
カナザワ映画祭2023「期待の新人俳優賞」受賞/主演・愛田天麻
アクリルの鳥籠


2025年7月5日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティにて一週間上映!
INTRODUCTION
――僕らはまだ、透明な鳥籠の中
風俗嬢の柴田唯(18)のもとに、ある日突然、父親の剛が現れる。
唯は家出をしており、彼女を連れ戻しにやってきたのだ。
唯を連れ帰った剛は、彼女を監禁同様に家に閉じ込めてしまう。
風俗店店員らが押しかけて来たことにより、唯は部屋から出ることができたが、彼女は剛を監禁罪で告訴すると言い出す。
担当した刑事の井上・村岡は、不起訴になることが明らかという理由から、告訴状の受理を渋るのだが──。
家出をした風俗嬢と、彼女を取り戻そうとする父親を描いた本作は、『ベイビーわるきゅーれ』の阪元裕吾など常に新しい才能を発掘し続けているカナザワ映画祭において「期待の新人俳優賞」を受賞した話題作。主演・愛田天麻の力強い存在感が高い評価に繋がった。
昨年話題となった『あんのこと』や『どうすればよかったか?』などにも通じるテーマの本作は、見るものへ力強い問いを投げかける。
一週間の上映では、本作のほかに11作ものバリエーションに富んだ短編映画も同時上映。最新作『無名の人生』が話題の鈴木竜也監督が手がけた短編アニメーション『無法の愛』も上映予定。各作品の舞台挨拶も連日開催。劇場窓口ではお得な前売り券も販売中(税込1,500円)。


COMMENT 順不同・敬称略
- 上澄みだけ掬い取ったところで沈澱した濁りには届かない。他者との関わりが薄い現代において本作の取扱うテーマはより深刻な問題であると感じました。なお主演の愛田天麻さんが演じる唯の抱える闇をどう表現するか、そのお芝居のバランス感覚が絶妙で、それだけでも観る価値があると思います。
――岡本 崇(映画監督 音楽家) - 主人公の葛藤と、ひと:みちゃんと田村遼さんの演技に心を鷲掴みにされました。
ラストシーン、秀逸でした。――阪本 武仁(映画監督) - ラスト10分、物語は唐突に舵を切られ、思わず息を呑んだ。
味わい深い余韻の作品。
ある特殊な境遇の人を主役に据え、時に愛嬌とユーモアも交えながら親しみを込めて描いたかと思うと、突如梯子を外されるかの如く残酷な真実を突きつける。
これは蒲生監督の過去作『西園さんは今日も』にも共通した語り口だ。
人は誰しも心の何処かに闇を隠し持って生きている。
誰かの『アクリルの鳥籠』に私たちは気づくことができるだろうか。
あまりに秀逸なタイトルである。――井坂 優介(映画監督) - 本作において確実に言えることが一つだけある。
それは『愛田天麻』という俳優がどのような作品であっても真摯に向き合い、人を惹きつける大きな力があるということだ。
それだけでこの作品は一つの価値を持つことが出来たと言えるだろう。
――牛丸 亮(俳優・映画監督) - 愛田天麻という役者は不思議な魅力を持った役者だ。今作の難しい役柄においても体当たりの演技で、見たことのないような顔を見せてくれる。タイトルの意味を知った時、それまでとはまた違う感情が押し寄せてきた。
――木村 知貴(俳優)


- この作品は、教義に問題のある宗教団体に入信した娘の家族が、娘をその宗教と関わらせないために家に監禁してしまったという実際にあった事件から発想を得ています。その事件においては娘を監禁した家族を監禁罪に問えるのか、ということが問題となりました。警察も裁判所も苦慮する、簡単に答えを出せない問題について、群像劇の手法によって多角的に捉えようとして作られたのが、この「アクリルの鳥籠」です。――蒲生 映与(監督・脚本・撮影・編集)
- 「全力で」との指示に全力で立ち向かったとて、相手の演技に支障はなく滞りなく進んでいくシーン。
手足を拘束するシーンの「スタート」までの時間。
『アクリルの鳥籠』の撮影中、幾度となく自己の無力さを痛感しました。
この絶望感を経て生まれたものが、監督やスタッフさんや出演者の皆さんに負けじと、この映画を観てくださる方への思いの一端を担うことができているのなら、とても報われます。
そして短編映画が日替わりで同時上映!
関係者の皆様から上映への思いもお聞きし、映画を観るのが今から楽しみです!――愛田 天麻(主演 柴田唯役) - 蒲生監督主演作「西園さんは今日も」の大ファンなので新作で備品をケチる嫌われ店長役でどう?とオファー頂いた時は心躍り。その初読み合わせで主演のあまりの“むきだし”具合に衝撃を受けたのを覚えています。「書簡:ジャンヌへ」や、大好きな短編「無法の愛」達も上映されるし!この1週間は“愛田天麻さん”祭!皆様ぜひ♪――ひと:みちゃん(田丸役)
- 声なき声を聞け!
この映画を見て、我々に何ができるのか?
簡単に答えの出ない問いを投げかけられる。
考え続けるしかない。
少しでも多くの方に見ていただき、皆で考えていきたい。
――二階堂 方舟(映画ファン)


