新作情報

黒沢清監督も注目する稀代の映像作家・渡邉安悟監督最新中編

啄む嘴

誰のなかにもある多重人格性をめぐるサスペンススリラー。

『啄む嘴』場面画像6 『啄む嘴』画像

公式サイト

2022年12月10日(土)より池袋シネマ・ロサ にてレイトショー

INTRODUCTION

絶対にダメです。
あれに見つかるのだけは何があっても……絶対にダメです。

中島栞は謎の男から逃げている。 逃げた先は物流倉庫。そこで勤務していた矢崎舞衣に助けられ、2人は共に行動することに。忍び寄る男の影に苛まれながら 中島は母親殺しについて語りだす。車や階段、スマートフォンやブラウン管テレビなど無機質な対象が迫りくる。隠していたものが炙り出され、数珠繋ぎのがんじがらめ。逃げ出したい、けど逃げられない逃げたくない。がんじがらめがなくなったら私は私を失ってしまうから。

人間は誰しも多様な人格を内包している。誠実と無慈悲も、残酷と軽快も共存するばかりか、多種多様な悪魔と天使が一人の人間のなかで所構わず成長する。そして現代社会は、増殖した多重人格性を無自覚に量産し改変していくことで発展を続けている。その結果私たちは「個」のバリアで武装し、「他」を跳ね除け、何も言えなくさせる術を身につけ始めたのだろう。モチーフとなった南米の熱帯雨林に生息する大型の鳥類《オオハシ》は、そんな排他的な現代における人間性の暗喩である。

何かから逃げ続ける主人公・中島は吉見茉莉奈(『ナナメのろうか』2022 深田隆之監督、『宮田バスターズ(株)‐大長編‐』2021 坂田敦哉監督)、工場作業員の矢崎は間瀬永実子(『全裸監督2』2021 Netflix など)、謎の男は豊田記央。恐怖に放置し、共有を拒否するアンチ日本映画的手法で作られた本作は、初長編劇映画である荒唐無稽な青春ドラマ『ドブ川番外地』(注目すべき日本映画3選)、東京藝大卒業制作でもあるハードボイルドなブロマンス長編二作目『獰猛』(藤井道人や矢崎仁司といった映画人も評価)の渡邉安悟が監督。男を映してきた渡邉が初めて女を使って挑む現代人の内面世界を映す中編最新作。稀代の映像作家・日本映画の若き救世主による『リング』『呪怨』『回路』に連なる新たなJホラーが誕生する!

『啄む嘴』場面画像1 『啄む嘴』場面画像3

監督ステイトメント

僕が一人夜道を歩いていた時のことです。突然前方から車が勢いよくやって来て、目の前で停車しました。運転手のおじさんが窓を開けて一言「この辺で、犬見ませんでしたか?」と。どう自分が返事したのか覚えていないのですが、おじさんは僕の言葉を聞いたあと、愛想良い感じで去っていきました。今思い出そうとしても、おじさんの具体的な顔は浮かばないんです。ただ、どこにでもいる普通のおじさん、という印象でした。危害を加えられるような危機感はありませんでしたが、一方で、そのどこにでもいる感と突如発生した異様なシチュエーションに寒気がしました。きっとあのおじさんは、本気で、いなくなった犬を探している人、だと思います。それ以上でもそれ以下でもありません。ただその「犬」とはどんなだろう、と考え始めると、おどろおどろしい想像が膨れ上がりました。

これは、本作のきっかけに過ぎません。もともとあったホラー映画を撮りたい、という純粋な欲求とこの出来事を絡ませて、普段から収集している断片的なイメージを集合させて脚本家と話し合い、物語が出来上がっていきました。そして、伝わらないことを懸命に切実に話す人の深刻さと、その深刻さを避けず逃げず受け止め、感情に流されずにどっしりとそばで話を聞く、ずっと近くで見守る、というところの人間対人間を、感染症を経て各々の距離がより遠のいた今だからこそどうしても描く必要があると感じ、作品に落とし込みました。

主人公の中島が没入する「中」の世界と、そこから逸れる「外」の世界があります。矢崎や謎男は中島の「外」の世界に存在していると断言しておきます。ただ、それが中か外かとかは関係なく、中島にとっては全てが現実に起きた出来事なんです。

色々書きましたが、なるべくまっさらの状態で観ていただきたいです。監督がべらべら喋ったところで、作品が変わることはありません。口下手な僕なら尚更そうです。なので観てください、面白いですよ。
渡邉安悟 / 監督・編集・共同脚本
1994年大阪府生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後に東京藝術大学大学院映像研究科に進学し、映画演出を学ぶ。現在は東京を拠点に映像フリーランスとして活動中。学部の卒業制作『ドブ川番外地』は国内外の映画祭にて上映された後2021年劇場公開。監督作は長編『獰猛』(2020)、『ドブ川番外地』(2018)、短編『ティッシュ配りの女の子』(2018)ほか多数。本作は初の中編監督作。
『啄む嘴』場面画像4 『啄む嘴』場面画像5
COMMENTARY
  • いつ明けるともしれない夜の中で、トラウマは時を撹乱し、執拗に現在に襲いかかる。女たちに通じ合う言葉はなく、どこから来てどこにゆくのかもわからない。「啄む嘴」は、その氷のように透明な孤独と絶望を理解せよとは言わない。徹底した寡黙さによって言葉を眠らせ、ただそれを抱きしめよと迫るのである。
    ――諏訪敦彦(映画監督)
  • 渡邉安悟の新作『啄む嘴』は、純度の高い不穏さで、見る者を圧倒する。裸足で逃走する女、部屋の鍵を紛失したらしい会社員の女、この二人が出会い、会社の車で長い夜を過ごす。特に物語が掴めないまま推移する最初の15分間たるや、見たことのない映画に触れたという驚きを呼ぶ。この夜は明けるのか。
    ――筒井武文(映画監督)
CREDIT
出演:吉見茉莉奈,間瀬永実子,豊田記央,
國枝新,詩歩,福地展成,若林秀敏,小野美花,大和やち,大石菊華,本多晴,獣神ハルヨ,山下徳久
監督:渡邉安悟 脚本:深井戸睡睡,渡邉安悟 プロデューサー:山岸佑哉
撮影:中條航 照明:大迫秀仁 録音:酒井朝子 美術:畠智哉 編集:渡邉安悟
衣装:山岸佑哉 メイク:藤原玲子、石松英恵 特殊メイク:齊下幹 整音:佐藤恵太
助監督:菊池諒 制作:香西怜
協力:ラペ二子玉川,有限会社三津屋,合同会社ハーミットクラブ,株式会社オールクリエイション,
文化庁「ARTS for the future! 」補助対象事業
制作プロダクション:我がまま 製作:我がまま 配給:マコトヤ
© WAGAMAMA FILM | ASATO WATANABE

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2022年12月10日(土)より池袋シネマ・ロサ にてレイトショー

2022/11/26/19:00 | トラックバック (0)
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