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SKIPシティアワード賞(2022)、ドイツ「ニッポン・コネクション」入選
霧生笙吾による武蔵野美術大学卒業制作

JOURNEY

『JOURNEY』画像

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2023年10月21日(土)より池袋 シネマ・ロサにて限定劇場公開

INTRODUCTION

“イシキ”という集合体
約束の地での彷徨い
私たちは Journey(旅)を続ける

肉体から意識を解放することが可能となった近未来。
宇宙飛行士になることを諦め、地球で働く慶次は、心を病む妻の静と暮らしていた。
ある日、慶次は新たな宇宙開発の噂を聞き、静とともに「積極的選択としての死」にも等しい“意識のみの存在”になることへ憧れを抱き始める。

美術大学を卒業した新人監督が紡ぐ、アブストラクトな60分のSF詩篇

JOURNEY』は脚本・監督・製作を務めた霧生笙吾が、2022年武蔵野美術大学の卒業制作でありながら、早くも同年7月に開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022における国内コンペティション長編部門に入選。見事、才能ある次世代映画作家に贈られる「SKIPシティアワード賞」の栄冠に輝いた。2023年6月にはドイツで開催される「ニッポン・コネクション」にて上映され、国内外問わず、その独自の映像感覚を高く評価された。

脚本・監督を務めた霧生笙吾は、大学在学中に制作した約20分の短編にて、「亡くなった母親が骨壷として家に戻り、火葬の際に焼け残った母親の銀歯を取り出す」という物語で描いた“肉体が朽ちていくことへの恐怖”をより発展させ、脚本を構想。 “肉体と意識の隔たり ”を“壮大な宇宙"と"親子2世代の継承"というモチーフで描いた、 三部構成が連なる全編60分のアブストラクトSF詩篇が誕生した。

2023年10月、 池袋シネマ・ロサでの初の劇場公開にあたり、映画祭上映から装いを新たに霧生監督自ら“ファイナル・カット版”と題して再編集。SF詩篇の世界を支える、鮮やかな音楽を調整する整音を、『夢見るように眠りたい』『地獄の警備員』『ヘブンズ ストーリー』の録音技師で知られる 鈴木昭彦に依頼し、喪失と回帰の輪廻を描く『JOURNEY』の映像世界に新たな命が吹き込まれた。

