『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』

ジャン・デュジャルダン (俳優) 公式インタビュー
映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』について【2/2】

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2016年9月3日(土)より、Bunkamuraル・シネマほかにてロードショー!


『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』メイキング2
Q: インドの衝撃

ジャン・デュジャルダン(以下JD) インドみたいな国は他にない。新たな発見があり、自分を反省し、ショックを受け、心を動かされ、美しいものや見たくないものを目にする国だ。よく何もない国だと言うが、本当に何もない国だ。そんなことがあり得るのかと思えることが山ほどある。だがインド人たちは働き、生き伸びているんだ。いわば永遠のカオス状態だ。旅行という概念が覆ってしまう。10日も過ごすと、だんだんそのことに慣れてくる。とりわけ素晴らしく有能なインド人スタッフと仕事をしてみるとね。僕らは人を見ることを学ぶ。それは植民者としてこの国に訪れたヨーロッパ人としてではなく、偏見のない人間としてだ。僕らが彼らの目を見ると、彼らは驚くが受け入れる。そしてそのことが楽しくなる。この国は様々な景色や色合いを見せてくれる。僕らは満足しているよ。敵意のようなものは感じないね。あらゆるものが月並みな枠を飛び越えているんだ。
キャラクターと同じように僕も仕事のために甘い生活を置いてインドを訪れたが、こんなに影響を受けるとは想像もしていなかった。

Q: 撮影中のエピソード

JD 僕らは順番通りにこの映画を撮影していたけど、あれは信じられないくらい贅沢なやり方だよ。映画というのは、順番に撮影されることなんてないからね。僕らは1日演じたことの上積みができた。より真実味のあるものを翌日、やることもできた。毎晩だって映画全体を再現することもできた。書き上がっている脚本がある上で、クロードとエルザと話し合いながら始め、再構成をしたり書き換えたりした。エルザとの絡みは、お互い何度も驚かされることがあった。たとえば僕らが列車で旅をしていた時、彼女は僕が物真似をすることが分かっていた。彼女は警戒していたけど、僕は詳しいことは言わないでおいたんだ。そんなことをすれば彼女はリアクションを用意しかねないからね。撮影は3人のゲームだったんだ。クロードは僕の隣に立ち、僕が彼女に言うべき台詞を耳打ちしたが、その前に彼女には別のことを言いたかった。あれはすごくまごついたよ。僕ら(の仲)は物語の中で同じように進行していたんだ。
また別のシーンで、列車が止まった時、僕は用意されていた脚本よりも、もっと話を進めようと考えた。キャラクターが一連の流れに陥ってしまうと、大惨事になるか、この時のようみたいにハマるかのどっちかだ。彼らは問題があるにも関わらず付き合っていて、お互いを必要としている。アントワーヌは度が過ぎることがあり、なぜ自分がそうなってしまっているかを思い出せない。彼は人生で冒険しすぎなんだ。すでにアンナは恋をしているが、相手のアントワーヌにとってはラブストーリーとは呼べず、“ずれた” ラブストーリーだ。彼には彼女と一緒にいる理由はない。まだ彼女を魅力的だとは思っていないんだ。一緒にいるのは彼女が外交的であり、自分を楽しませてくれる人間であり、生きる喜びを感じられるからだ。だからといってラブストーリーじゃない。そこから映画が面白くなるんだ。

『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』メイキング3
Q: 今後の展望について

JD 絶えず自分が何をしているかを見ている部分が僕にはある。だから監督にはなりたいと思わない。というのも、セットで監督や共演者たちとの共同作業が大好きだからだ。ゲームをしているんだよ。役の台詞がキャラクターにとって嘘っぽいとか、キャラクターを考えて、あの台詞は彼にとって意味のあるものだとか、そういうことが常に頭にあるんだ。
いつもクロードは「自分が演じているのを忘れる瞬間を見つけろ」と言うけど、そうしたいね。その瞬間を追いかけ続けて、捕まえたいと思っている。でも、そんなことが起こるのは極めてまれだ。我々俳優は、“ありのまま”を追い求め続けているんだ。共演者と真面目に、うまく演じられることはいいに決まっている。僕は1人の俳優として、演じることを楽しんで、うまくなろうとして前進している。別に自分を卑下しているんじゃない。己を知っているだけだよ。自分自身を驚かせたいんだ。まだ遅くはないと思うし、可能性はあるはずだ。今の世の中、僕らは自分を抑えすぎなんだよ。時代がそうなんだね。だからこの映画を作れて幸せなんだ。僕にとっていい経験だったし、これから出る映画にとってもね。この映画で思い切って、新しいことをやろうとしたんだ。それは自己の開放だった。クロードは俳優たちを自由にさせると言われるけど、それは本当だよ。夜、自分の部屋に戻ると、自分の演じたことと彼がやらせてくれたことに気がつく。クロードのように、俳優たちにそんなことを感じさせる監督は珍しいよ。どの時代の監督も俳優たちや映画を力で支配してきた。まず最初に彼らは、映画を作る時、自分のストーリーを語る。ストーリーが語られる前にね。でもストーリーというのは、感情なんだ。その感情を表現するのが俳優だ。だから俳優は落ち着いて、自由に演じる必要があるんだ。だが残念ながら、そんな状況がいつもあるわけではない。そういう意味ではクロードは稀有な監督だ。彼は熱血漢で、その子供っぽい笑顔で場を明るくさせる。彼の作るどの映画の中にも、すごいシーンがある。いつもそれがあるのが、素晴らしいんだ。そういうシーンがいくつあるかという問題じゃなく、それが楽しみなことは確かだ。

Q: 『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』について

JD この映画は今の時代には非常に珍しいものを観客に見せるはずだ。それは今の映画業界では二度とできないものだ。映画館で上映するための映画であって、テレビ用じゃない。テレビという枠のために、企画して、脚本を書き、予算を取ったものじゃない。この映画は映画館向けに、映画らしい感動を大きなスクリーンで観せるために作られたものだ。それも本物のインドが舞台で、決して絵ハガキ的な観光映画じゃない。本当のインドを舞台に感動的なストーリーがじっくり観られる。映画館で観る映画だ。こんな作品は滅多にないよ。

1 2 C・ルルーシュ監督インタビュー

アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)
監督・原案・脚本:クロード・ルルーシュ(『男と女』『愛と哀しみのボレロ』)
脚本協力:ヴァレリー・ペラン 音楽:フランシス・レイ(『男と女』『愛と哀しみのボレロ』)
出演:ジャン・デュジャルダン、エルザ・ジルベルスタイン、クリストファー・ランバート、アリス・ポル 2015年/フランス/シネスコ/5.1ch デジタル/114分/原題UN+UNE/字幕翻訳:松浦美奈
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 配給:ファントム・フィルム
©2015 Les Films 13 - Davis Films - JD Prod - France 2 Cinema
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2016年9月3日(土)より、
Bunkamuraル・シネマほかにてロードショー!

2016/08/23/18:14 | トラックバック (0)
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