中村 達也 (俳優・ドラマー) 映画『野火』について【8/8】
2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開
公式サイト 公式Facebook (取材:深谷直子)
――それで達也さんは?
中村 俺自身は「これはマズイぞ」と。
――マズイっていうのはどのへんがですか?
中村 ビックリするし、救いようがないっていうか。
――救いようがないですね。でも戦争ってそういうものなんですよね。
中村 うん。
――それを、平和ボケしている……という時代でも本当になくなってきていますが、やっぱり知らない人がたくさんいるから、衝撃を受けても知ってもらわなきゃいけないという想いで監督は撮られているんですよね。
中村 うん、だから『プライベート・ライアン』(98)だとか戦争映画はいっぱいあるけど、ああいった映画は面白いように作られているし、感動するように作られているし。それに対してどう思うかではなくて、自分の感じ方や行動の仕方が大事だと思う。例えばこの映画を観て「面白かった」とか「あの戦争映画と比べてどうだった」とかいう言い方をする人たちもいると思うし、でも……、何だろうな? 自分の想いというのは誰かにどう思われたいとかいうことじゃないなと思う。監督が思っていることが俺にはいちばん分かりやすかった。
――うん、そうですね。それがダイレクトに伝わってきて「マズイぞ」と思わせたと。
中村 うん。今、時代がきな臭いけど、『野火』を「反戦映画です、ぜひ」というふうに言おうとは俺は思っていなくて、何か考えるきっかけになればいいなと。俺みたいに映画を観たり関わったことで、自分の感性に響くことが変わってきたり気付くことがあればいいんじゃないかなと思います。
――まさにそうですね。ありがとうございました、いいお話をたくさんしていただいて。もう語り尽くされたかもしれませんが、お客さんへのメッセージとして言っておきたいことはありますか?
中村 観た人は自分の感じたままの行動をすればいいし、何しろ自分が食って生きるのがいちばん大事なんじゃないのかな。
――あ、そういうお話をしていませんでしたが、実際に食べるということの大事さを考えさせる映画でもありましたね。
中村 今は金を払えば何でも食えるけどね。多分このあとみんな病気になると思うよ。だから俺、身体にいい飲食店やろうと思って。儲かるよ、これ、ついに(笑)。田んぼもやって。
――田中泯さんと一緒に(笑)。みんな自分の身体を大事にしていってほしいと。
中村 うん、はぐくむ。自分を変えていかなきゃダメだと思うよ、世の中どうこうというより。いろんなことを知って、自分の頭の中だけで分かるんじゃなくてね。そうしたら身体も健康になると思う。……なんてことを言ったりして(笑)。
――(笑)。今日は本当にありがとうございました。達也さんのこれからのご活躍を楽しみにしています。
( 2015年6月11日 下北沢で 取材:深谷直子 )
渋谷ユーロスペースにて 7月25日(土)~31日(金) 連日21時から
入場料金:1200円均一 ※『野火』の前売券・半券ご提示で1000円
7月25日(土)鉄男 (+当時の秘蔵映像)トーク塚本晋也
7月26日(日)鉄男Ⅱ BODY HAMMER(+当時の秘蔵映像)トーク塚本晋也
7月27日(月)東京フィスト (+当時の秘蔵映像)トーク塚本晋也
7月28日(火)バレット・バレエ(映画祭版=プレミア版) (+当時の秘蔵映像)トーク塚本晋也
7月29日(水)六月の蛇 (+当時の秘蔵映像)トーク塚本晋也
7月30日(木)ヴィタール (+当時の秘蔵映像)トーク塚本晋也
7月31日(金)KOTOKO※DCP上映。トークはございません。
原作:大岡昇平「野火」
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也 監督・脚本・編集・撮影・製作:塚本晋也
配給:海獣シアター © Shinya Tsukamoto/海獣シアター
公式サイト 公式Facebook
2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開
- 映画原作
- (著):大岡昇平
- 発売日:1954/5/12
- おすすめ度:
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- (監修):塚本晋也
- (編集):大友麻子
- 発売日:2015/7/11
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