中村達也/『野火』

中村 達也 (俳優・ドラマー) 映画『野火』について【4/8】

2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開

公式サイト 公式Facebook (取材:深谷直子)

『バレット・バレエ』
『バレット・バレエ』
――それもすごいですよね、1回気付くといろんなことが繋がって。やっているときは全然分かっていなくても。じゃあ塚本監督は撮影の狙いだとかは話してくれないんですか?

中村 何も話してくれないよ(笑)。だってこの間劇場パンフレット用のインタビューを受けてようやく知ったもん、『バレット・バレエ』のチーマーのリーダーと今回の伍長さんの役が同じ位置っていうか、生命に対してどうとか……。

宣伝担当 「『バレット・バレエ』でむちゃくちゃやっていた人たちが、『野火』で本当の戦場に行っちゃったね。やっと今、分かったか……」という思いが監督にはあるようです。

中村 のではないかということを聞いて、「ああ、そうなの?」って。ただのぼんやりおじさんですから(笑)。

――(笑)。でも演技は迫力がありましたよね。達也さんが演じた伍長って、原作ではそんなに大きな役ではないんですが、原作にはない台詞を加えたり、キャラクターも変えたりしていて、とても重要な役になっているんですよ。

中村 あ、そうなんだ? 原作を読んでみようかなあ。

――原作は読んでみたほうがいいかも(笑)。熊切和嘉監督の『莫逆家族 バクギャクファミーリア』(12)で達也さんが演じた役にも似ているなあと思わせるものになっていて、ある種複雑な役ですが、監督たちは達也さんなら説得力のある演技をしてくれると見込んで起用しているんじゃないかと思います。
(※この間僭越ながら、「伍長」役の原作との違いを達也さんに説明。達也さんは「へえ」を連発しながら熱心に耳を傾けてくれた。塚本監督の原作への思いや、映画化する上での監督なりの挑戦などを知るためにも、未読の方には映画鑑賞の前後にぜひ原作にもあたってほしいと思います。)

中村 おお! いや、演技の練習します(苦笑)。本当に。そこは自分では演じ切れなかったかもしれないなと思っているんです。まあこれはしょうがない、自分で見てそう思うもん。

――確かにこの映画は演技が難しいだろうと思います。戦争映画なんですけどアクションはなくて逃げ惑っているだけで、ほとんど表情の演技ですよね。伍長は、これは原作どおりですがなかなか死なない悪運強い男ということになっていて、そのためにまわりで部下が倒れていくのを見ては悲痛な思いをかみしめることになります。その表情が真に迫っていましたが、ここはご自分で何か工夫をされたのではないでしょうか?

『野火』場面4中村 そうだよね、悲しい顔ね。どうだったかな……。いや、残念ながら本当にフラットなまま演じていたと思う。他の役者さんみたいに「ここはこういう感情で」とか突き詰めて演技しなきゃいけないなとは思っているんだけど。そんなことよりもあのシーンは寒くて寒くて。

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野火 (日本 / 2014 / 87分)
原作:大岡昇平「野火」
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也 監督・脚本・編集・撮影・製作:塚本晋也
配給:海獣シアター © Shinya Tsukamoto/海獣シアター
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2015年7月25日(土)より、ユーロスペースほか全国公開

2015/06/28/17:24 | トラックバック (0)
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