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永遠のオリヴェイラ
マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集 東京最終上映

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2017年3月6日(月)~18日(土)、アテネ・フランセ文化センターにて開催!
※3月12日(日)は休館

マノエル・ド・オリヴェイラ監督 2015年に106歳で亡くなったポルトガル映画の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督を追悼する特集上映「永遠のオリヴェイラ」が、昨年1月から始まった全国巡回を終えて東京に戻ってくる。本特集上映では、ニュープリント初上映となるデビュー作『ドウロ河』(1931)や2016年7月13日に一日限りのシンポジウムで上映された『フランシスカ』、最晩年作の『レステロの老人』(2014)など、珠玉の12作品を一挙上映する。
期間中の3月11日(土)には、ポルトガル大使館職員でポルトガル文学・思想研究者でもある渡辺一史氏によるレクチャー「オリヴェイラ的思考-映画『レステロの老人』にマノエル・ド・オリヴェイラ監督が託したものとは何だったのか」(参考上映/『レステロの老人』)や、3月18日(土)には、篠崎誠監督や青山真治監督などを招いてのシンポジウム(参考上映/ヴァレリー・ロワズルー構成による映像作品『オリヴェイラへのオマージュ』)が行われる。いずれもオリヴェイラ監督作品をより深く味わい、読み解く上で有用な示唆と知見に触れられるまたとない機会となることだろう。オリヴェイラ監督ファンの人はぜひ会場まで足を運んでみて欲しい。
なお、本企画は今回の東京で最終上映となる。まとまった形での上映機会が限られているオリヴェイラ監督作品なので、名前だけは聞いたことがあるという人もこの機会をお見逃しなく!

入場料 一般=1回券1300円/2回券2000円
アテネ・フランセ文化センター会員/学生/シニア=1000円
※やむをえない事情により作品及び上映時間変更の可能性あり。

マノエル・ド・オリヴェイラ Manoel de Oliveira
1908年12月11日にポルトガル北部の港町ポルトに生まれる。1931年に初監督作『ドウロ河』を撮り、42年に初の劇場用長篇映画『アニキ・ボボ』を発表。家業を続けながら映画制作を続け、62年に長篇第二作『春の劇』を発表するが、「ポルトガルには検閲が存在する」という発言によって投獄される。10年を経て1972年3本目の長篇『過去と現在 昔の恋、今の恋』を発表。1974年独裁政権が終わり、オリヴェイラは『ベルニデまたは聖母』(75)、『破滅の愛』(78)、『フランシスカ』(81)と「挫折した愛の四部作」を構成する3作品をつぎつぎに発表。また、敏腕プロデューサーのパウロ・ブランコと組み、自分の望む企画を実現できる環境を得る。以後、上映時間6時間50分の大作『繻子の靴』(85)、『神曲』(91)、『アブラハム渓谷』(93)、『世界の始まりへの旅』(97)、『クレーヴの奥方』(99)などの輝かしい傑作を発表し続け、2000年代に入り、90歳をこえてもなお、ミシェル・ピコリ(『家路』01)、ジョン・マルコヴィッチ(『永遠の語らい』03)、カトリーヌ・ドヌーヴ(『永遠の語らい』03)、ビュル・オジェ(『夜顔』06)、ジャンヌ・モロー(『家族の灯り』12)といった世界的名優を迎えて、作品を生み出しつづけた。2014年のヴェネチア映画祭で短篇『レステロの老人』上映。2015年4月2日没。

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2017年3月6日(月)~18日(土)、アテネ・フランセ文化センターにて開催!
※3月12日(日)は休館

上映タイトル一覧

3月6日(月)、13日(月)、18日(土)

ドウロ河 Douro, Faina Fluvial ( 1931年/21分/モノクロ )
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アントニオ・メンデス

『ドウロ河』22歳のオリヴェイラによる初監督作品。オリヴェイラ作品にたびたび登場する、ポルトを流れるドウロ川の一日。様々なものが行き交う河岸の市場で働く男たち、女たち、二階建て構造のドン・ルイス一世橋を走る車、漁に向かう帆船、川沿いに広がるポルトの町、機関車、自動車、牛車、飛行機……。オリヴェイラの親友であり、詩人・作家のジョゼ・レジオは、本作について「――映画監督が芸術家(他のいかなる分野のもっとも誠実な芸術家にも劣らぬ芸術家)であることを実際に証明する、その詩的輝きと人間的感動を達成した――」と絶賛した。

