SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021 国内長編部門入選
アリスの住人
2021年12月4日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
つぐみ18歳。傷ついた天使の希望と再生の物語
18歳、つぐみ。自分が大きくなったり、小さくなったりバランスがわからなくなる「不思議の国のアリス症候群」に悩まされる。それは、過去に父とのと性的虐待がトラウマだった。
「ファミリーホーム」という家庭養護施設で他者と共同生活を送りながら、自分と向き合う日々。美味しい食べ物も可愛いファッションも自分には相いれない。私はどこにいるんだろうか?社会や他人との時間のズレに苦悩するつぐみに魅かれ合う賢治の存在ができた。今、やっと、外の世界に旅立とうとした時、つぐみの罪深き秘密が明かされてしまう……。
閉塞した社会に傷ついた思春期の少女の希望と再生の珠玉の名編。
製作・脚本・編集・監督の澤佳一郎は、『そこにあるもの』(10)『その夜を越えて』(16)初長編作品『モラトリアム完全版』(19)と常に自身の経験を活かしたドキュメンタリー的な作品を手掛け、本作も「児童虐待」というテーマに少女の成長の物語を絡め新たな視点で描く。
つぐみ役を熱演しているのはミスセブンティーン2014を経て、2019年に女優デビューを果たし、本作が映画初主演となる樫本琳花。印象的な強いまなざしと新人とは思えない確かな存在感をみせる。
つぐみの心を開いていく賢治役は『スペシャル・アクターズ』(19)でインチキ教祖を演じた淡梨、ファミリーホームの「ママ」を演じる『カメラを止めるな!』(17)のしゅはまはるみなど、個性的なキャストが脇を支えてる。
今回、主題歌に作詞・作曲 尾崎豊の『群衆の中の猫』が使用されているのも話題。編曲がTomi Yo、唄がレイラーニ。1992年に急逝した尾崎豊さんのトリビュートアルバム「“GREEN” A TRIBUTE TO YUTAKA OZAKI」(2004)の中に収録されたもので、レイラーニは現在「中嶋晃子」名義で活動している。
ラストの海辺の花火のシーンに希望のメッセージを歌い上げている。
実父から性的虐待を受けたつぐみは、その事実を母親に打ち明けられなかった。その後悔とトラウマに囚われながらファミリーホームで過ごしている。もうすぐ高校卒業し社会に出ていかないといけない社会に出る準備をしないといけない年齢。今ある日常をどのように変えていけばいいか…。そんなある日、賢治という青年と出会う。自分が飲み込まれそうな気持ちになるという理由から海へ行ったことがないと話すつぐみに賢治は海へと誘うが、つぐみの心の準備は間に合わず断念する。徐々に賢治に惹かれていくつぐみだが、思いもよらぬ悲劇が待っていた……。
私の家庭内で起こっていた父や祖父の暴力。教育と虐待のラインが曖昧な環境で育ち、そして自分が父親になったばかりというタイミングで児童虐待について触れてみたいと及んでいきました。この映画はフィクションですが、俳優たちと私の中に投影されてきた今までの人生や未来への願いのようなものが含まれ、嘘ではない想いが綴られたものとなっております。何かしら停滞しているところからの第一歩となるような、そんな希望の映画になってくれたらと願っております。
映画美学校ドキュメンタリー科卒。修了制作作品『そこにあるもの』が翌年の映画美学校セレクションに選出2020年には文化庁主催「音声ガイドスタッフ育成講座」の教材として提供し講師モニターとしても参加。フィクション作品では2017年に『その夜を越えて』で横濱IFF2017短編部門最優秀作品賞を受賞。2019年に初長編作品『モラトリアム完全版』で劇場公開を果たす。現在も映像ディレクターとして活動しながら映画製作に携わっている。
メインキャストコメント
港つぐみ役を演じました、樫本琳花です。このような状況の中で、無事に作品が完成したことを嬉しく思います。 ファミリーホームをもっと皆さんに知っていただきたいという思いと共に、家族のかたちは多様であり血縁関係だけが全てではないのではないか、ということを感じていただけたら嬉しいです。自分が自分を見失ってしまわないように、小さな幸せをたくさん見つけていただきたいです。沢山の方にアリスの住人が届くことを願っています。
樫本琳花/カシモトリンカ(20) 2014年~2018年までSeventeen専属モデルとして活動。株式会社クボタのweb広告や小田急箱根フリーパス、UNIQLOの広告にも出演。2019年より本格的に女優として活動を始め、MVでは當山みれいの 「My way」TVでは「HiGH&LOW THE WORST episode 0」に出演。今回、長編映画の初主演を務める。
