新作情報

2011年度 キネマ旬報 文化映画ベスト・テン 第10位

食卓の肖像

http://www.shokutaku.ne.jp/

2013年4月6日(土)より新宿K's cinema(ケイズシネマ)
にてモーニングショー上映!

INTRODUCTION

戦後最大、未曾有の食品公害事件「カネミ油症事件」のドキュメンタリー!

『食卓の肖像』「美容と健康にいい」。そういう触れ込みの食品は、身の回りにたくさんある。もし、それらの食品に毒物が入っていたとしたら…。今から40年以上前、現実にそういうことが起こった。戦後最大の食品公害事件と言われている「カネミ油症事件」である。
1968年、福岡、長崎をはじめ、西日本一帯で、食用油、カネミライスオイルを食した人たちが次々に健康被害を訴えた。症状は、大量の吹き出物、目やに、脱毛など、多様なもので、苦しむ人たちの姿が報道され、世間を震撼させた。被害者は14000人以上と言われている。
『食卓の肖像』は、この「カネミ油症事件」の被害者の人達を10年間かけて取材したドキュメンタリー映画である。

忘れられていた事件の被害の全貌を10年間の取材で明らかに

『食卓の肖像』場面1自治体や企業のPRビデオの仕事をしていた金子サトシ監督は、2000年夏、この食品公害事件の被害がいまも続いていることを知り衝撃を受け、被害者たちに聞き取りを始めた。
事件発生から長い月日がたち、社会の人々の記憶からこの食品公害事件のことはすっかり忘れられていた。しかし、被害者たちは、様々な全身症状でずっと苦しみ続けていた。そして、子どもや孫といった次世代にも健康被害があった。カネミライスオイルの中にはPCBとダイオキシン類が複合汚染で混入していて、それが未知の被害を引き起こしていたのだ。
この映画は、被害発生当時のことや症状の変遷について丹念に聞き取りし、甚大な被害の実態、全貌を明らかにしている。

未曾有の事態の被害者たちはいかにして生き抜いて来たのか

『食卓の肖像』場面2さらに、カメラは食卓や畑など、被害者たちの日常生活の場にまで入りこみ、いまを生きる人々の姿を穏やかな視線で見つめる。また、油症被害そのものだけでなく、仕事、結婚、出産など、被害者たちの「その後の人生」のことも盛り込んでいる。
特に、食品公害の被害者であるからこそ、彼らは家族の「食」に気をつかい、自然食や有機栽培などを求めて生きている。そうした姿から、誰にとっても身近な「食の安全」の問題についても提起している。
未曾有の食品公害の被害者たちはいかにして生き抜いて来たのか。食品公害の被害者だからこそ、家族の「食」をいかにして大切に守ってきたのか。
被害を告発するだけでなく、被害者たちの生きざまを浮かび上がらせた本作は、キネマ旬報2011年度ベスト・テン文化映画第10位に選出されるなど、各方面から高い評価を受けている。

『食卓の肖像』カネミライスオイルカネミ油症事件とは
1968年に、福岡、長崎、広島、山口、佐賀など西日本一帯で発覚した戦後最大の食品公害事件。福岡県北九州市にあるカネミ倉庫株式会社が販売していた食用油、カネミライスオイルを食した人々が健康被害を訴え、翌年までに約1万4千人が保健所などに届け出た。
顔面などへの色素沈着や塩素挫瘡(クロルアクネ)など肌の異常、頭痛、肝機能障害などを引き起こした。また、被害者の母親から皮膚に色素が沈着した状態の赤ちゃんが産まれ、「黒い赤ちゃん」としてニュースで騒がれた。

COMMENTARY
  • 今も続く戦後最大の食品公害「カネミ油症事件」の実態、命を脅かされた被害者達の食への拘りや生き様にスポットを当てる、渾身の記録映画。被害認定、賠償、差別、偏見、分断…。現況に通じる、近代日本の宿痾を見るようだ。力強く生きる被害者達の希望に満ち溢れた笑顔が印象的。これを書いている今も、福島の小児甲状腺がんのニュースが入る…。今こそ多くの人々に観られるべき映画!
    中川敬さん(ミュージシャン/ソウル・フラワー・ユニオン)
  • 生命を脅かすほどの危険な要素が実は食用油という市民生活のかなり身近なところに潜んでいる。その日常生活の危険性を当事者たちの証言から明らかにしたことがこの映画の価値であると思う。 渡部実さん(映画評論家)
  • 1事件の「被害者」という以上に「その後の人生を生きる人間」としての側面に興味をもっておられるのだなあ、と独自の視点に感心しました。「告発モノ」でない、静かな映画ですね。
    藤岡朝子さん(山形国際ドキュメンタリー映画祭コーディネーター)
  • 夫の矢野忠義さんが亡き妻について次のように語るのである。カネミ油症問題の奥の深さに誰よりも先に気づいたのは妻だった。矢野トヨコは私の先輩であり、先生であった、と。ここまで見て私たちは気づくことになる。カネミ油症被害者の人生とは、何ものにも惑わされることなく、物事をまっすぐに見つめることを求める人生であったのだ。 井川耕一郎さん(シナリオライター)
  • 奇形児や、正視できないほどの重症患者、発狂した患者などを写したりすれば、事件の非道さを、よりドラスティックに伝達できたかもしれない。 だが私は、金子が希望をカメラにおさめる、希望と言っては甘すぎるだろうが、少なくとも諦念と怒りをノドの奥に呑み込みながら、たとえ強がりだけでも希望を口にしてみせる被害者や、新たな生き方を実践している被害者の動きの近くでこそカメラが回されるという選択に、あえて拍手を送ろう。 荻野洋一さん(映像演出)
  • たいへんすばらしい作品でした。矢野トヨコさんはじめ市民科学者の姿をとらえていると思いました。これからの市民科学者の本流は当事者性が鍵になってくることを示唆しています。医学は医学者のものではなく患者中心になっていくでしょう。患者のからだは患者自身が一番よく知っているからです。患者の声を聞かない学者も官僚も政治家もいずれ立ち枯れていくでしょう。 瀬川嘉之さん(市民科学者 高木学校)
C R E D I T

製作・監督:金子サトシ
撮影:内野敏郎/金子サトシ/福本淳 整音:伊藤裕規 スーパーバイザー:土屋豊/Our Planet-TV
協力:カネミ油症被害者支援センター/原田正純ほか
配給:『食卓の肖像』上映委員会/オムロ
http://www.shokutaku.ne.jp/

2013年4月6日(土)より新宿K's cinema(ケイズシネマ)
にてモーニングショー上映!

コーラベイビー―あるカネミ油症患者の半生 [単行本]
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カネミ油症―終わらない食品被害 [単行本]
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2013/03/24/11:50 | トラックバック (0)
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