3月6日(月)、13日(月)

アニキ・ボボ Aniki Bóbó ( 1942年/71分/モノクロ )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アントニオ・メンデス
出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ

『アニキ・ボボ』オリヴェイラの長篇デビュー作。陽光降り注ぐポルトの街を舞台に、躍動するアナーキーな少年少女たちを縦横無尽に活写してネオレアリズモの先駆的作品と見なされる。「アニキ・ボボ」とは警官・泥棒という遊びの名前。 幼い恋の冒険を「罪悪」と「友愛」の寓意へ変貌させる演出のスケール感はすでにして巨大。

3月6日(月)、9日(木)

春の劇 Acto de Primavera ( 1963年/94分/カラー )
監督・脚本・撮影:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ニコラウ・ヌネス・ダ・シルヴァ、エルメリンダ・ピレシュ、マリア・マダレーナ

『春の劇』16世紀に書かれたテキストに基づいて山村クラリェで上演されるキリスト受難劇の記録。自ら「作品歴のターニングポイント」と述べる本作でオリヴェイラが発見したのは「上演の映画」という極めて豊かな鉱脈だった。一見して不自然な「虚構」のドキュメントだけが喚起する謎と緊張。前人未踏の「映画を超えた映画」の始まり。

3月7日(火)、10日(金)、15日(水)

過去と現在 昔の恋、今の恋 O Passado e o Presente ( 1972年/115分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アカシオ・ド・アルメイダ
出演:マリア・ド・サイセット、マヌエラ・ド・フレイタス、ペドロ・ピニュイロ

『過去と現在 昔の恋、今の恋』長篇劇映画第三作。ヴィンセンテ・サンチェスの戯曲「過去と現在」を監督が自ら映画用に翻案。『フランシスカ』に至る「挫折した愛の四部作」の第一部にあたる。現在の夫に心を開かず、事故死した最初の夫への想いを募らせる妻ヴァンダを中心に、過去と現在、死者と生者の間を交差する奇妙な愛が描かれる。

3月7日(火)、11日(土)、16日(木)

フランシスカ Francisca ( 1981年/166分/カラー/35ミリ )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 出演:テレサ・メネデス、ディオゴ・ドーリア、マリオ・バローゾ

『フランシスカ』1850年代のポルト。小説家カミーロ・カステロ・ブランコと友人のジョゼ・アウグスト、そして「フランシスカ」と呼ばれる英国人の娘ファニー・オーウェン、実際にあった3人の恋の物語をもとに、アグスティナ・ベッサ=ルイスが書いた小説「ファニー・オーウェン」の映画化作品。二人の男に愛されたフランシスカはジョゼを選ぶが、3人の関係は悲劇的な結末を迎える。

3月8日(水)、13日(月)、16日(木)

カニバイシュ Os Canibais ( 1988年/91分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、レオノール・シルヴェイラ、ディオゴ・ドリア

『カニバイシュ』『過去と現在』から音楽を担当してきたジョアン・パエスとともに作られたオペラ・ブッファ映画。厳かに進行する貴族たちの晩餐会は、やがて、タイトルが予告する驚愕の食人場面へ。人間と動物、人間と機械、見せかけと本質…ヴァイオリンの調べに乗ってあらゆる境界が軽々と侵される。

3月11日(土・参考上映)、17日(金)

ノン、あるいは支配の空しい栄光 Non, ou a Vã Gloria de Mandar
( 1990年/110分/カラー ) 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:エルソ・ローク
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、ディオゴ・ドーリア、ミゲル・ギリェルメ、ルイス・リュカ

『ノン、あるいは支配の空しい栄光』1974年、独立戦争が長期化していたアフリカのポルトガル植民地で、疲弊した兵士たちは植民地戦争の意味と自国の歴史を振り返る。カモンイスの叙事詩「ウズ・ルジアダス」、アントニオ・ヴェイラ神父、フェルナンド・ペソア、ジョゼ・レジオなどの文学作品に想を得て、ローマ時代から20世紀まで、ポルトガル民族の2000年にわたる歴史の中の四つの敗北の物語を描く、オリヴェイラによる壮大な歴史・戦争映画。

