インタビュー
中村達也/『野火』

中村 達也 (俳優・ドラマー)
映画『野火』について【1/8】

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2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開

2000年に公開された塚本晋也監督の『BULLET BALLET/バレット・バレエ』で、ブランキー・ジェット・シティの自由奔放なドラマーの顔から、ひんやりしたオーラを放つアウトロー・ヒーローへと変貌してファンを驚かせた中村達也。その後も縦横無尽な音楽活動を行う傍ら、スクリーンに新鮮な息を吹き込むストリート仕込みの存在感で俳優としても活躍し、このところ演技面でも成長を感じさせる中村が、『野火』で久々に塚本監督作品に出演した。中村の中に潜む刹那的な色気を見初めた塚本監督が今回彼に任せたのは、やはり死をも恐れぬ大胆不敵な「伍長」役。戦場に散った兵士たちの無数の無念を一身に背負うような凄みのある演技が光っていた。そんな中村達也さんにインタビューに応じてもらうことができた。映画では壮絶な役を演じることが多いが、取材場所に先に到着して食事をしながら迎えてくれたのは、抱いていたイメージどおりの「タツヤ」さん。フランクに映画やドラムについて語り、奔放なだけではない純粋無垢な人間性と、あくなき探求心を持つ天性のアーティスト気質を端々に覗かせた。妥協のない表現者たちが作り上げた映画『野火』で、ぜひ俳優・中村達也の姿も確認してほしい。(取材:深谷直子)
中村達也 1965年生まれ、富山県出身。稀代のドラマー。ザ・スターリン、原爆オナニーズなど数々のバンドを経て、1990年に浅井健一、照井利幸とともにBLANKEY JET CITYでメジャー・デビュー。2000年の同バンド解散後も多彩な活動を展開し、現在の活動は斉藤和義との無頼派ユニットMANNISH BOYSや、チバユウスケ、イマイアキノブと結成したバンドThe Golden Wet Fingers、KenKenとのバトル・ユニットSPEEDER-X、仲井戸麗市、蔦谷好位置らとのthe dayの他、FRICTION、TWIN TAIL、そして自身のプロジェクトLOSALIOSなど。多くのバンドを担う傍らで、国内外の音楽家とのセッションや、画家の黒田征太郎とのライブ・ペインティング、舞踏家の田中泯との創作ライブも精力的に行い、さらには布袋寅泰やSuperflyのバック・バンドも務める。俳優としても活躍しており『BULLET BALLET/バレット・バレエ』(98年/塚本晋也監督)、『蘇りの血』(09年/豊田利晃監督)、『莫逆家族 バクギャクファミーリア』(12年/熊切和嘉監督)、『るろうに剣心 京都大火編』(14年/大友啓史監督)等に出演。2010年にはNHK大河ドラマ「龍馬伝」にも登場。持ち前の野生を生かし、様々なフィールドで活躍している。公式サイト
――達也さんは俳優としても活躍されていますが、デビュー作が塚本晋也監督の『BULLET BALLET/バレット・バレエ』(98)で、今回『野火』で久々に塚本監督の作品への出演となりましたね。私はお二人のファンなのでとても嬉しかったのですが、達也さんはお話をいただいたときどんなお気持ちでしたか?

中村達也中村 俺はめちゃめちゃ嬉しかったよ。っていうのは、何かのツアーで大阪に行ったときにアメリカ村を散歩していたら、街の中にあるでっかいスクリーン……、オーロラビジョンっていうんだっけ? それに塚本さんがインタビューを受けているのが映って。どうやらアメリカ村の映画館で“塚本さん祭り”をやっていて、そこでそのとき『鉄男 THE BULLET MAN』(09)を観たのかな? で、そのあとに『バレット・バレエ』もやってたの! それを観て「ああ、俺はもう呼ばれないのかな」って思っていたから。俺は『バレット・バレエ』でこうすりゃよかったな、とか、ああいう言い方すりゃよかったな、とか今でも思うから。

――あんまりうまく演技できなかったからもう呼ばれないんじゃないかと? それはないと思いますけど、達也さんとしては塚本監督の映画にまた出たいという気持ちがあったんですね。

中村 そう。その後Coccoが主人公の『KOTOKO』(11)も観て。『KOTOKO』は新宿のピットインでライブがあるときに、新宿の映画館でやっていたから、意気揚々と真ん中に……、俺はいつもいちばん前の席に座るんだけど、そのときはたまたま少し離れたど真ん中の席に座って観て、そしたらいきなりザクザク!と自傷シーンがあって。俺自分にも経験があったから音とムードがすごい苦手で気持ち悪くなって、出ようと思ったんだけどなんといつの間にか満員で。

――あ、真ん中に座っちゃったから……。

中村 出ようにも出れんわ、って(苦笑)。「この映画に救いは訪れるんだろうか?」と思いながら観て、「これで終わり?」っていうところで終わって。「うわ~~~」とか思いながらライブをやったんだけどそのままズーンと来ちゃってて。ライブの前には映画は観ないほうがいい。絶対影響されるから。特に塚本映画にご用心(笑)。

――(笑)。『野火』を観るときはなおさらですね。

中村 そういう体験を踏まえて、そしたらフェイスブックに……、俺はフェイスブックをやったりやめたりしていたんだけど、そこに塚本さんから連絡があって、「会いませんか?」っていうことになって。

――おお、それが『野火』のお話だったんですか。

中村 うん。「お~~、すごいわ!」って思って。いつごろだったかなあ?俺が話をもらったの。結構ギリギリの時期だったと思うよ。そもそもこの映画はいつから始まったんだっけ?

宣伝担当 具体的な撮影準備は2013年5月からでした。

『野火』場面中村 ああ、じゃあもうちょっと前かもしれないけど。それで「高円寺で会いましょう」ということになって、『バレット・バレエ』の撮影現場になったと俺が完全に勘違いしていた高円寺のJRの高架下の自転車置き場で会って。「ここでしたっけ?」って訊いたら違ってて、「そうだよな、ここじゃ狭いよな」って(苦笑)。会うまで10何年間ず~~っとそこだと思ってたんだけど……。

――(笑)。そんな残念なこともありつつ、そこでお話をもらって。

中村 「やります」って。

――即答ですよね。

中村 うん、だって嬉しいもん。本当に「もう来んのかな」と思っていたから。

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野火 (日本 / 2014 / 87分)
原作:大岡昇平「野火」
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也 監督・脚本・編集・撮影・製作:塚本晋也
配給:海獣シアター © Shinya Tsukamoto/海獣シアター
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2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開

2015/06/28/17:21 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー

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