
「馴染みのある歌をハミングするような音楽」というルコント監督の要望に応えたのは、現在のパリのオリエンタル・エレクトリック・ジャズ・シーンを代表するトランペット奏者イブラヒム・マーロフである。世界で唯一、微分音を出すことのできる<4分音トランペット>を使って彼が奏でる、ささやき声にも似たトランペットの旋律が、映画にナチュラルでメランコリックな情感を与え、さらなる感動を喚起する。

CREDIT
監督:ウニー・ルコント
出演:セリーヌ・サレット,アンヌ・ブノワ,ルイ=ド・ドゥ・ランクザン,
フランソワーズ・ルブラン,エリエス・アギス
脚本:ウニー・ルコント,アニエス・ドゥ・サシー 音楽:イブラヒム・マーロフ
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ 製作:ロラン・ラヴォレ
2015年/フランス/104分/カラー/ヴィスタ/フランス語
原題:Je vous souhaite d'etre follement aimee(英題:Looking for her)
提供:クレストインターナショナル,朝日新聞社 配給:クレストインターナショナル
©2015 - GLORIA FILMS - PICTANOVO

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2016年7月30日(土)より、岩波ホールほかにて全国順次ロードショー

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  • 監督:ウニー・ルコント
  • 出演:キム・セロン, パク・ドヨン, コ・アソン
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2016/07/22/23:55 | トラックバック (0)
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