中村 達也 (俳優・ドラマー) 映画『野火』について【5/8】
2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開
公式サイト 公式Facebook (取材:深谷直子)
――え、寒かったんですか?
宣伝担当 寒かったです。味方がみんな死んでいくというシーンのときは、過酷も過酷な状況でした。
中村 あれ撮ったの何月だっけ? 11月?
宣伝担当 12月です。
――そんなに遅い時期だったんですか。これも深谷で撮ったんですか?
中村 いや、荒川。
宣伝担当 浦和などで撮影しました。真冬にみんなボロボロの穴だらけの服を着て、ナイターで3日間かかりました。
中村 めちゃめちゃ寒かったよ。みんなボランティアだから寒いときはどうするっていう覚悟もなくて。俺ものすごく服を持っていったから、寒そうな女の人にその服を貸してあげた。
――わあさすが、優しい(笑)。でもすごく大変な思いをされていたんですね。3日間もそんなことを。
中村 そこで顔がこわばったのがよかったかもね(苦笑)。顔の演技というよりも、全員必死。本当に決死隊だよ。寒いんだもん、暑いんじゃなくて……。
――あれはそういう表情だったんですか。本当にみんなで力を合わせて作り上げた感じですね。あと沖縄でもロケをされたそうですが、それは何日ぐらいあったんですか?
中村 4日か5日かな。途中撮影がない日が1日あって。俺はね。
――沖縄にはライブなどでよく行かれていると思うんですけど。
中村 そういうところとはまったく違った場所で本部町っていうところで、港町というか漁師町っていう感じかな。よく行く那覇とかとは違ってすごくのんびりしていて。(沖縄在住の)三宅くんに「今沖縄なんだよ、本部町」って電話したらめちゃめちゃ近くだって言われたけど、彼は入れ違いで選挙のことか何かで東京に行くとかで会えなかった。あとゲストハウスっていうのかな? 旅人たちが泊まっているところに泊まりながら働いている女の人がいたんだけど、俺がその前の年ぐらいに塩釜でライブをやったときにそこのスタッフやっていたって。
――それはすごい偶然ですね。そんなかけ離れたところで。
中村 「おお、すごいな」と思って。なんかそういうことがあるなあと。……全然映画と関係ないです、すみません(笑)。でも映画が決まったからこそ自分で気付けることとか、出会いとか再会とか繋がりとか、またひとつ人間が深くなるようなことはあるかな。
――そうですね。達也さんは演じているときはフラットな気持ちだったということですが、やっぱり撮影でのいろいろなことを通して見えてきたことがあるんだろうなと。そういう映画から得たものを、演奏に持ち帰るようなこともあるんですか?
中村 意識的に「この風景を音楽にしたい」とかはないね。その場にドラムセットがあったら即興演奏でもして、そこにあるものが憑依して音になるんだろうけど、これを持って帰ってステージの上で演奏しようとか、そういうのは全然ないね。
原作:大岡昇平「野火」
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也 監督・脚本・編集・撮影・製作:塚本晋也
配給:海獣シアター © Shinya Tsukamoto/海獣シアター
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