YOYOCHU SEXと代々木忠の世界
とても面白い力作。そして、70時間の素材を何度も編集した労作でもある。
今作は「たまの映画」の試写で一緒になった映画会社の方から「「たまの映画」も良かったけど、この映画も面白いよ」と薦められたのが知るきっかけだった。他にも会う人から何人かから薦められて気になっていた。YOYOCHUこと代々木忠作品を認識したのは「ザ・オナニー」シリーズ(82~)だった。映画を観始めた中学生の頃だったが、当時から、普通のピンク映画やロマンポルノと趣きが違っていた。劇映画ではなく、女性のイクところを粘り強く撮ったドキュメンタリーだったからだ。今作で代々木監督がヤクザ出身でケジメに小指も落としていて、ピンク映画の助監督からピンク映画の監督になり、ロマンポルノの猥褻裁判に起訴されたことから長い裁判生活をおくり、性に向き合うようになり、「ザ・オナニー」、「性感極秘テクニック」、「サイコ催眠エクスタシー」、「いんらんパフォーマス」などの有名シリーズにつながっていくことを知った。ビデオデッキの普及に伴い、VHS陣営が代々木監督作品を購買者にプレゼントしていたことから(ベータ陣営の一つの敗因にもなった、この件は今作でも語られている)、代々木作品は普及していたので、中学生ながらこっそり見ていたものだ。だが、当然ながら男女の絡みのほうが見たいので、異色のイメージはつきまとっていたし、「サイコ催眠エクスタシー」で催眠術を使うまでなると、よく分からなかった。
上記は今作を見て、代々木監督が真摯に性に向き合い、一種の「エクスタシーは社会からの解放である」という持論に基くものなのが分かった。そして、日本のAV史も描こうとしているのが今作の特徴である。ここが欲張りすぎかもしれないが(年代も前後する)、海外に向けては日本のAVの貴重な資料にはなるだろう。
石岡正人監督作品はAV業界を描いた「PAIN」(00)を中野武蔵野ホールで観て以来だから、久しぶりである(プレスを見たら、オムニバスを除くと今作が「PAIN」以来の作品だった)。笑福亭鶴瓶が終盤に出てきたり、思わぬ人物の登場もある。個人的には柏木みなに興味を持ったので作品を見てみようと思っている。
(2011.1.22)
YOYOCHU SEXと代々木忠の世界 2010年 日本
出演:代々木忠
笑福亭鶴瓶 槇村さとる 和田秀樹 藤本由香里 加藤鷹 愛染恭子 村西とおる 高橋がなり 他
監督:石岡正人 ナレーション:田口トモロヲ 題字:リリー・フランキー
音楽:後藤英雄 プロデューサー:朱京順/河村光庸 制作:ゴールド・ビュー/スターサンズ
2010年/カラー/HDCam/115分 [R-18] (C)2010 ゴールド・ビュー/スターサンズ/石岡正人
公式twitter
2011年1月22日(土)より、
銀座シネパトス、渋谷アップリンクXほか
全国ロードショーほか全国順次公開
大阪:第七藝術劇場(2月下旬)、京都:みなみ会館(3月上旬)、
名古屋:シネマスコーレ(1/29(土)より)、神戸:アートビレッジセンター(3月下旬)
AVドキュメンタリーの映像世界 [単行本]
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『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』は男の一本気がまっすぐ貫かれているよ。 E かろうじてインターネット
地味目なドキュメンタリー映画が続きますが、今回は『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』という未だに童貞臭が抜けないぼくにはいささか刺激的な作...
Tracked on 2011/02/19(土)01:22:09
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■映画『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』 E Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>
私、この作品を観るまで、恥ずかしながら代々木忠という人をまったく知りませんでした。 いや、この年齢でカマトトぶる必要もまったくないんですが、とはいえ、A...
Tracked on 2011/09/04(日)03:57:41