3月8日(水)、14日(火)、17日(金)

神曲 A Divina Comédia ( 1991年/141分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:イワン・コゼルカ
出演:マリア・ド・メデイロス、ミゲル・ギリェルメ、ルイス・ミゲル・シントラ

『神曲』「精神を病める人々」の表札が掲げられた邸宅で、アダムとイブ、キリスト、ラスコリーニコフ、 ニーチェのアンチ・キリストら歴史的文学作品の登場人物たちが、信仰と理性と愛についての議論を戦わせる。西洋古典の深奥に分け入りながらも「まったく未知なものとして、絶対的な驚き」とともに再び映像として蘇らせるオリヴェイラ芸術の真骨頂。

3月9日(木)、18日(土)

アブラハム渓谷 Vale Abraão ( 1993年/188分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 原作:アグスティナ・ベッサ=ルイス 撮影:マリオ・バローゾ
出演:レオノール・シルヴェイラ、セシル・サンス・ド・アルバ、ルイス・ミゲル・シントラ

『アブラハム渓谷』フロベール『ボヴァリー夫人』をもとにポルトガル文学の巨匠アグスティナ・ベッサ=ルイスが原作を執筆。彫琢された言葉の響きとオリヴェイラの完璧な映像が火花を散らす“文芸映画”の最高峰。監督が追求し続ける女性美が、主人公エマを演じるレオノール・シルヴェイラと洗濯女を演じるイザベル・ルトの両極に具現する。
フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

3月10日(金)、14日(火)

階段通りの人々 A Caixa ( 1994年/96分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、ベアトリス・バタルダ、フィリペ・コショフェル

『階段通りの人々』リスボンの街路を舞台にした群像劇。「すべての私の映画同様、『階段通りの人々』は人生から沸きだした特別な何かだ。それは貧しくて周縁にいる、ほとんど忘れられた人々の目を通した真の人間性のポートレイトだ。これは1920年代の映画、初期映画への回帰を示す映画なのだ」。フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

3月10日(金)、15日(水)、17日(金)

永遠の語らい Um Filme Falado ( 2003年/95分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ
出演:レオノール・シルヴェイラ、フィリッパ・ド・アルメイダ、ジョン・マルコヴィッチ

『永遠の語らい』9.11の事件をきっかけにして、西洋文明をテーマに雄大な地中海文明を辿る母と娘の旅。“観客の理性をも刺激する映画でありたい”という監督の信念によって描かれた美しい映像美と流麗な音楽、そして会話から生まれた問題作。オリヴェイラの人生観が、ギリシャやエジプトなどの歴史的観光地の美しい映像を通して語られる。名優たちによる競演も見もの。

3月10日(金)、11日(土・参考上映)、15日(水)、18日(土)

レステロの老人 O Velho do Restelo ( 2014年/19分/カラー )
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:レナート・ベルタ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、リカルド・トレパ、ディオゴ・ドーリア

『レステロの老人』ポルトガルの大航海時代を詠った国民詩人カモンイス、「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテス、『破滅の愛』の原作者である19世紀ポルトガル・ロマン派の小説家カステロ・ブランコ、20世紀初頭の詩人パスコアイス。4人の文学者がポルトガルの過去と未来について語り合う。タイトルである”レステロの老人“は、大航海時代の栄光に異を唱える人物として、カモンイスの詩『ウズ・ルジアダス』の中に登場する。

3月18日(土)

特別上映:
ヴァレリー・ロワズルーによるオリヴェイラ・オマージュ映像

1991年の『神曲』以降、『アブラハム渓谷』や『クレーヴの奥方』等々、ほとんどすべてのオリヴェイラ作品の編集を手掛けてきたヴァレリー・ロワズルーが、ポルトガルの依頼を受けて、オリヴェイラ作品の様々な場面の映像を編集してつくった11分のオマージュ映像。

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2017年3月6日(月)~18日(土)、アテネ・フランセ文化センターにて開催!
※3月12日(日)は休館

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