澤監督のwsに参加したことがきっかけで今回の作品に出演いたしました。淡梨です。 wsでは個人の人となりを見られている気がしていたので、選ばれた時は少しくすぐったさがありました。その後、時間が経って届いた台本を読んだ後は自然に責任感が生まれて、澤ワールドに、僕を今回の役にどう落とし込むかを熟考した記憶があります。皆様と劇場でお会いできることを楽しみにしています。
淡梨/タンリ(24) 2018年モデルとして活動をスタート。2019年、松竹ブロードウェイキャスティングのオリジナル映画製作プロジェクト第7弾にて、映画『スペシャルアクターズ』にカルト教団の教祖役として出演したことを皮切りに俳優として活動をはじめる。モデル、俳優活動以外に制作活動も行っており、東京造形大学造形学部デザイン学科映画・映像専攻領域在学中には、短編映画の制作に携わり、監督・脚本を務めた。今回、前野賢治という役で、主人公の港つぐみに寄り添い、けれど離れていく難しい役を担う。
子供時代に安心を感じる事が少なかったため、今では寂しそうな顔をしている子供を見ると黙って手を繋いであげたくなる私。この映画には「君は君のままでいいんだよ」と伝えて抱きしめてあげたい子供たちが沢山出てきます。企画をいただいた時から出演だけでなく全力で関わろうと思いました。そして、澤監督が後悔のない作品に仕上げてくれました。この映画が一人でも多くの子供、また子育て中の方に届くようにまだまだやれる事をやって行きます。
しゅはまはるみ(47) 高校より芸能活動を始め、劇団東京乾電池に入団。その後も小劇場を中心に俳優活動を続け、2018年公開の映画『カメラを止めるな!』に参加し、主人公の妻・日暮晴美役で大ブレイク。 東スポ映画大賞新人賞を受賞。 その後も主演映画『かぞくあわせ』の公開やNHK朝ドラ『スカーレット』 、テレビ朝日『家政夫のミタゾノ』、そしてRIZAPのCM出演など、映画・ドラマ・バラエティ・舞台・CMと、現在幅広く活躍中。
この映画は「叶えたいことを叶えられる映画」というコンセプトから、私が叶えたかった事が反映されています。今まで誰にも話した事がなかった思いだったのでドキドキしながら監督に話した事を覚えています。私が誰にも話せなかったように心の底で何かを抱えている人はきっと沢山居るから、改めてそこには敏感でいたいと思いました。
伴優香/バンユウカ(28) 10代の頃から主に舞台出演が多いが、2018年に映画「ニセコイ」(東宝系)にてスクリーンデビューを果たす。近年では、ガリットチュウの福島さんとルミネtheよしもとに出演するなど多方面で活躍。「痛快TVスカッとジャパン」(CX系列)のドラマパートにも度々出演している。
自分は莉子ちゃんじゃないから、莉子ちゃんが経験したことを全く経験していないけど、どこかに共通点を見つけようと色々考えました。一番印象に残ったシーンは、海のシーンです。理由は、「自分は幸せだ」というのが分かるように演じて、莉子ちゃんと自分が近づけたからです。つぐみお姉ちゃんや莉子ちゃんみたいな人がいるという事と、ファミリーホームがどういうものか知ってもらいたいので、沢山の人に観て欲しい作品です。
天白奏音/テンパクカナネ(13) 小学生2年生より、演技の世界に入り、数々の映画に出演。主な作品に長編『ファンファーレが鳴り響く』(監督森田和樹)短編『次は何に生まれましょう』(監督野本梢)など。独特な雰囲気に定評がある。普段は寡黙で、囲碁やドラムに熱中している。夢は「大女優になる事」。
久場寿幸,合田純奈,みやたに,大山大,萩原正道,太田翔子,蓮田キト,荻野祐輔,小春,るい乃あゆ,獣神ハルヨ,
森下さゆり,遠藤史也,たなかあさこ,小澤雄志,赤江隼平,山下徳久,大石将弘,山谷ノ用心
原案・脚本・監督・編集:澤佳一郎
助監督:曽我真臣,合田純奈 撮影:温水麻衣子,髙田裕真 録音:川上翔生
ヘアメイク:蓼沼仁美,片山智恵子,藤澤和紀 音楽:伊藤求 制作:大石知恵,久場寿幸,高瀬満寿保
製作・配給:reclusivefactory Executive Producer:宮崎和紀
後援:一般社団法人 日本ファミリーホーム協議会
主題歌:『群衆の中の猫』作詞・作曲:尾崎豊 編曲:Tomi Yo 唄:レイラーニ
英題:Resident of Alice/2021/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/ステレオ/64分
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