同時上映作品
- 7月5日(土)
『書簡:ジャンヌへ』(監督:板倉臣郎)
本作は手紙を通じて、女の想像力が男の内面世界を映像化していく過程を描いた実験映画です。言葉に触発されて生まれる映像の力、それによって浮かび上がる心の奥行きを、少しでも感じてもらえたら幸甚です。
『無法の愛』(監督:鈴木竜也)
真夜中。工事現場。カラーコーン頭の男とピンク髪の女が、強烈に出会う。 はみだし者ふたりの、四半世紀にわたる愛と善悪についての刺激的な物語。 センセーショナルな題材に切り込み、倫理観をぐらつかせる、渾身の一作! 俺たちは走る、この世界を置き去りにして──。 - 7月6日(日)
『現代の踊り子』(監督:倉嶋伸吉)
不自由な状況に陥ったさつきにとって、母を愛するとは一体何だろうか。さつきの愛を母から受け継げられた踊りを通して『愛情』『自由と不自由』が描かれる物語。
『無法の愛』(監督:鈴木竜也) - 7月7日(月)
『ミノタウロスの憂鬱 迷宮のためのエスキース』(監督:岩井悠辰)
迷宮に住むミノタウロス。始まりもなければ終わりもない、日々の動作を繰り返すだけの憂鬱な暮らしが映し出される。
『通学路だけ。~それが、私たちの風景(けしき)~』(監督:繁田健治)
川の上流に女子高、下流に男子高があった。そして一本の橋が双方にとっての通学路だった。二人は声をかけられないままいたずらに三年の時が経ち 卒業式の日がやって来た・・・。
『夜想曲』(監督:秋月優奈)
都会の片隅で出会った若い男女。男は闇を求め、女は光を探していた。微かな希望を胸に新しい世界へと向かった二人を待っていたのは・・・。 - 7月8日(火)
『端くれ』(監督:渡部拓人)
葛藤、怒り、焦燥。そういった若さ溢れる感情に真正面から向き合い、真摯に、愚直に向き合う映画があっても良いのではないでしょうか。「今」と「あの頃」を懸命に生きているすべての「端くれ」たちに捧ぐ映画です。 - 7月9日(水)
『リトルミッション』(監督:岩本崇穂)
一方的にママをクビにした上司に復讐を誓い、包丁を手に旅立つ小学生・貴子。心配で一緒について行く2人の男友達。少女の暴走の果てに待つ、優しさとは――。
『無法の愛』(監督:鈴木竜也) - 7月10日(木)
『100万メートルの競争』(監督:GU YUE)
『夜風』(監督:河本考平)
夜風は、ぐちゃぐちゃな心を段ボールで整理して生きる少女。ある日、突如現れた青年・宗太郎に心の段ボールを破壊される。そこには、夜風と宗太郎との悲しい過去があった。全てを許された夜風は、記憶を解放する。 - 7月11日(金)
『6日後』(監督:佐々木真治)
コールセンターで働く沙織は、奇妙な電話を受けた日から不可解な出来事に巻き込まれていく。日常が静かに崩れ、不安と恐怖が迫るホラー。
『無法の愛』(監督:鈴木竜也)
CREDIT
出演:愛田天麻,柴哲平,中山祐太,青木友成,やまぎしゆうや,合田柚奈,澤真希,
田村無多,ひと:みちゃん,樹梨亜,獣神ハルヨ,志水九九美
監督・脚本・撮影・編集:蒲生映与
録音:栗林賢司
上映協力:株式会社TOKYO SERVICE PLAN 白井タケシ,森幸光,二階堂方舟
配給:京浜ビデオ企画
田村無多,ひと:みちゃん,樹梨亜,獣神ハルヨ,志水九九美
監督・脚本・撮影・編集:蒲生映与
録音:栗林賢司
上映協力:株式会社TOKYO SERVICE PLAN 白井タケシ,森幸光,二階堂方舟
配給:京浜ビデオ企画