井口 昇監督/『スレイブメン』

井口 昇 (監督) 映画『スレイブメン』について【6/6】

2017年3月10日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国ロードショー!

公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)

『スレイブメン』オフショットオフショット
――あと、この映画には兄弟の設定が3組ぐらい出てきますけど、今までの作品でも家族愛を描くことは多かったですよね。

井口 僕も途中で「誰と誰が兄弟だっけな?」と自分で分からなくなってきたんですけど(笑)。家族の話も確かに多いんですよね。自分で書いたものだけじゃなく、原作ものの『電人ザボーガー』(11)も兄弟の話で、なぜかそうなっちゃうんですよね。うちはすごく温厚な家庭だったので家族に対するトラウマのようなものはないんですけど、まわりにはやっぱりいろんな家庭があって、家出をしたり、疎遠になったり、体罰を受けたりというのも聞いていて。そういう家庭に生まれたことによって人の性格が変わっていくんだろうなということを考えるんですよね。それはこの作品の裏テーマでもあるんですけど、環境が変わることによって性格も変わるんじゃないかなと。元々は同じ人間でも、親や兄弟が違って別の育ち方をしたら全然違う性格になるだろうなって思います。人の運命に対しての興味がすごくあるんですよね。飛行機事故で、本来は乗るはずだったけれどたまたま乗らなかった人が助かったり、逆にたまたま乗れた人が死んでしまったり。皮肉で不思議だなって思いますね。僕がこの仕事をしているのも、ある飲み会に行って、テレビの仕事をやることになったのがきっかけだから、あの飲み会に行かなかったら今どうしているのかな?って思いますし、妻とはあるオフ会で知り合ったので、それが開かれていなかったら会っていないわけですから、するとどうなっていたのかな?って思いますし。

――「タラレバ」ですよね。この映画もそういう「もしも」で運命が変わっていくのを描いています。

井口 そうですね。ヒーローものでも、闘う理由が世界の平和のためだけではなくて、自分の運命を変えるための闘いであるということになると新しい意味が生まれるんじゃないのかなと思いました。苦肉の策ではあったんですけど。

――あと、映像にやはり井口監督らしい力強さがありますね。風景がすごくきれいでした。

井口 いろんな偶然が重なってなんですよね。クライマックスのスレイブメンと彩乃が抱き合っている夕焼けのシーンは、本当はもう少し昼間に撮る予定だったんですけど、その日たまたまロケ場所の近くで事件があって時間が押して。あと3分で完全に陽が落ちるというときに、「もうアクションシーンはあとでいいから、先にこっち!」とあわてて撮ったら、ちょうどいい空の色で。マジックアワーっていうんですよね。屋上のシーンもたまたまその日しか撮影できないっていう日がちょうど桜の満開のピークで。なんかこれもさっきの運命論と一緒なんですけど、これは撮影にとって悪いことかな……と思うことが、結果的にはプラスのほうに作用していたりするんですよね。

――それは監督がいい方だからですね。ポジティヴ・シンキングに結果もちゃんとついてきて。

井口 ありがとうございます。僕は最近ジンクスを信じるようになって、やっぱり外の撮影が多いので、撮影中コンビニで買い物をするときに募金をするんですよ。そうすると意外と晴れるっていう。今回も全然雨にたたられなかったんですよ。唯一雨が降ったのは冒頭のチンピラの兄弟が駐車場から去っていくっていうシーンで、そこは逆に雨降らしみたいに見えるからカッコイイじゃんって(笑)。

――そうですか(笑)。コンビニで募金、私も見習いたいと思います。では最後にこの作品をどんな方に観ていただきたいですか?

井口 ヒーローものでも女性に楽しんでもらえる作品にしたいなっていうのがあって。元々中村さんのファンの方が観て楽しめる作品にしたいなと思って作りましたから。恋愛映画の要素もありますし、女の人に先入観なしでまず観てほしいですね。で、1回観たら多分リピートしたくなると思うんですよ。伏線も結構散りばめてあって、「あのときの台詞が実はラストの設定に関わっているんだ」みたいなことがいっぱいあるので、できたらリピートしてもらいたいなと思います。あとは現実に嫌なことがある人、まさに「タラレバ」の人に観てほしいですね。

( 2017年2月24日 渋谷で 取材:深谷直子 )

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スレイブメン
出演:中村優一,奥田佳弥子,味岡ちえり,岩永洋昭,小田井涼平,部亮平,津田寛治
監督・脚本:井口 昇
主題歌:BRATS「脳内消去ゲーム」 エグゼクティブプロデューサー:菅野征太郎、余田光隆
プロデューサー:青木亨、坂岡功士、麻生英輔、福井真奈 撮影:ふじもと光明 録音:小林圭一
美術:池田正直 特殊造型:奥山友太 スレイブメン衣裳:梅森充 アクション監督:カラサワイサオ
衣裳:ヨシダミホ ヘアメイク:リョータ VFXスーパーバイサー:鹿角剛
モーショングラフィックデザイナー:野島達司 VFX:アーティスト:大畑智也 整音:湯脇房雄
音響効果:井上奈津子 編集:デモ田中 キャスティング:北田由利子 助監督:伊藤良一、冨田卓
制作担当:榎本靖 音楽:福田裕彦 企画:G-STAR.PRO
製作:2016「スレイブメン」製作委員会(GUILD、TBSサービス)
制作:ワンダーヘッド 配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS ©2016「スレイブメン」製作委員会
公式サイト 公式twitter

2017年3月10日(金)シネマート新宿、
シネマート心斎橋ほか全国ロードショー!

2017/03/12/19:56 | トラックバック (0)
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