松浦 慎一郎 (俳優) 映画『かぞくへ』について【4/6】
2018年3月16日(金)まで20:55~ユーロスペースにて上映中、3月17日(土)18:00よりユーロライブにて一夜限りの追加上映決定。(チケット受付は3階ユーロスペースにて)、横浜シネマリンでも上映中。
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――低予算の自主映画というところでもいろいろ大変だったと思いますが。
松浦 撮影期間が7日間で、1日に28ページとか撮るんで必死でしたね。これはすごいことなんです。ジムのシーンとかも1日で撮って、今までこんなことは経験してこなかったので。朝の6時から夜中の1時まで撮って、次の日もまた6時入りとか。当時は必死という気はしていなかったけど、今振り返ると一生懸命だったなあと。
――怒涛ですね。順撮りではないところもあったでしょうし、感情の変化を出すのは難しかっただろうと思うのですが。
松浦 大変でしたね。自分でベースは持っていますけど、今回は衣装の管理だとかも自分でやっていたので、だんだん芝居のつながりだとかキープが難しくなってきて。そこは監督を信頼しましたね。間違っていたら監督が言ってくれるだろうと。たまに僕の感情が上がり過ぎることがあって。イライラするシーンとか悲しいシーンとかで。ラストの橋のシーンで洋人から手紙を渡されるんですけど、あれは梅田さんが手書きで書いてきていたんですよ。僕はそんなこと聞いていなくて、テストのときにあれを渡されて、ぶわ~っと泣いちゃって。「松浦さんまだです!!」って監督に言われて、「これ泣いちゃうでしょう!?」って(苦笑)。
――泣きますね、あんなにびっしり。梅田さん……。
松浦 もうしょうがないや、止まらねえ、って。涙がカラカラになって水分を取りまくって、4時ぐらいまでかかって寒かったし。でも今思うとすごく楽しかったなあ。
――こんな経験はできませんね。
松浦 あと、僕が衣装を間違えてしまったこともあったんです。洋人と初めてカフェバーでコーヒーを飲むシーンがあるんですけど、あそこで衣装を間違えていて、撮り直しているんですよ。監督が編集のときに気付いて、電話でそれを知らされたときは頭が真っ白になって「すみませんすみません!」って。でも監督は「大丈夫です、もう1回やりましょう」って言ってくれて。お店をもう一度押さえて、エキストラをもう一度集めて、カメラマン、照明さん全員呼んで、僕は全員に「すみません」って謝って。そうしたら照明部の中西克之さんが「いや、リハーサルができたと思えばいいんですよ、次はもっといいシーンが撮れますよ」って。監督も「大丈夫ですよ、芝居に集中してください。むしろ衣装のチェックからしてもらって大変だったと思います」って。
――みなさん切り替えが早くてプロですね。衣装の管理は本来スタッフにやってもらえるものですし。
松浦 そうですね。衣装部さんが管理してくれるんですけど、今回は自分で現場に持っていって「次は何だっけ? リュックは持っていたっけ?」ってやっていましたからね。普段どれだけ恵まれているかを痛感しました。役者が芝居に集中して、終わったら次、次、と行けるのは、スタッフがそれぞれの役目をしっかり果たしているからなんだなって。春本組のみなさんにも感謝です。こういう失敗をしたら「ふざけるなよ」とかいう現場もあると思うんです。でもそうならないのが春本組のいいところだなと。あの優しさが自然な演技をさせてくれたんじゃないかなと思います。
――他の共演者についてなんですが、森本のぶさんと三溝浩二さんは『百円の恋』にも出られていたんですよね。
松浦 はい、おのさなえさんもそうです。みんなジムの会員役で出ていて。『百円の恋』を見直していたら不思議な感じがしましたね。おのさんが「よろしくお願いします!」って言って青木ジムに入ってくるんですけど、あのあと事務員になったのかな?って。
――(笑)。ジム関係の俳優さんは、みんな元々つながっているような方ばかりだったんですね。
松浦 そうです。やりやすかったですね。三溝さんとはいろんな作品でニアミスはありつつ初がらみだったんですけど、あの会長はすごくよかったなあ。雰囲気を持っていますよね。僕は佳織ともそうだし、洋人とも後半ストレスを感じる間柄になってしまうので、やっぱりどこか苦しい部分があったんですけど、唯一会長だけそういうのがなく芝居できたんです。映画を観ていてもホッとしますね。またご一緒したいです。
出演:松浦慎一郎,梅田誠弘,遠藤祐美,三溝浩二,おのさなえ,下垣まみ,瀧マキ,森本のぶ
監督・脚本・編集:春本雄二郎
撮影:野口健司 照明:中西克之 録音・整音:小黒健太郎 制作:福田智穂 助監督:浅見佳史
音楽:高木聡 プロデューサー:深谷好隆,春本雄二郎,南 陽 海外セールス:植山英美(ARTicleFilms)
配給:『かぞくへ』製作委員会 配給協力:コトプロダクション ©『かぞくへ』製作委員会
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