2022年アジア太平洋映画賞 最優秀演技賞(イ・ジョンウン)受賞
2021年東京国際映画祭コンペティション部門正式出品
オマージュ
2023年3月10日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館他全国順次公開!
失われたフィルムをめぐって、
夢と現実、現在と過去、映画と人生が交錯する――。
ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督のジワン。彼女が引き受けたのは、60 年代に活動した韓国の女性監督、ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』の欠落した音声を吹き込むという仕事だった。作業を進めながらフィルムの一部が失われていることに気づいたジワンは、ホン監督の家族や関係者のもとを訪ねながら真相を探っていく……。
映画を撮り続けたいという思いを抱きながらも、ジワンには母、妻としての日常生活がある。キャリアの曲がり角で立ち往生しそうになっている彼女がはじめた、失われたフィルムをめぐる旅。そこでジワンは女性が映画業界で活躍することが、今よりもずっと困難だった時代の真実を知る。夢と現実、現在と過去。その狭間を行きつ戻りつしながらも、ジワンはフィルムの修復とともに自分自身を回復させるようかのように人生を見つめ直し、新しい一歩を踏み出していく――。
『パラサイト 半地下の家族』のイ・ジョンウンが
本作で2022年アジア太平洋映画賞最優秀演技賞を受賞!
『あなたの顔の前に』のクォン・ヘヒョ、
『愛の不時着』のタン・ジュンサン……
韓国エンタメファンにお馴染みの実力派が集結!
主人公ジワンを演じるのは、『パラサイト 半地下の家族』(2019)など韓国を代表するバイプレイヤーのイ・ジョンウン。年齢を重ねて感じる心と体のゆらぎを、きめ細やかな芝居で表現し、単独初主演にしてアジア太平洋映画賞最優秀演技賞を受賞した。夫を演じるのは、『あなたの顔の前に』(2021)をはじめホン・サンス監督作品の常連としても知られるクォン・ヘヒョ。息子役にドラマ『愛の不時着』(2019)のタン・ジュンサン。韓国映画、ドラマファンにお馴染みの幅広い年代の実力派俳優が集結した。監督は、『マドンナ』(2014)、『ガラスの庭園』(2017)のシン・スウォン。悩みながらも映画を撮ることを諦めないジワンに自身を投影させ、女性たちが時を超えて手をつなぎ、連帯していく物語に昇華させた。
- 失われたフィルムをさがすというミステリー仕立てのストーリーは、かつて、しずかに闘った女性の姿を描き出す。
彼女が切り開いた道に、ジウンも私も立っている。――角田光代(作家) - 今私の抱えてる閉塞感も孤独も、過去の、そして未来の「彼女」とつながっている。
イ・ジョンウンのやるせなくもあたたかな表情からかたときも目が離せない。――柚木麻子(作家) - 女性が映画を撮る。映画監督になる。
それがこんなにも逆風だらけだってことに、
昔のわたしはどうして気がつかなかったのかな。
映画を作りたいと夢を抱いたことのある、すべての女性たちに届け!
――山内マリコ(小説家) - この7年、私は映画を作らず、家事育児をしている。女じゃなければ、もう少し先に進めていたかもしれない。
何度も頭の中をよぎりながらも、我が人生を否定するまいと、作れないのではなく作らないだけなのだと言い聞かせ、でもやっぱり、腑に落ちないでいる。
そんな私にとって、刺さるセリフだらけのこの映画。いつかまた思いっきり映画を作りたいなぁ。
荒んだ心を温めてくれたシン・スウォン監督、ありがとう。
――呉美保(映画監督) - 私たちは、「好き!好き!好きだ!」と、素直に映画への愛を表せばいいのだ。
生きた記録と記憶を、この世を満たす光でスクリーンに投影したシン・スウォン監督に、心からの感謝と敬意を表したい。 ――安藤桃子(映画監督) - 彼女が男だったら どうなっていただろうね
60 年代の女性監督にかけられたその言葉が、
今も変わらず響いてやるせない。
終盤の美しいシルエットの演出に惚れ惚れし、
溢れる映画愛を噛み締めた。――宇垣美里(フリーアナウンサー) - 仕事、夢、家庭に揺れ動く主人公は同世代である私の姿でもあり、ジワンがたどったあの後ろ姿はまさに私であり、あなたなのだろう。ゆっくり、じんわり勇気と温かさが心に染みこんでいくこの映画は前へ進み続ける私たちへのオマージュでもある。――渡辺満里奈(タレント)
- 生きていてくれてよかった。
瞬間、交わされるその微笑みは、シン・スウォン監督が全ての女性に、
あるいは困難を生きるものたちすべてに差し伸べた連帯の握手なのだと思う。
――諏訪敦彦(映画監督) - 復元という行為が、映画を作る彼女自身の心に小さな火を灯す。
過去と現在を貫くフィルムの生命力にふと気づかされる、貴重な一作。
――岡田秀則(フィルムアーキビスト|国立映画アーカイブ主任研究員)