
西湘映画祭アニメーション部門 グランプリ受賞
ただいまを返す旅

2025年8月1日(金)よりシモキタ -エキマエ-シネマ(K2)にて公開
つらい記憶も含めた⾃分を肯定し、
あらゆる感情に優しく光を当てようとする試み
【A⾯】
幼馴染と夜空を眺めるマナ。
無数の流れ星が、地平の向こうへ溶けていく。
昔もこんな⽇があった気がする⋯⋯。
その時、マナは「声」を聞く。
知らないようでいて懐かしい、不思議な声。
声のもとを辿り、マナは旅に出る。




【B⾯】
帰省する度に、⺟と喧嘩になるんだ。
「お前の顔などもう⾒たくない。⼆度と帰ってくるな」
歩いて⋯⋯
歩いて⋯⋯⋯⋯
気が付いたら、ここにいた。
嫌な記憶ばかりが積み重なる。
消してしまいたいくらい。



村松大翔思監督が、企画・脚本・作画・音楽のほとんどを 1 人で手がけた自主制作アニメ映画『ただいまを返す旅』( 45 分)が、8 月 1 日(金)よりシモキタ -エキマエ-シネマ( K2 )にて劇場公開される。
物語・映像・音楽の全てに監督の視点が貫かれており、統一感のある世界観が魅力で、西湘映画祭ではアニメーション部門グランプリを受賞した。 2024 年に実施されたクラウドファンディングでは、目標金額の 400%以上を達成し、多くの支援と関心を集めた。
声の出演には、人気 VTuber・朝ノ瑠璃など、現代の“声”を生きる存在たちを起用。デジタル時代の感性が、静かに物語に息を吹き込んでいる。
制作にあたって――
本映画の制作にあたり念頭にあったのは、本来の⾃分を少しでも思い出せるような作品でありたいという願いです。現代社会では、幸せには鈍感に、不幸には敏感になる傾向が強まっているように感じています。この映画が、不幸や過去の傷を否定せずに受け⼊れ、今この瞬間にある「幸せ」に気づくきっかけになれたら幸いです。
便利で快適な暮らしが当たり前となり、⼀定以上の幸福は保証されるようになってきました。しかしその⼀⽅で、こうした「当たり前の幸せ」に対する感受性は失われつつあります。⼈は無意識のうちに他者と⾃分を⽐べ、「幸せでなければならない」という強迫観念に縛られつつあります。そして、それを達成できない⾃分に価値を⾒出せなくなることもあります。
それにより、「不幸」への不安も⼤きくなっています。決して致命的でない⼩さな不快感さえも、⼤きな問題として扱われがちです。しかし、悲しみや切なさを否定することは、⾃分の⼀部を否定することにほかならず、その結果、感情体験の乏しい⼈⽣になりかねません。
怒りや悲しみ、喜びや笑い̶̶そうしたすべての感情を受け⼊れてこそ、⼈は本当の⾃分として⽣きられるのだと思います。
⼈間の本質的な価値とは、「⽣まれ、⽣きて、死ぬ」こと、それだけです。
たとえ傷ついても、失敗しても、その価値は決して揺らぐことはありません。
この映画は、つらい記憶も含めた⾃分を肯定し、あらゆる感情に優しく光を当てようとする、ある種の“わがままな”作品かもしれません。
それでも、誰かの⼼の奥深くに触れられるものであれば、本望です。
監督 村松 ⼤翔思

受賞歴
・Stockholm City Film Festival(Best Animation)・Metropolis Film Festival(Best Animation)
・Druk International Film Festival(Best Animation)
・Tagore International Film Festival(Best Animation)
・Hong Kong International Film Festival(Best Animation)
・Swedish Academy Of Motion Picture Awards(Best Animation)
・Mumbai Entertainment International Film Festival(Best Animation,Derector)
・⻄湘映画祭(アニメ部⾨グランプリ)・Voronezh International Animation Film Festival
3DCG:鈴⽊俊太郎、村松⼤翔思 録⾳:髙橋良司 整⾳:がんくま
タイトルロゴデザイン:つみの マナの⼿紙代筆:Nanoha。
出演:マナ:朝ノ瑠璃 カイ:⽥中⾳緒 リリ:めぐ チバ タカシ(男性):ベルベる☆
ケイト(⽗):望⽉英 ユイ(⺟):七原帝⼦ チバ フミエ(おばあさん):和久りか
タクマ(役所の⼈):草彅健太
44 分 51 秒|2.35:1|映倫G区分