インタビュー
『クシナ』速水萌巴監督画像

速水 萌巴 (監督)
映画『クシナ』について【4/4】

2020年7月24日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

速水萌巴監督画像2
――ラストシーンのカグウの表情に圧倒されました。それまでになく感情的で、解放感もあるような。

速水 あそこはもともと2ショットを撮ってから最後のカグウの顔を寄りで撮ろうと2カットに分けて考えていたんですけど、水に入ったら一発勝負だし、役者たちも緊張が高まっていたし、流れでそのまま行ってしまいました。カメラマンが気を利かせてカグウにカメラを振ってくれたおかげであの表情を撮ることができました。本当はもっと寄る予定だったんですけど、もうこの表情は出ないなということで。私は撮影中にモニターを見ていたんですけど、この一連の撮影でみなさんのお芝居を見て泣いてしまいました。まだ撮影二日目で緊張感が途切れていなくて、一発勝負だからスタッフもどう動くかもわからない、カメラには水はかかるわ、スタッフは足の置き場がなく水に入っちゃうわでてんやわんやだったんですけど、そういう姿を見て込み上げてきましたね。

――デビュー作の撮影二日目に、すごい経験をしたんですね。

速水 このシーンを撮ったときに「行ける」と思いました。やっぱりこの作品を撮ることにプレッシャーはあったんです。現代の設定の物語じゃなく、ちょっと普通とは違うので「やろうとしていることはわかるけど、やめたほうがいいんじゃない?」という声がいろいろありました。みんなに反対されたからこそ私には意固地になっていたところもあって。自分が納得する脚本ではあったんですが、このカットが撮れたときにファンタジーの物語が立ち上がった気がして、「挑戦は間違ってなかったんだな」と思いました。

――大阪アジアン映画祭で見事JAPAN CUTS Awardを受賞しましたが、監督はこの作品を映画祭以外で上映するおつもりはなかったそうですね。

速水 はい。大阪アジアン映画祭でインタビューを受けて、実際の私と母のことが元になった話であるということを記事にしていただいたんですが、それを読んだ母がショックを受けてしまって。「脚色をした映画なんだよ」と話をしても「すごく苦しめたんだね、ごめんね」と謝られて。そういう気持ちでは作っていたわけではないんですけど、苦しんでいる母親を見たら、ちょっと時間をおいたほうがいいのかなと思って。

――お母様はその後映画を観てくださったんですよね?

速水 もちろん観ています。

――観たらきっと素晴らしさも感じていただけただろうなという気がします。

速水 最初は理解できなかったそうですが、最近は毎晩観ているらしく、観るたびに気づくことがあるそうです。姉は号泣していました。

『クシナ』場面画像(小野みゆき、郁美カデール) ――劇場公開が楽しみです。日本で公開される映画には多様性がまだまだ足りないと思うので、こういう映画が映画祭だけでしか観られないのはもったいないなと思っていて。『クシナ』にはすごくいろいろ考えさせられたし、面白かったです。映画祭ではどんな感想をいただきましたか?

速水 ニューヨークで上映したときは、私と見た目が全然違う金髪の背の高い美女がすごい勢いで駆け寄ってきて、「これは私と母の話だ」と言ってくれたのが印象的だったんですけど、他の方からは母と娘の相互依存ということに関して感想を聞くことはあまりなかったです。映像についての感想、衣装などの美しさに関する感想が多いなあというのが正直あって。あとは女性の集落を描いているので、フェミニスト的な考え方があるか?男性を排除する理由は?といった質問を受けますね。

――そうなんですか。キャッチコピーにも「母娘の愛のはなし」と入っているのですが。伝わるといいですね。

速水 そうなんですよ、映画ってなかなか難しいですね。この映画でやりたかったのは、ラストの行動によって、全員の愛のベクトルが変わるのを描くことなんです。

――それは感じました。みんな枷になるものを持っていたけれど解放されていく、希望が感じられる物語だなと。でも一筋縄ではいかない作品であるのは確かなので、こうして監督からお話を聞けてよかったなと思います。公開時もQ&Aなどできるといいですね。

速水 そうですね、たっぷりと。

――コロナの影響で窮屈な思いを強いられている中、こういう作品を求めるところもあると思います。

速水 この間、『風の谷のナウシカ amazonリンク:『風の谷のナウシカ [Blu-ray] 』』(84)を観てきました。大好きなんです。やっぱりファンタジーから物語る力は培えますし、コロナ禍で特にそういった能力がそれぞれに必要だと思います。私も勝負していきたいですね、ファンタジーで。

――多くの人に届いていくことを願っています。ありがとうございました。

( 2020年7月2日 渋谷・タベラで 取材:深谷直子 )

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クシナ (2018 / 日本 / カラー / 70分 / アメリカンビスタ / stereo)
出演:郁美カデール,廣田朋菜,稲本弥生,小沼傑,佐伯美波,藤原絵里,鏑木悠利,尾形美香,紅露綾,
藤井正子,うみゆし,奥居元雅,田村幸太,小野みゆき
監督・脚本・編集・衣装・美術:速水萌巴
撮影:村松良 撮影助手:西岡徹,岩田拓磨 照明:平野礼 照明助手:森田亮 録音:佐藤美潮
整音:大関奈緒 音楽:hakobune ヘアメイク:林美穂,緋田真美子 助監督:堀田彩未,佐近圭太郎,宮本佳奈
制作協力:村上玲,小出昌輝 協力プロデューサー:汐田海平
配給宣伝:アルミード ©ATELIER KUSHINA
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2020年7月24日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー

2020/07/22/19:54 | トラックバック (0)
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