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COMMENTARY(敬称略)
  • 黒坂圭太(アニメーション作家・『緑子/MIDORI-KO』監督)
    リュミエール『列車の到着』に対峙した観客の動揺を共有する事は、もはや情報の奴隷と化した僕たちには不可能だろう。そんな時代にあって、霧生笙吾監督の『JOURNEY』は “活動大写真”と呼べる稀有な作品である。映画の原点はアニメーション同様「画が動く驚き」にあった筈だ。『JOURNEY』に登場する人物や風景は、みな絵画の様に凍結している。だからこそ彼等が動いた時の衝撃度は背筋に稲妻が走るが如くである。ストーリーやキャラクター以前の原初的な興奮、長回しフィックスショットの中で揺らめく光と影、ラスト近くに樹木の下で語らう二人が紡ぎ出す時間軸は、官能的でさえある。それは正に「もうひとつのアニメーション表現」なのだ。霧生監督の切実なる“映画愛”に拍手を送りたい!
  • 河合真也(映画プロデューサー)
    映画『JOURNEY』を初めて観た時、自分が20代前半で「THX1138」(J・ルーカス監督/1971) に出会った時の感覚に近い何かを感じた。
    当時は「南極物語」(1983)のスタッフとして映画製作を体験しながらも「THX1138」(1971)をもっと多くの人に観てほしいと思い、「Amblin」(S・スピルバーグ監督/1981)と一緒にフジテレビでノーカット放映した。共に彼等の学生時代の企画である。
    大学生で映画監督を目指し、卒業制作作品を創る。
    それから、どのような映画人生が始まるかは誰にもわからないが、自分の体験した限りでは、その最初の作品に、それまで生きてきた監督の頭の中にあるものの多くが投影されているような気がする。
    人間の肉体と精神はどういう形で存在しているのか。
    文明の進化、テクノロジーの恐るべきスピード。
    宇宙へ旅行に行けるようになりつつある今、大きな俯瞰から見ると、人間の存在とは何なのだろうと考えたくなる。
    「THX1138」は25世紀の姿を想像させてくれたが、『Journey』はもしかしたら、時空を超えた人類の形を見せてくれようとしたのか。それとも霧生監督の次作がそうなのか。
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  • 日向史有(ドキュメンタリー監督)
    映画は、とても純粋に問いかけてくる。
    身体と意識を隔てるものはなにか。自分と他者の境界はどこか。
    痛みのない世界で生きる時間は幸せなのか。そして、自分とは誰か。
    そんな普遍的な問いと一途に向き合い制作された「美しい作品」に、心が震える。
  • クリストフ・シャルル(武蔵野美術大学教授)
    日常的な風景を旅しているが、日常の時間枠の外と感ずる。いわば平行世界という概念にも似ている。
    映画『JOURNEY』では、空間、時間、色彩、音の構成、それらの間隔や動きが細かく統一されている。各要素は、割り当てられた場所にあるが、その位置付けは要素を混乱させるものではない。余裕を持って展開する時間と空間の範囲内で、我々は自由に見聞きすることができる。環境音、動作音、登場人物の声が、互いを妨げることなく重なり合っている。登場人物と環境はぶつかることなく共存し、前景と背景の関係は有機的で柔軟だ。同じように、地球と宇宙の環境は互いに重なり合っている。それは内省と旅への誘いであるが、現実からの逃避を望んだとしても、逃避ができるわけではない。旅は今この瞬間、音と光とともにする。
  • 神威杏次(俳優/映画監督)
    誰もが思考する力を奪われたような昨今の世の中で、考えることの大切さを教えてくれる。
    今すぐテレビを消して、劇場に向かって頂きたい。
    そして、やがて襲ってくるであろうコマーシャリズムという敵と彼がどう闘っていくのか。
    僕らは、ぜひ見届ける必要がある。
    映画という文化の本質を、後世に残していける数少ない旗手として。
  • 芦澤明子(カメラマン)
    丁寧に撮られた圧倒的な映像と、豊かな音に包まれた本作は監督が、思い描くSF映画の枠を大きく飛び抜け、いつのまにか日常の中にしっかり絡みついてきている。
    父や家族のことまでも。
    生まれる時も1人、死ぬ時も1人か、なんて思わずつぶやいてしまう、
    そんな旅の映画です。
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  • 田中陽菜(映画監督)
    切り取る画に、ショットの組立に、霧生監督の信じる美学が通底している。
    旅に目的地が無くても、詩に主旋律が無くても、彼が放ったその一滴は、ひとつところに向かうのだろう。
  • 宗野賢一(映画監督)
    未来を描くSFでありながらも、「今」を強く感じる。
    もし今、この映画で描かれる肉体から意識を解放することが可能になったならば、どれだけの人がその選択を行うだろうか。
    霧生監督は詩的な映像を用いて私たちの意識を現実から解き放ってくれる。
    一見、悲観的な物語だが、どこか希望を感じさせる光を使った演出からは、真理への探求心を持ち続ける人間に対する監督の優しい視線を感じることができる。
  • 鶴田法男(映画監督/小説家)
    私は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022/国内コンペティション部門」の審査員を努めていたので、本作を「SKIPシティアワード」に推した1人でもあります。私が『JOURNEY』を評価した理由は、『2001年:宇宙の旅』、『惑星ソラリス』等に刺激を受けながらも、VFXや未来的美術セットに頼らないSF映画であるジャン=リュック・ゴダールの『アルファヴィル』や『愛すべき女・女(め・め)たち』内『二〇〇一年愛の交換“未来”』や、ジョージ・ルーカスの『電子的迷宮/THX-1138:4EB』の系列に本作があると思ったからです。私と同年代の観客はSF映画が輝いていた70年代の懐かしくも幸福な映画体験が出来るでしょう。それは、今の若い人々には新鮮な体験になると思います。
  • 月永理絵(ライター/編集者)
    微小なものから、ふいに巨大な何かが現れる。その瞬間を目撃することが、映画を見る何よりの喜びだ。手のひらに握られた小さな石ころから無限の時間が広がっていく『Journey』は、まさにこの驚くべき瞬間をつくりだすことに賭けた、実に勇敢な映画だと思う。
  • 渡邉正峰(東京大学准教授 専門分野:認知神経科学)
    “意識化”することによる精神の肉体からの解放。“共同意識化”すれば、金輪際、孤独に苛まれることもない。そんなあるかもしれない未来を珠玉の映像美で描きだした本作に心惹かれた。わたし自身、意識研究を生業としている。意識の神経メカニズムを解き明かし、その副産物として「意識のアップロード」を実現しようとしている。意識のアップロードが実現したとき社会はどのように変わるのか。そんなことを頭の片隅で考えつづけてきたが、本作をとおして、なによりも大切なのは個々人の内面であることに気付かされた。巨匠霧生監督のデビュー作をご覧になり、“意識化”の未来がはたしてディストピアなのか、はたまた精神の楽園なのか、ご自身の目でぜひ確かめてほしい。
  • 小原徳子(俳優/脚本家)
    未来の物語でありながら、描かれているのは普遍的なもので、この世界に順応しきれずに生きるしかない登場人物たちの心情と、光が持つイメージが徐々に変わっていく展開にゾッとする。
    希望を持つということは、孤独や痛みとの戦いであると教えられた。
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CREDIT
出演:宮﨑良太,伊藤梢,森山祥伍,みやたに,山村ひびき,廣田直己
脚本・監督・編集:霧生笙吾 撮影:蔡融霖 照明:奥田夏輝/林崎征大 録音:井口暁斗 美術:成田大喜
整音:鈴木昭彦 宣伝デザイン:富永諒 宣伝:滝澤令央 宣伝協力:武蔵野美術大学 配給:Cinemago
劇中曲|ピアノ曲「愛の夢(三つの夜想曲)第三番・変イ長調『おお、愛しうる限り愛せ』
2023 |日本|カラー|シネスコ|DCP|60分

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2023年10月21日(土)より池袋 シネマ・ロサにて限定劇場公開

2023/10/17/17:18 | トラックバック (0)
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